「第4の革命」を見て

2012-07-22 23:32:14 | 日記
 先日ドキュメンタリー映画「第4の革命──エネルギー・デモクラシー」(監督:カール・A・フェヒナー)を見てきた。「第4の革命」という仰々しいタイトルは、再生エネルギーが、農業、産業,IT革命に続くものとするところから来ている。

 再生エネルギーの可能性を、産業構造の変革、雇用創出、人類の文明史的意味合いなどから捉え、原発に代わる代替エネルギーとして再生エネルギーが充分その役割を果たせること、そしてまた南北間格差の縮小や、電気の恩恵をほとんどと言っていいほど受けていない第三世界の民衆に大きな希望をもたらすものであることを、世界の様々な先進的な取り組みを取材しながらを明らかにしていく。
 そして、なぜ一部の人たち、主に電力会社や石油企業が再生エネルギーが代替エネルギーとして充分な可能性があることを否定するのか、その構造も明らかにする。

 ドイツ連邦議会議員のヘルマン・シェーアは「パッシブハウス(ドイツで始まった省エネ建築)のような省エネの建物では、エネルギーの40%が自給できる。これはエネルギー供給の革命だ」と言い、「みんな、(現在の)状況を軽視している。それが最大の問題だ。資源の枯渇は争いが増え、健康への悪影響も及ぼす、深刻な問題なのだ」と現在の危機的状況を訴える。

 化石燃料は言うまでもなく環境への大きな負荷ををもたらすし、原発はいったん事故が起こればどれだけ悲惨な状況になるかは、福島原発事故で思い知らされ、使用済み核燃料は溜まり続ける一方で、その放射能の半減期は数万年、危険が無くなるまでに10万年ほどかかると言われる。そして日本ではほとんど話題にならないが、原発は常にテロの危険にさらされているのだ。

 そして再生エネルギーは、巨大企業によるエネルギーの独占ではなく、地域生産による地域自給が可能であることに大きな特徴があるという。そう言えば、日本でもエネルギーの自給を試みている自治体があった。多くの企業が巨大化し、グローバル化することによって世界規模で格差社会が増大している中で、地域消費型の再生エネルギーは、地方の活性化に大きな役割を果たすものと考えられる。

 原発を推進する人も、反対する人も、エネルギーというものの地球的意味、人間だけではなく、地球上に存在するあらゆる生命にとってエネルギーのもつ地球的意味について考えるうえで、ぜひこの映画を見てほしい。


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