江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』を聴いて

2019-02-09 | 随想
2月7日の夜に放送された標記の番組をポッドキャストで聴きました。
この番組は2013年4月から始まったもので、月曜日から金曜日の毎晩午後10時から約2時間続くニュース情報番組です。
主に時事問題や政治問題を取り上げて解説したり討論したり、荻上チキなりの主張をしたりします。

この日は、「野田市の小4女児死亡事件を受け、児童相談所の実情を知り、今後の対策を考える」というものがメインセッションでした。

主として児童相談所の現況を専門家2人(和田一郎:花園大学准教授&茂木健司:群馬医療福祉大学専任講師)の話を荻上チキが引き出す形で進められていました。

直接的には虐待死について言及したものではありませんでしたが、例えば警察との関係や児相の置かれた現実について示唆的な内容を得ました。

・児相の人員や与えられた時間と比べて警察は圧倒的にマンパワーを有していること
・警察からの通告件数が多い割には警察の保持している情報が十分伝えられない事実
・児相は通告される事案がピンキリあって全てが48時間以内に対応が義務付けられている中で重要案件に徹底してかかれない悩み
・今回の事件では児相へのクレーム電話が集中して、ただでさえ時間のない職員が更に動きが取れなくなってしまう事実
→(これは、ある意味でお前らがいけないから、つまり悪い者に対してはオレがやっつけるいう言わば虐待加害者と同じ発想に立つ怖い現象)

特に、今回の事件が報道されるやいな、即「悪者退治」という形で児相に一般の人から数々のクレームが殺到する社会の現実は何を物語っているのでしょうか・・・。
たしかに児童相談所は子どもの命を救える、救えた位置にはあったかもしれません。
しかし、何故救えなかったのでしょうか・・・?
そこにこそ人々の想像力が及ぶべきでしょう。

また、一概に良し悪しは言えないと断った上で、現在児相が受け持っている通告(電話を受ける)と割振り(警察か児相か判断)業務はマンパワーのある警察が行っても良いのではないかという問題提起もありました。

最後に2人の専門家に共通したものは、「暴力を容認する社会的背景」こそが諸悪の根源とするものです。
厚労省が打ち出した「愛の鞭ゼロ作戦」の認知を深める重要性も語られました。
学校や各家庭はあらためて肝に銘じるべきでしょう。

さらに、組織や人を攻撃するのではなく実質的に児相の人員増加のための予算措置が講じられるべきという話もありました。

「暴力」で物事を解決しようとする発想や在り方は意識・無意識を問わず絶対に認めてはならないし、それが社会の根底にある限り虐待もなくならないのではないでしょうか。

今、安倍首相を筆頭に言葉だけでお茶を濁す政治家がどんなに偉そうに語っても、現実社会で苦闘する人々には浸透したり事態を改善したりはできません。
自分自身も含めて、具体的に何をするか問われているように思いました。

TBSラジオのこの発信は実に貴重なものだとあらためて感じた次第です。

<すばる>

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