
まとわりつくような湿気の中 僕は走り出した...

あてどなく彷徨える兵士のように...

地平線の彼方に蜃気楼のように楽園が見えた...

だがそれは幻に過ぎなかった...
密林の向こうには姿の見えない魑魅魍魎が待ち構えているに違いない...
気をつけろ...
意を決して僕はそのジャングルに足を踏み入れた...
一歩、二歩、三歩…
およそ80歩は数えただろうか…
もう大丈夫だ…
と、僕の気の緩みを嘲笑うかのように無防備な手首と脛に
がっちりと"魑魅魍魎"たちが食いついていた…

僕はあらんかぎりの力を振り絞り鉛色に煌めく"刀剣"を振り回した!
だが、ある一瞬を境に僕の記憶が途絶えた…
…
どのくらい眠っていたのだ…
ずぶずぶと泥のような眠りから覚めた僕は
丑三つ時の亡霊の如く起き上がり体の節々をさすった…
手首と脛に赤い斑点…

あぁ 僕は生きている…
あの魑魅魍魎たる荒野で一体 何があったと言うのだ…
理不尽な感情を残しつつも 僕はまた走り出すのだ…
手首と脛 痒い…
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます