2024年1月16日朝日新聞が「東証一時3万6000円台 高値更新5営業日連続」の見出しの記事を掲載した社会情勢に関連して、厨川白村のことばを紹介したい。
厨川白村(1880.11.19~1923.9.2)は、神聖天皇主権大日本帝国政府時代(戦前)の英文学者である。東京帝国大学英文学科に入学し、夏目漱石の指導を受けた。京都帝国大学教授であった。1923年の関東大震災の際には、鎌倉の別荘にあって逃げ遅れ、妻とともに津波に呑まれ、救助されたが泥水が気管に入っていたため、罹災の翌日の9月2日に死去した。彼の著『平和の勝利』から一部抜粋して紹介しよう。
「株式相場を人生の最大事と心得、領土拡張、利権獲得を民族生活の至上の幸福と心得ている者がある。彼らは世界戦乱という文明の破壊、人間屠殺の惨劇をよそ事に見るは愚か、……私腹を肥すはまさにこの時ぞと勇み立った。そのくせ正当に先進国の商工業と競争する実力もなければ勇気もなく、戦前には気息奄々(息も絶え絶えで、今にも死にそうな様)たる連中であった。平和はなるべく遅いがよい、……この上日本はまだ金が儲かるものを。そういう事を言って、この平和の吉報にマユをひそめている火事場泥棒が、どこかその辺にいやしないだろうか。血を見て微笑むは悪魔の心。彼らは人類共同の敵である。」
(2024年1月16日投稿)