朝日新聞GLOBE4/5№228「ナショナリズム私たちを映す鏡」は、大見出し「ナチズムの『解毒』今も、ドイツの試練」と、小見出し「模索続く、日本のナショナリズム」という記事を掲載していた。フランクフルト郊外にある公立ハインリヒハイネ校で歴史の授業を担当するローラ・スキピス先生(30)の「歴史を孤立させず、自分たちの民主主義にどう結びつくかを教えたい」という言葉や、国際教科書研究所長エッカート・フクス氏(58)の「国家の歴史は自国の正当化ではなく、地域、世界の歴史に包摂されねばならない」という言葉に感動した。そして、ナチズムに対する反省から西ドイツが制定し、東西統一後のドイツにおいてもそのまま効力を有する「基本法」(憲法)は、人間の尊厳の保護を国の義務とし、独裁者への抵抗権も認めている、という事を紹介していた。しかし、この記者には見えていないようだが、主権者国民にはもっと大事な事を伝えてほしかった。それは、「基本法」に「良心的兵役拒否」の規定を条文に定めている事である。
西ドイツは、徴兵制を復活した際に、西ドイツの憲法「基本法」に「良心的兵役拒否」を規定した。そして、統一ドイツ成立後もそのまま継承している。「何人(ドイツ国民)も、その良心に反して、武器をもってする(人殺しの)戦争の役務を強制されてはならない」というものである。今日、ドイツは徴兵制であるが、兵役拒否を認められている事で、60%以上の青年が「良心的兵役拒否」を選んでいる。ただ、兵役を拒否する場合、兵役と同期間代替勤務を課しており、老人ホームの介護などの仕事をする事になっている。
かつて三国軍事同盟を締結したドイツが、上記のような変化を遂げているにもかかわらず、敗戦後、憲法第9条を掲げてきた日本国は今日、安倍自公政府がそれを否定改悪しようとしており、政府の一方的で強引な政治姿勢によって、自衛隊の任務を、隊員にとってはこれまでとは異なる予想外な内容に変質させつつあり、それを有無を言わさず押し付けようとしているのである。
安全保障関連法による集団的自衛権の行使は違憲であるとして、現職の陸上自衛官が出動命令に従う義務はない事の確認を安倍自公政府に求めた訴訟の差し戻し審の判決を東京高裁が2020年2月13日に下したが、安保法の憲法判断を示さないという職責放棄をした上に、「今も近い将来も存立危機事態が発生する恐れがあるとは認められない。出動命令も、命令に従わずに懲戒処分を受ける事もあり得ず、訴えは不適法だ」と、司法も原告の不安に対し正面から誠意を持って答えようとせずはぐらかし棄却しているのが現状だ。
『兵役を拒否する場合、兵役と同期間代替勤務を課しており、老人ホームの介護などの仕事をする事になっている。』
素晴らしいですね。この国に比べて,アメリカは第一次、二次大戦の反省はもちろん、国家として何か反省したということがあるのだろうかと,この頃しきりに考えています。連邦政府としては、ボストン茶会事件の時代以降何か反省ということがあったのだろうか? 出発はフランス革命とともに近代を切り開いた国なのに。そして、国際連盟を作った国なのに。
今後も時々覗きます。よろしくお願いします。