上・大阪メーデー会場の少年労働者たち
下・児童労働・松本市製糸女性労働者年齢調査(1919年5月)
1921年少女・少年労働者 (読書メモー「日本労働年鑑」第3集 大原社研編)
少女・少年労働者
日本労働年鑑第13編「少年労働問題」の概説は、少年労働の弊害として、(イ)少年労働は身体の発達を害する。(ロ)少年労働は智能の発達を害する。(ハ)少年労働は特性の発達を害する。とし、また少年労働の原因として、(一)資本主義の発達、(二)家庭の貧困、(三)無智無関心、を指摘する。
少女・少年労働の状態と実態
(イ)未成年労働者数(1918年(大正7年)農商務省調査)
全国労働者総数142万3434人中、未成年者は59万1134人で総数の約4割1分になる。また未成年者の中で15歳以上20歳未満の者は、47万964人で未成年者中の約7割8分がこの年齢である。12歳以上15歳未満の者11万7766人、10歳以上12歳未満の者2403人である。
(ロ)未成年者の男女別数
次に未成年者の性別でみると男性16万4407人、女性42万6727人と女性は男性の2倍以上になる。特に12歳未満の幼年者は男性330人に対して、女性2073人で6倍強に及んでいる。すなわち、我が国の労働者の約4割が未成年者であり、かつその未成年労働者の三分の二以上が女性である。
しかも以上の調査は工場法適用工場(労働者数15人以上、1923年から10人へ)のみを対象とし、労働者15人以下の中小企業や家内企業、商店などは調査対象に入ってないのであるから、我が国における少年労働者の数は、実に驚くべきおびただしい数に上るであろう。
(ハ)義務教育と少年労働者
1919年(大正8年)文部省調査によると我が国の不就学児童の総数は、9万5201人であり、貧困のための不就学児童の多くは労働に従事して生活費の幾分かを稼いでいるであろう。
(少年労働者保護立法)
我が国には少年労働者保護の立法はない。工場法第2条は「12歳未満を就業の最低年齢」としているが、同条第2項では「軽易な業務で特別な条件を付した場合に限り10歳以上の者の就業を許可する」としている。また工場法では15歳までは女性労働者と共に、最長労働時間を12時間と定め、夜業(夜10時~朝4時)の禁止などの保護規定はあるが、欧米諸国と比べると著しく不完全であると同時に多くの例外を認めているため、これら保護規定は実際にはほとんど空文となっている。
(感想)
すさまじい実態です。当時の我が国の労働者総数の約4割が未成年者であり、その未成年者中の8割近くが15歳~20歳未満です。15歳以下も11万人もいて、10歳すらいます。かつその未成年者中三分の二以上が女性です。つまり、日本資本主義が最も搾取の対象としたのが未成年の少女・少年たちなのです。これら少女・少年たちに企業主共は、超長時間労働と酷使で襲いかかり、ついには大病へとおいやり、最後は使い捨てにするのです。前回の「長野県下の女性労働者の疾病検査」「長野県下の女性労働者の年齢」の二つの調査結果が何より示しています。女工哀史は決してドラマの世界の話ではないのです。なんと残酷な社会だったのでしょう。これが「美しい国日本」(安倍)の歴史そのものです。労働者が激しく怒り、心の底から革命を切望して決起したのは当然の話です。