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フン・セン独裁政権が強行する総選挙支援でも正体を暴露している安倍自公政権の反民主反人権的体質

2024-02-28 00:59:46 | 安倍政治

 2018年7月11日以来、安倍自公政権は野党や国民には唐突であるだけでなく反対の声が圧倒的に多い中で、参議院の公職選挙法(参院選挙制度)改正採決強行をやり続け、7月18日に成立させた。それも野党に対する圧倒的多数の議席数を有しているという「数の力だけ」を正当性の根拠(これは暴力と言って良い)として。それ以上に重要な事は、これまでの参院選挙制度改革についての経緯をまったく無視し、自己勢力(安倍自公政権)にだけ都合が良い理屈(党利党略、ご都合主義)で改正(公平公正性、民主主義、国民にとっては改悪)した。

 2010年の参院選への最高裁の「違憲状態」判断に対し、国会は12年、「4増4減」の実施と16年参院選までの「制度の抜本的な見直し」を検討し、「結論を得る」と付則に明記した公職選挙法改正をした。15年に自民党はまた法改正したが、公明や旧民主党の「10合区」案に反対して、「合区」を2カ所とする「10増10減」を押し通した。抜本改革については、前回の付則を反故にし、19年参院選までに「『必ず』結論を得る」と先送りした。

 ところが今回、唐突に強引に成立させた改正法は、前回の付則も反故にした内容である。前回の「合区」導入を決めた参院選挙制度改革で与野党協議会座長を務めた脇雅史・元自民党参院幹事長(当時、最高裁が求める抜本改革の実現を主張)も厳しく批判している。「一票の格差」を3倍以内にするため、埼玉選挙区の定数を2増する。比例区には「特定枠」を新設し、定数を4増する。定数は合計で6増する。定数増について納得のいく説明はなされていないだけでなく、さらに得票数に関係なく優先的に当選できる「特定枠」の数の決定は各党の自由とするという内容である。

 この「特定枠」について、メディアは、「合区された『島根と鳥取』『徳島と高知』の現職議員を比例区で救済する意図である」と説明しているが、それはさし当っての目的であり、安倍自公政権の本音を見抜いていないというべきである。

 「特定枠」の数の決定は各党の自由とする、という言葉に込めた安倍自公政権の真の狙いは、比例区でありながら政党が、というより安倍自公政権が自己勢力にとって都合の良い人物を「国民の意思を考慮せず」当選させるため候補者として擁立し当選させる事ができるようにする事であり、「国民の意思を反映しない」候補者であっても当選させる事ができるようにする事が真の目的なのである。これは現在の代議制民主主義の破壊を生む非常に重大事とみなすべきなのである。このような選挙制度改革を推し進める事により、代議制を名ばかりのものにし、国民の意思を反映した参議院ではなくし、憲法の3大原則である国民主権の原則は言葉だけのものに形骸化させ、その先は憲法改悪によって国民主権の原則を否定する事を目指しているのだろう。これが安倍自公政権の真の目的なのである。この事は自民党の岡田直樹氏は今回の参院選挙制度改革、公職選挙法改正を、「抜本的な見直しに当たる」と説明している事からも明白である。

 このような意味で今回の参院選挙制度改革は、安倍自公政権の党利党略であり、ご都合主義であると言うべきなのである。

 このような選挙制度で選ばれた参議院議員が日本国民の将来を決め、憲法改正(改悪となる)を推し進める事になっては子孫に対して申し訳がないと考えなければならない。何としても国民の意思に沿う政権を樹立し、この法律は再改正し、第三者により構成される組織を作り、抜本的な改革をすべきである。議会多数派(広くは利害関係者)によって選挙制度を変質させる事ができないようにするために

 国会の多数派自民党が行政権を握る安倍自公政権と一体となり、自己勢力にとって都合のよい内容に、法律(付則)を反故にしてでも、参院選挙制度を強引に変質(この場合は改悪と言って良い)させるものであり、公平公正を原則とする選挙制度改革(選挙法改正)においても多数決だけを民主主義とみなし、改革改正を正当化する根拠とする短絡した考え方を国会や国民に押し付け受け入れさせようとするもの(衆院選挙制度についても同様の姿勢)であり、今後も同様の手法であらゆる法律を押し通そうとしていると考えておくべきである。

 参院選挙制度改革(公職選挙法改正)にみる安倍自公政権の姿勢、つまり党利党略やご都合主義、独善、傲慢などは、カンボジアの総選挙に対しても露わに出ている。カンボジアではフン・セン首相(人民党)は7月29日に総選挙を実施しようとしている。それも、フン・セン首相下の2017年11月に最高裁の命令により最大野党・救国党を解党させたままで、実施しようとしている。党幹部らは政治活動を禁じられており、フン・セン政府の迫害を恐れて国外へ逃れている人たちも多い。このような状況に対して、欧米の国々は総選挙への支援停止を表明している。しかし、安倍自公政権は投票箱などを供与するとして8億円の支援を決めている。国連人権理事会では3月、45カ国が公正な選挙実施をフン・セン、カンボジア政府に求める声明を出した。しかし、安倍自公政権はこれにも加わっていない

 救国党副党首は総選挙を「自由でも公正でもない。日本政府は選挙支援をやめてほしい。選挙への支援を続ければ、国際社会の日本への敬意は失われるだろう」と訴えている。また、6月17日には東京では在住カンボジア人約1000人が安倍自公政権に支援の中止を求めるデモを実施した。6月22日には日本在住カンボジア人が総選挙への支援をやめるよう求める請願署名書(在日カンボジア人1201人分)を外務省に提出した。請願書には「安倍自公政権がフン・セン政権に対し最大野党・救国党の復活を要請し、正当な選挙を推進する事を強く要望する。フン・セン政権が救国党の復活を認めなければ安倍自公政権は選挙への資金援助をやめるべきだ」としている。

 安倍自公政権は、普遍的な価値観を大切にする政党ではない。また、国民を主権者として大切にする政党でもない。また、単に自民党公明党の国会議員や両党の支持者を大切にする政党でもない。自己勢力にとって都合の良いものを利用するのである。そこには人権尊重の価値観は存在しない

(2018年7月20日投稿)

 

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