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全国一般東京東部労働組合の記録

なぜ添乗員は立ち上がったか シリーズ2

2008年12月06日 08時32分25秒 | なぜ添乗員は立ち上がったかシリーズ

(写真:12・4日比谷集会の国会デモ)

<私たちはなぜ、みなし労働に反対するのか>

「なぜ添乗員は立ち上がったか」シリーズ2回目の今回は、「私たちはなぜ、みなし労働に反対するのか」について述べたいと思います。

前回も書いたように、阪急トラベルサポートの中で一部の者による「みなし労働に賛成する署名」が行われています。「私は添乗業務を行うにあたり、みなし労働時間制を適用することに賛成いたします」という文書に添乗員ひとりひとりにサイン署名をさせているのです。

しかし、現在阪急トラベルサポートをはじめとしてあらゆる添乗員派遣会社が添乗員に強いているこの「みなし労働」とは、一言で言うと、「添乗員を『何でも屋』としてあらゆる業務を行わせ、しかもどんなに長い時間働いても定額=低額の日当しか支払われない」というものです。それがどのような苦しみを添乗員に強いているかは前回のシリーズ1で書いた通りです。

会社としては添乗員にどんな業務を行わせたとしても付加手当は基本的に発生しないわけですから、経費がかかるということはないわけです。また、最低でも1日12時間、通常は15~16時間という超長時間労働を「正当化」する「ための」言葉がこの「みなし労働」という言葉なのです。

そして私たちは添乗員の業務が「みなし労働」には当たらないと組合結成時から主張しています。また労基署や裁判所は添乗員の労働は「みなし労働」には当たらない、8時間を超えた労働時間に対しては2割5分増しの時間外手当を支払えと明確に判断を示しています。にもかかわらず会社・業界が「みなし労働」を続けるのは、そこに「うまみ」があるからに他なりません。

また、私たちが主張している「みなし労働反対」はあくまでも「時間管理による長時間労働の是正」と「8時間を超える労働に対する残業代の支払い」であって「時給化」ではありません。みなし労働廃止後も日当額は保障されるべきなのです

http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/761c52edf19d14ed5d3b7f0ee89ccac9)。

「みなし労働」に賛成するということは、阪急トラベルサポートはじめ業界の「うまみ」を擁護し、添乗員の超長時間労働を是認するということ、残業代不払いを容認することに他なりません。そしてそのような署名を主導する人たちは長時間労働、低額の日当を強いられる添乗員に対して責任をとれるのでしょうか。

改めて強く訴えます。
HTS支部は「みなし労働」に反対です!

次回シリーズ3は<HTS支部が全国の添乗員の応援のもとにかちとってきたもの>です。

以上

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以下のコメントで質問が寄せられましたので、この場で紹介し、お答えします。
コメント
連合 (元・派遣会社社員)
2008-12-05 18:02:03
ビデオ拝見しました。大島さん、菅野書記長はじめ参加された皆様大変お疲れ様でした。そして同じ派遣切りでも雇用保険にすら守られていない派遣添乗員の境遇の劣悪さを改めて痛感いたします。

それにしても疑問がわいてくるのは、この会を主催した団体のひとつである「連合」(日本労働組総連合会)はサービス連合の上部組織ですが(下記参照)、http://www.net-stu.com/public/menu/stu/03_org.pdf傘下のサービス連合が添乗員を苦しめる元凶である「みなし労働」存続に加担していることをどう考えているのでしょうか。また関連会社フォーラム・ジャパンの違法派遣をどうして見逃しているのでしょうか。
もし東部労組スタッフの方でその辺りを解説していただけるとありがたいと存じます。
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元・派遣会社社員さんへ。
全国一般東京東部労組副委員長の長崎広です。

いつもいつも心温まるコメント、また今回も貴重な質問を頂きました。本当にありがとうございます。
さてご質問への私の考えを述べます。12.4集会は知識人や著名人などの呼びかけ人が中心となった主催ですので、全労連、全労協そして連合も主催主体というわけではありません。しかし、ご指摘の通り、12.4集会は「連合」「全労連」「全労協」という枠にとどまらない画期的な集会でした。日弁連、労働弁護団、自由法曹団の弁護団も一堂に会しました。日弁連には会社側弁護士も所属していますからこれもすごいことです(伊藤弁護士の見解を聞きたいものです)。
民主党、共産党、社民党、国民新党の多くの国会議員も参加しました。

そしておっしゃる通り連合傘下の労働組合と組合員も多く参加しています。それなのに何故連合のサービス連合は「みなし労働」に賛成しているのかと疑問に思うことは当然ですし、私たちも全く同じ疑問を持っています。しかも、よりによって、全国各地の労働基準監督署が各派遣会社と旅行会社に対して相次いで「みなし労働は違法、残業代を支払え」と是正勧告を突きつけた時、サービス連合は厚生労働省に対して「みなし労働を今まで通り認めよ」の要望書を経営側JATAとTCSAとサービス連合3者連盟で申し入れたのです。労働組合運動の歴史上でもかつてない、労働組合としては考えられない行動です。暴挙です。

労働組合であれば当然経営側に対して、「労基署の是正勧告に従い、残業代を払え!長時間労働を即時改善せよ!違法なみなし労働はやめよ!」と要求するのがあたり前ではありませんか。

実はサービス連合が作った会社フォーラムジャパンに対して労働基準監督署は以前から是正勧告を出していたのです。労働組合が作った会社が労基法違反で摘発されたということは実際はサービス連合自体が摘発されたことと同じと私たちは考えます。

今、全国の職場でも同じような動きがあちこちで起きています。せっかくHTSで、はじめて添乗員自身が声をあげ労働組合を結成して労基署や裁判でみなしは違法という運動を作りだしたとたんに、みなし労働に賛成するサービス連合が添乗員の労組を幾つかの派遣添乗員会社で作りだしたのです。そして今、阪急トラベルサポートでは、このサービス連合傘下の第2組合の本部副委員長とアサイナーを中心に、添乗員に対して東部労組HTS支部への誹謗中傷を繰り広げながら「みなし労働賛成」の署名運動まではじめている始末です。アサイナーから署名を求められれば、添乗員にとってそれは「踏み絵」以外何ものでもありません。添乗員の世界を知っておられる貴方であれば容易に想像して頂けると考えます。

正直、労働組合サービス連合がここまでやるかという暗澹たる気持ちです。といいますのも、サービス連合の歴史には日本労働運動に誇れる数々の立派な闘いがあったことや私自身尊敬する多くの指導者がおられたことも知っているからです。
また私たちHTS支部の結成と闘いに対して、サービス連合の幹部の方々が「東部労組がんばっているね。応援していると伝えて欲しい」と同志的労組の幹部からも聞いていました。

何故こんなことが起きているのか、大企業や企業内労組の正社員中心の労働組合となってしまったことが原因ではないか、JATAやTCSAとの関係など指摘する人もいますが、私には正直理解できません。

私の言えることは、いずれにしても労働組合としてやっていいことと悪いことははっきりしているということです。15時間、16時間の超長時間労働に対して、何故残業代をださないのか。みなし労働は違法だ。添乗員を苦しめている諸悪の原因はみなし労働だというただこの一点です。労働組合が経営側に味方についたらお終いなのです。

同様に、派遣法改正の運動についてもすべての連合傘下の労働組合が賛成しているわけでは決してありません。
逆に今、一方では恐ろしい事態が進行しています。コナカで第2組合を作った日本の最大労組であるUI ゼンセン同盟の人材サービスゼネラルユニオン(JSGU)が、自らのホームページで「①雇用契約2ヶ月以下の登録型派遣の禁止、②日雇派遣の禁止については、JSGUは反対します。」と活発に主張し政府に働きかけていることをご存じですか。

そして、そのUI ゼンセン同盟と関係の深い少数の民主党議員による「派遣制度の改善を推進する議員連盟」が2008年2月19日に設立されました。この「派遣制度の改善を推進する議員連盟」はここにきて、国会内で活発に動き出し「日雇い派遣禁止や登録型派遣の規制強化が実現された場合に起こる問題について十分検討されておらず、雇用機会を奪い、本質的な問題が解決されずに派遣労働者が苦しむだけ。禁止で本質的な問題解決にはならない。」と主張しているのです。この主張や発言は民主党や連合の方針にすら反するどころか政府案よりも悪質な主張です。文字通り派遣業界の経営者・資本家共を防衛する運動であることは誰の目にも明らかです。これら一連の動きをネット・ブログ等で広範囲の人々に真正面から徹底的に暴露していかなければなりません。
UI ゼンセン同盟 人材サービスゼネラルユニオン(JSGU)
http://www.jsgu.org/pointofview.html
「労働者派遣制度に関するJSGUの考え方」
(巻末資料5・6派遣制度の改善を推進する議員連盟設立趣意書)
http://www.jsgu.org/act/pointofview.pdf

ご質問への答えになったでしょうか。
これからもご支援よろしくお願い申し上げます。

追伸
最近連合の高木委員長が「私たちは名ばかり労働組合になってはいけない」と大号令を発したと聞いています。
ぜひ、こちらの名ばかり労働組合を問うブックレットも参照してください。作家の雨宮処凛さんと評論家の佐高信さんとの対談も収録されています。
ブックレット「名ばかり店長、名ばかり労組じゃたまらない」同時代社刊行500円http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/c4f609aec8ae1c99ef2a44b5eaaa91c7
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17 コメント

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実際 (添乗員)
2008-12-06 18:36:31
仕事は好きだけど、生活も将来も不安定。

汗だくで15時間働いても9000円程度だよ。

お金が無いから仕事以外のやりたい事も出来ない。
返信する
違法ガイド (西日本新聞10月6日)
2008-12-06 20:04:43
日本人添乗員が無資格でガイド(西日本新聞2008年10月6日付)

[パリ6日発高木昭彦]
日本からのフランス観光ツアーが、当地の法律で禁止されている添乗員による無資格ガイドを行っているとして、フランスでガイド業務を担う政府公認の「パリ日本語ガイド通訳協会」(宮永佳子会長、102人)が、日本の観光業界や国土交通省、厚生労働省に正常化を要請している。
同協会によると、フランスで10年ほど前から、日本からのツアーに随行する添乗員がフランスでの免許を持たずにガイドを担わされるケースが増えている。違反行為には罰金が果たせられるが、現場での取締りが無いため野放し状態になっている。
無資格ガイドは、スペインやイタリアでも禁止されている。無資格ガイドの増加に伴い、現地公認ガイドの仕事が急減している。宮永会長は、「依頼件数は、 10年前の十分の一」にまで減ったというのが実感」としており、多くが失業保険を受けながら働いているという。無資格ガイドの背景には、格安海外ツアーが増え、人件費を抑制する業界の動きが指摘される。
添乗員の労働条件改善に取り組む「全国一般東京東部労働組合」によると、添乗員ガイドや通訳、物品販売など本来の業務以外の仕事を任せられるか重労働が数多く報告されている。残業代が支払われず、労働基準監督署が指導を行ったケースもある。
パリ日本語ガイド通訳協会は、「日本からの添乗員もパリのガイドも共に、旅行業界の(違法行為の)犠牲者」として、正常化に向け添乗員に連帯を呼びかける文書も2年前から配布してきた。宮永会長は、「ツアーの質の低下を招かないためにも、息長く訴え続けたい」と話している。
以上
返信する
がんばって (いつも読んでいます)
2008-12-06 20:21:03
偶然見つけたブログからの紹介です
http://blog.goo.ne.jp/ikatsu2006/e/419935dd4214f82fe031f6d13ffacc2b

この連休、バス旅行をしてきました。
格安団体ツアーのせいか、若い女性の添乗員さんがバスガイドも兼ね2役こなす。
10時間以上の片道移動、高速道路では前方で大きな事故があり2時間ちかくの
渋滞があり、いらだった乗客のひとりが「はトイレが済み集まり次第すぐ出発
せよ、休憩無用」と添乗員にクレーム。もっともな要求とはいえ、若いまじめな
添乗員には強く応えたであろう。

スケジュールの説明、プリント配布、オプションの受付と集金、みやげ販売など
息つく暇がないほど、見ていて忙しい。オプションの弁当が、どうしてもひとつ
足らず困り果てていたときはどうなるかと思っていたら、親切な婦人客が、
自分はまだ手をつけていないから使いなさい、と言って差し出す
「自分の娘のような年の子(添乗員)が困っているのは見ていられない」と。

それにしても添乗員の仕事は、旅行会社の業務代行が増えているようで重労働
で過酷とさえ思えた。製糸工場で追われていた女工さんを連想してしまった。

格安パックで日当は上がらず、時給換算で千円にも満たないとか。
「添乗員派遣会社え作る日本添乗サービス協会は、今夏から派遣先の旅行会社
に対して、日当制から残業代が出る時給制に変えるよう申し入れている(朝日
新聞11/14)」というが、ぜひ待遇の改善を図るべきだと思います。

わが添乗員さん、渋滞遅れで午前3時の終業。なんとその後、3時間後には
6時集合の次のツアーが予定されているという。いくら書き入れ時とはいえ
このままでは添乗員さんの体がもたない気がした。
これでは“現代添乗員哀史”になってしまう。
がんばってください、添乗員さん
返信する
アサイナーの署名集めは職権濫用にならないの (大阪トラサポ)
2008-12-06 21:05:48
アサイナーがみなし労働賛成署名集める?
これってすごく問題感じます。
きちんと問題にしたら訴訟ざたになってもおかしくないのでは。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-12-06 22:04:15
仕事が少なくなる中で、背に腹は代えられない、というような気持ちで、署名したりしている人もいるのかもしれませんが、長い目で見たら、それこそ、恐ろしい結果が待ち受けているかも。怖くて、署名できないです。それが本音です。
返信する
求めること (O○○所属)
2008-12-06 22:20:17
今派遣切りという方がたくさん出てきて問題になっていますが、まず第一に添乗員は派遣であり、月曜から金曜まで仕事があるわけではありません。特に私の場合、今年は10月から月に1本しか仕事がありません。8日間のツアーですからお給料は10万円未満です。それが、閑散期の2月くらいまではずっとそのような状況でしょう。
とにかく世界的な経済状況や、燃油価格の変動の影響を1年中受ける可能性が常にある仕事なのです。
ですから、お給料を保障してください。それに専門性が高い職業というなら今の低賃金を改正してください。


次に、全派遣会社の社長!!阪急から手当てが出ないからと言って、それで私たちを納得させるのはやめてください!社長失格ですよ、あなたたち!!
私たちはホテルに入ったあとも、チェックインや部屋のチェック、夕食のケアなどの仕事がまだまだ残っているのです。阪急がその手当てを出さないと言うなら、なぜ反論しないのですか?私たちの生活を保障してください。


派遣会社は派遣料の70%は派遣社員にお給料として渡さなければならない。ただし、私の場合、日給が1万円ちょっとです。ヨーロッパ、モロッコなどノーガイドのところも行ってます。全派遣会社に要求します。いったい阪急からはいくら支払われているんですか?それをツアーごとの契約であればその都度、私たちに提示してください。私の所属している会社は紛れも無く、70%以下しか添乗員に支払っていません。
返信する
実情を知ってください (他社)
2008-12-06 22:31:53
私たちの仕事は専門性を必要とする仕事です。
それは海外のガイドさんもです。
ツアー代金を安くするために、会社の利益を上げるために、添乗員はガイドの仕事を兼ねることが大変多いんです。観光だけではありません、登山やハイキングなど、専門的なことまで当たり前のようにやらせています。スイスのハイキングツアーではケガ人が出て、大変な問題になりました。そこに専門のハイキングガイドさんがいれば状況は違ったでしょう。

海外のガイドさんの仕事を数日間滞在する私たち添乗員が一生懸命勉強してもかなうはずありません。ましてや命に関わるものであればなおさらです。

ツアー客のためにも厚生労働省の皆様、旅程管理という専門職に私たちを戻してください。ガイドではない旅程管理者に・・・。
返信する
実情を知ってください2 (他社)
2008-12-06 22:34:32
常に日本語ガイドをつけることを要求します。
日本語ガイドがいない場合、英語ガイドの場合は、通訳料を手当てとしてつけることを要求します。
返信する
教えてください (他社)
2008-12-06 23:06:37
トラサポの添乗員の場合、派遣会社であるトラサポがオプションの代金集金の手当てや、ホテル到着後のチェックイン・夕食ケアなどの手当てを払っていると聞いたことがありますが、本当ですか?他社添乗員には認められていなくても、トラサポに認められている手当てはツアー主催の阪急交通社ではなく、トラサポが支払っているという噂。これは、阪急交通社が他社添乗員も含め、全添乗員に支払う義務があるのではないでしょうか?

トラサポの内勤の皆さんは、ボーナスなどが少なくなったからといって添乗員に文句を言うのではなく、親元の阪急交通社に改善を要求するのが普通ではないですか?
返信する
Unknown (Unknown)
2008-12-06 23:11:01
大阪のトラサポは全員サービス連合の労組に加入したとききました
いろいろな権利は東部労組が勝ち取ったのに、添乗先で話を聞いたりすると、大阪では連合労組のお陰と思っている添乗員さんが多いみたいですね
実際、大阪のトラサポの添乗員さんたちはサービス連合しか知らないんですか?

その他、独立系の派遣会社所属の添乗員さんもトラサポのサービス連合のお陰でいろいろ変わってきた、と感謝している人が多いようですが、、、、、、
サービス連合が何か添乗員の為になるような事を一度でもしたのでしょうか?

大阪のトラサポの添乗員さんで、このブロクをみている人はどう考えているんですか?  仕方ない、なんでしょうか?
事実を知らない人たちもかわいそうですが、知らずに連合に組合費を払っているのって、無駄ではないですか?
返信する

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