新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」による感染が急拡大していますが、フランスにおいては今年になってからは1日30万人以上が感染する状況です。
感染は子どもにも拡大し、年明けの4日間で47,000人の感染が確認されたとのことです。
これに伴い全体の約2%に当たる10,000以上のクラスが学級閉鎖に入ったとのことです。
しかし、フランス政府は今回は対面授業にこだわり、新たなシステムを導入したのです。
その内容は、クラスで感染者が出た場合、クラスの子全員が濃厚接触となるものの、「陰性証明があれば登校してもよい」と決めたようです。
しかし、これは1回ではなく2日後と4日後にも陰性証明が必要なのです。
当初、最初の1回目は薬局に行って検査を受けなければならず、親子連れの長い列ができたといいます。
そして、2回目と3回目は薬局で検査キットを購入して自宅で検査をして陰性確認をしたら登校できるという内容でした。
ところが、こういうやり方では大変だということで制度を緩和して、最初から3回とも自宅で検査すれば良いことになりました。
これにより薬局の検査キットは品切れが続出したようです。
フランス在住の娘に聞いたところ、孫の通う学校では未だ子どもの感染者はいないものの担任の一人が感染したとのことで、急遽休校になってしまったとのことです。
孫の話では、いつもその先生は「マスクをしていなかった」とのことでした。
因みにその学校は以前から教員が足らず、校長までが授業を何時間も受け持っているようでした。
今回、感染した孫の担任は複数の学校を掛け持ちしているのか、週2日だけの授業で、残りの2日は別の人が担任をしているようです。
フランスは日本より人事面でも整備されているかと考えていた私は少々驚きました。
今回、フランスの教員の大規模ストライキは3人に1人が参加して、一部の学校で休校が発生したようです。
日本ではとても考えられないようなストライキですが、何故このような手段に至ったのかは、以下の理由によるものです。
・感染拡大が続く中、教員自らが感染したり濃厚接触となるケースが多く、人員が不足して個々の負担が増大する。
・対面授業を継続させたいために政府のとった対策は、陰性証明を各家庭の自主検査に委ねるというもので、確実に陰性が証明される保障はなく感染拡大が懸念される。
娘の話ではこの2点に集約されますが、なにも今回初めて起こった問題ではなく、ずっと以前から定員増を求める教員たちの闘いはあったようです。
現に孫が通う学校は前述の通り担任が固定していなかったり、昨年度は学齢の異なる子どもたちが集まって複式授業のような形態をとっていました。
これでは、親や子どもだけではなく教員の不満も高まります。
私はこの話を聞いて、日本とは異なり教員の権利意識が高いということと、保護者が教員ストに一定の理解を持っているのを感じました。
理不尽な「働き方改革」が当局から提案され、現場の不満は高まっているにも関わらず、闘いに決起することもなく長いものに巻かれっぱなしの日本の一般教員たちとは雲泥の差があります。
また、学校も保護者のクレームが怖いため、先手先手を打って(それを教員に指示するため教員は疲弊する)管理体制に押し込めようとします。
良いかどうかは別として、孫が学ぶフランスの学校では、ストではない時も「先生がいないから明日はお休み」などというのも珍しくはないようですが、それに対して抗議するような保護者はいないということです。
教員たちも自信を持って自分なりの授業をしているようで、保護者のクレームなど想定していないようです。
もっとも、フランスでは学校の役割は授業を中心とした学習指導であり、生活指導や特別活動にはさほど時間はかけていません。
ですから、教員個々の指導方針や方法が日本の高等教育に近いものがあり、いわゆる「担任の当たりはずれ」というか、その子のニーズに合致しているか否かは担任によって大きく異なるようです。
孫の場合、マスクをしないで授業をしていた先生の方が彼女に合っているようで、とても良く理解できるとのことでした。
こんな個性的な教員を生み出す素地がフランスにはあるし、日本の学校に慣れてしまった観点からは問題はあるにしても、懐が深く今後に可能性を残した学校制度だと思わざるをえません。
コロナ禍での教員ストも重要ですが、さらに教育の自由と創造に向けた教員の闘いが今後どのような形で展開されるのか興味深く見つめたいと思います。
<すばる>
感染は子どもにも拡大し、年明けの4日間で47,000人の感染が確認されたとのことです。
これに伴い全体の約2%に当たる10,000以上のクラスが学級閉鎖に入ったとのことです。
しかし、フランス政府は今回は対面授業にこだわり、新たなシステムを導入したのです。
その内容は、クラスで感染者が出た場合、クラスの子全員が濃厚接触となるものの、「陰性証明があれば登校してもよい」と決めたようです。
しかし、これは1回ではなく2日後と4日後にも陰性証明が必要なのです。
当初、最初の1回目は薬局に行って検査を受けなければならず、親子連れの長い列ができたといいます。
そして、2回目と3回目は薬局で検査キットを購入して自宅で検査をして陰性確認をしたら登校できるという内容でした。
ところが、こういうやり方では大変だということで制度を緩和して、最初から3回とも自宅で検査すれば良いことになりました。
これにより薬局の検査キットは品切れが続出したようです。
フランス在住の娘に聞いたところ、孫の通う学校では未だ子どもの感染者はいないものの担任の一人が感染したとのことで、急遽休校になってしまったとのことです。
孫の話では、いつもその先生は「マスクをしていなかった」とのことでした。
因みにその学校は以前から教員が足らず、校長までが授業を何時間も受け持っているようでした。
今回、感染した孫の担任は複数の学校を掛け持ちしているのか、週2日だけの授業で、残りの2日は別の人が担任をしているようです。
フランスは日本より人事面でも整備されているかと考えていた私は少々驚きました。
今回、フランスの教員の大規模ストライキは3人に1人が参加して、一部の学校で休校が発生したようです。
日本ではとても考えられないようなストライキですが、何故このような手段に至ったのかは、以下の理由によるものです。
・感染拡大が続く中、教員自らが感染したり濃厚接触となるケースが多く、人員が不足して個々の負担が増大する。
・対面授業を継続させたいために政府のとった対策は、陰性証明を各家庭の自主検査に委ねるというもので、確実に陰性が証明される保障はなく感染拡大が懸念される。
娘の話ではこの2点に集約されますが、なにも今回初めて起こった問題ではなく、ずっと以前から定員増を求める教員たちの闘いはあったようです。
現に孫が通う学校は前述の通り担任が固定していなかったり、昨年度は学齢の異なる子どもたちが集まって複式授業のような形態をとっていました。
これでは、親や子どもだけではなく教員の不満も高まります。
私はこの話を聞いて、日本とは異なり教員の権利意識が高いということと、保護者が教員ストに一定の理解を持っているのを感じました。
理不尽な「働き方改革」が当局から提案され、現場の不満は高まっているにも関わらず、闘いに決起することもなく長いものに巻かれっぱなしの日本の一般教員たちとは雲泥の差があります。
また、学校も保護者のクレームが怖いため、先手先手を打って(それを教員に指示するため教員は疲弊する)管理体制に押し込めようとします。
良いかどうかは別として、孫が学ぶフランスの学校では、ストではない時も「先生がいないから明日はお休み」などというのも珍しくはないようですが、それに対して抗議するような保護者はいないということです。
教員たちも自信を持って自分なりの授業をしているようで、保護者のクレームなど想定していないようです。
もっとも、フランスでは学校の役割は授業を中心とした学習指導であり、生活指導や特別活動にはさほど時間はかけていません。
ですから、教員個々の指導方針や方法が日本の高等教育に近いものがあり、いわゆる「担任の当たりはずれ」というか、その子のニーズに合致しているか否かは担任によって大きく異なるようです。
孫の場合、マスクをしないで授業をしていた先生の方が彼女に合っているようで、とても良く理解できるとのことでした。
こんな個性的な教員を生み出す素地がフランスにはあるし、日本の学校に慣れてしまった観点からは問題はあるにしても、懐が深く今後に可能性を残した学校制度だと思わざるをえません。
コロナ禍での教員ストも重要ですが、さらに教育の自由と創造に向けた教員の闘いが今後どのような形で展開されるのか興味深く見つめたいと思います。
<すばる>