蔵書目録

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「写声機平円盤発売広告」 天賞堂 (1904.1.1)

2020年01月21日 | 音譜目録 天賞堂
 
 
  写声機平円盤

    明治三十六年十月廿七日第一回新輸入
    明治三十六年十一月八日発売開始

      一名 音声の写真
                                    
 ◉最新発明一大進歩 写声機 グラホフォン 平円盤発売広告

 写声機(グラホフォン)と従来の蓄音機(フォノクラフ)とは今や全く其選を殊にし「ジスク」平円盤の最新発明ありてよりは画然各別となれり●蓄音機は速記用事務用若くは当座蓄音発声の事に応用するを以て美術上に於ては価値も多からざるに至れり●写声機は之に異なり声楽、器楽、唱歌、詩吟、物語、語学等凡そ発声に係る美術の最極度に達するの妙機なれは平円盤成功の今日にては紳士令夫人の座右に欠く可からざるの楽器と同様の高度に上れり●故に今日の写声機平円盤を将て従来の蓄音機蠟管と同視するは猶電車を将て乗合馬車に比するに同じきなり●速記代り及び事務用の外に差向たる音曲等は蓄音機蠟管にて一時の用に充つれども到底不十分たるを免れず●写声機は現時「ジスク」平円盤の成功に由て欧米各国にて有名なる奏楽家唱歌者は皆其曲を写声せしめて専ら貴族名門の娯楽に供し第廿世紀の一大進歩を美術上に貢献しつヽあり●是に由て天賞堂は当春を以て特に技手を米国写声機平円盤制作会社より招聘し我国現時著名の奏楽唱歌の諸大家に請ひ其奏曲を写声し之を米国に送り平円盤に製造せしむる事と成せり●此平円盤製造漸く成り第一回の分既に到着し第二回も亦十二月上旬を以て到着するの予定なり●奏曲は
 軍楽〇軍歌〇謡曲〇詩吟〇長唄(囃子)〇琴曲〇笛曲〇三絃曲〇一中節〇河東節〇義太夫節〇大薩摩〇新内節〇端唄〇俗歌等の
諸曲にして百余種の多に及び凡そ日本楽曲を網羅して余さゞるを期するなり●第一回着の平円盤は未だ公然発売広告せさるに既に多数を売り尽して余す所は僅少と成りぬ●第二回着に至らば更に完全の奏曲を整へ得るなり●冀くは諸君閣下この写声機平円盤の従来行はれたる蓄音機蠟管に全然相同じからざるを実試し其然るを證得あらば速に購求して高尚の清娯に供し玉へ 

    東京市京橋区尾張町二丁目(電話新橋特三三三、三一五三)
  時計宝玉内外雑貨類 貴金属美術品及銃砲火薬 天賞堂本店
 ●平円盤写声機価格及曲名一覧御入用ノ方ハ郵券二銭封入御申込アレ

  ◉平円盤奏曲者

   ●陸軍戸山学校軍楽隊●宝生九郎●福地桜痴●橘知定●吉永経和●合田春悦●菅野序遊●杵屋六左衛門●芳村伊十郎●常磐津林中●岸沢文字兵衛●竹本相生大夫●鶴沢弥七●長原梅園社中●清元弥生太夫●清元梅吉●納所辦次郎●松本長●沼田含翠●金剛鈴之助●喜多太平太●観世清康 

  其他諸大家数十名

 上の広告は、明治三十七年一月一日発行の『文藝倶楽部』第十巻 第一号 博文館 に掲載されたものである。


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