2016年3月13日に沖縄県外の旅行者が宿所の那覇市内のホテルで、米軍兵士にレイプされる事件が起こった。1995年9月4日の少女暴行事件が起きた時には10月21日に「県民総決起大会」が実施され沖縄県民を挙げて抗議運動が起きた。そして、日本政府もメディアも問題視したものである。この事件をきっかけにして96年には日米両政府が「普天間飛行場の返還に合意」したのではないか。しかし、今回の事件に関しては、政府は問題視する動きはない。メディアも大きく取り上げていない。そのためか本土の国民も関心が薄いし、事件が起きた事すら知らない人がたくさんいる。この違いは何なのだろうか?
安倍政権としては「辺野古新基地」の建設を達成したい思惑から「触れたくない」という心境から、あっさりと対応したようだ。メディアはおそらく安倍政権の意向を受けて、記事としての取り上げを「自己規制」して報道したようだ。朝日新聞の場合は、見逃してしまうほどの故意に読者が気が付かないようにしているような形で、また、大した問題ではないような形で小さく載せている。以下カッコ内に全文紹介する。
「抵抗できない状態の女性に那覇市内のホテルで性的暴行を加えたとして、米兵が準強姦容疑で逮捕された事件を受け、在沖縄米軍トップのローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官が16日、翁長雄志知事に県庁で面会し、陳謝した。ニコルソン氏は『この事件は我々にとって恥だ。できる限りの事をさせていただく』と話し、在沖米兵に再教育を行う方針を明らかにした。在沖米軍は海兵隊員らが14日以降、那覇市を含む米軍牧港補給地区(浦添市)より南の地域での宿泊を禁止する措置をとった。理由を説明していないが、当面続けるという。」以上。
これだけの記事で済ませている。このような文章からは、読者に対して、事件について考える材料を提供しているとは決して言えない。ここには記事を書く人間と読者との間に意志の落差があると言える。この落差がある事に、記事を書く人間は気づくべきである。朝日新聞は読者にこの事件の問題性を伝えようとするつもりがないのであろうか。
1995年の事件以後も2000年には、米海兵隊員が女子中学生にわいせつ行為。01年には、空軍軍曹が20代女性を強姦。03年には、海兵隊員が女性を強姦致傷。04年には沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落。08年には、海兵隊員が女子中学生を強姦。12年には米海軍兵が女性を強姦致傷。そして、今回の事件である。しかし、上記のように公になっている事件は氷山の一角である事を知っておくべきである。それほどにすべての沖縄県民(被害女性だけでなく、その家族親族、地域住民を含むすべての県民に不幸を及ぼしている事を知っておくべきである)を苦しめているのである。
今回のレイプ事件はこれまでと異なり、沖縄旅行者が被害者となった事である。彼女は沖縄旅行を楽しみ友人とホテルの部屋で楽しく飲食をしていたようであるが、飲み物の追加買いに出たのであるが、戻ってみると友人は眠ってしまったようでオートロック・ドアのために入れず閉め出されてしまったのである。その後廊下で眠ってしまった。そこへ米海軍兵士があらわれて彼女を部屋に連れ込んで暴行したという事である。これについて上記ニコルソン氏は「我々にとって恥だ。できる限りの事をさせていただく」と話し、在沖米兵に再教育を実施するという。加えて、「14日以降、那覇市を含む米軍牧港補給地区より南の地域での宿泊禁止措置をとった」との事。果たしてこのような米軍の対応レベルで済ませて良いのであろうか。
沖縄県外の女性も安心して沖縄旅行ができない、ホテルの中にいても安全ではないという事を示す事件なのである。本土の国民は米軍基地をこのまま沖縄に押し付けておいて良いのか。安倍政権は米国オバマ政府結託し辺野古に新基地をつくり沖縄の米軍基地をさらに強固なものとしようとしている事を本土の国民は許して良いのか。また、本土の国民は、日本に米軍基地を存在させておいてよいのかを本気で考えなければ沖縄県民のみならず自らをも苦しめ不幸にするという事に気付かなければならない。安倍政権は「国民の命と平和な生活を守る」と何度も主張しているがこの言葉が「ウソ」である事はこの事件の対応からも明らかであろう。
このレイプ事件について、15日に同じキャンプ・シュワブに所属する兵士たちへの抗議行動をした人たちに、ある兵士が車から中指を立てて挑発する行為があったという。これに怒った人がボンネット側に回ろうとした時黄色い線を越えたという事で警察に拘束されたという。この人がなにをしたというのだろうか。警察は何を取り締まっているのか。
(2016年3月25日投稿)