先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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「姉妹たちよ! 私たちは決して弱くはないのであります!」当時の職場ビラの紹介② 神戸化学工業労働組合と内外ゴム争議 1926年の労働争議(読書メモ)

2023年03月31日 07時00分00秒 | 1926年の労働運動

上・原本ビラを手書きで写したもの
(神戸化学工業労働組合婦人部の西川定子さんが働く女性たちに呼びかけた)

当時の職場ビラの紹介② 神戸化学工業労働組合と内外ゴム争議 1926年の労働争議(読書メモ)
参照 「協調会史料」

神戸市、約2千名の組合員を擁する神戸地方評議会神戸化学工業労働組合は、内外ゴム合資会社(労働者210名、内臨時工70名、女性50名)で労働者首切りの動きがあることを察知し、1926年5月12日から3日間にわたって内外ゴム工場門前において労働者向けのビラを配布し、内外ゴム労働者の、とりわけ臨時工と女性労働者に共に立ち上がるように呼びかけました。その時の2枚のビラを紹介します。その後、内外ゴムの多くの労働者が神戸化学工業労働組合に加入し、5月18日に要求書を提出。5月24日から117名の内外ゴム労働者はストライキに突入します。

ビラ(女性労働者から女性たちへ呼びかけたビラ)
親愛なる姉妹たちよ!
  労働組合にお入りください!

 「弱き者よ 汝の名は女なり」という言葉が昔からありますけれど、私たち現今の婦人は決して弱くないのですあります。私達も一人前の人間です。人間であれば男性も女性も同じ権力がある筈ではないでしょうか。しかるに女性は弱き者として社会から待遇せられています。
 

 姉妹たちよ! 私たちは決して弱くはないのであります。社会のなくてならない力強い人間なのです。女性は弱き者でありますとは資本家が勝手につけた名称で、資本家金持階級が自分達の私腹を肥やす手段に用いている合言葉です。
 今の金持ちは、私たち女性を男子と同一の仕事をさせておきながら、男子の賃金の半分しか支給してくれません。男子と同じ労働をさせておいて半給しか出さないで、残りの半給は誰が奪い取っているのでしょう。やはり彼等金持が・・・・・(不明)。 

 親愛なる姉妹たちよ! ・・男子と同様に階級戦の第一線で赤旗を守って立ち上がろう!

 学校の女教員も、商店の売り子も、女事務員も電話交換手も、工場の女工も、すべて社会の無産婦人は固く手を握りあって進みましょう。 
 そして同一作業に対する男女の性別なく同一賃金を要求し、女性の権利を男子同様に・・教育に、政治にすべてのものを男女同様に叫ぼうではありませんか。
 
 私達は婦人の権利を得るため、生活の安定をはかるため、やはり団結をしなければなりません。団結するには貧乏人が貧乏人同志が手を握り合って、現在不合理なる社会に向かって絶叫せねば駄目です。

 姉妹たちよ! 今すぐに労働組合に入り団結しましょう。労働組合は貧乏人の唯一の武器です。
 
 起て! 
 奪え! しかして叫べ!!
 親愛なる職業婦人姉妹たちよ!!!

 労働組合に入会したい方や労働組合を知りたい方々は御遠慮なく左記の處へ御通知下されば御面会に参じます。

神戸市東尻池三丁目五の一
神戸化学工業労働組合婦人部
西川定子

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ビラ(内外ゴムの臨時工の仲間たちへ)
内外従業員諸君に訴ふ !!!

 昨日開かれた職長会議 ! それは何を意味するか?

 全従業員諸君 ! 臨時工諸君 ! 君達が入社した時に何が渡されるか ? それは契約書であろう。その時会社は何を言ったか ? 真面目に正直に働いてくれたら六ヶ月後には必ず本傭工にしてやると言ったであろう(組合の調査では内外には多数の臨時工がいる。その中の殆どは入社以来六ヶ月を経過した臨時工である)。

 君達は果たして入社の時会社が言明したことを行っているかどうか、君達は会社から内密に聞かされたであろう本傭であるということを
・・・。しかし、君達はだまされているのだ。これからはどこの会社も本傭工というものをなくして、一度臨時工として入ったらそれは永久に臨時工として使うのだ。それは臨時工であれば、かってな文句を付けていつでも首が切れるからだ。首を切っても一文の金も入らない、また文句を言われないように契約書を入れさせている。君達はこのような不安な条件の下で真面目に正直に働いても、君達の首はいつでも切れる様にしている。・・・・

 現在こういう事実がある。ついこの間七カ月間精勤に働いていた臨時男工が理由もなくして首切りの厄にあっている。又(不明)・・・これ又突然首になっている。・・君達は不安ではないのか? 会社は・・・堂々と男工募集の紙を貼っている。・・・年の若い人をどしどし入れている。こういうことをしている矢先の重大会議、それは全従業員に何かをもたらすであろう。
 
 内外従業員諸君 !! 余程の用意と覚悟を持て !
 用意と覚悟はよいか ?
 全従業員諸君! 団結せよ ! 
 臨時工 !! 本傭工 ! 共に手を取れ
神戸化学工業労働組合


内外ゴム株式会社争議 1926年5月18日~6月3日

 神戸市尻池菅原通5丁目2の内外護謨株式会社は、タイヤやホース、エボナイトなどゴム製品製造会社であり、社長は榎並光造で、労働者数210名(女性50名)、うち本雇用は男111名、女28名で、臨時工は男48名、女22名であった。内外護謨には、神戸地方評議会神戸化学工業労働組合(2千名)に加盟している労働者が多数存在していた。1926年5月18日、内外ゴム労働者が以下の要求を会社に提出した。
嘆願書
一、最低賃金制の実施
一、賃金日給額(1円20銭)5割昇給
一、臨時雇用一ヶ月経過後は本採用に編入すること
一、事業都合の解雇反対
一、臨時休業の日給支給及臨時休業勤務の日給2日分支給
一、皆勤賞日給4日分設定
一、定期昇給(最低5銭)年2回実施
一、衛生設備の改善・完備
一、不良幹部の撤廃
一、共済会は職工の管理とすること
一、解雇退職手当の制定
以上

 社長は労働者の要求全部を拒絶する回答をしてきた為、5月24日から117名労働者はストライキに突入した。会社はストに参加していない労働者を会社に泊まりこませ仕事を継続させた。また、労働組合に加入している労働者を狙い撃ちにする解雇を計画したため、紛争は6月3日まで続いたが、6月3日労資は以下の内容で合意し、争議は全面解決をした。
一、福利制度を改善する
一、最低賃金制を6月5日よりの実施する
一、臨時工は4か月間の勤務後に本採用とする
一、今後一ヵ年は解雇はしない
一、毎月の皆勤賞として日給一日分を支給する
一、向こう3年間毎年1回の定期昇給を実施する
一、会社は衛生設備を改善する
一、解雇手当を制定する
一、組合加入の自由を認める
など



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