【火】
古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスは、世界を永遠に生きている「火」だと考えました。その火は、誰かが創ったものではありません。そのため、新たに生まれることも、消滅することもありませんでした。火とは、はじめも終わりもなく常に存在するものです。それは、決まっただけ燃え、決まっただけ消えます。その内部は、絶えず変化をしていました。しかし、その総量は、常に変わりません。
【万物流転】
ヘラクレイトスは、火を万物の交換物だとしています。交換されることで、万物は、絶えず変化しました。火の本性は、交換することです。そのため、静止することがありません。 ヘラクレイトスは、常に変革する状態を川の流れに喩え「万物流転」と呼びました。
また、存在というものは、相反するものがあってこそ、成り立っているものです。ヘラクレイトスは、流れを起こさせている原因を対立「戦い」だとしました。その対立こそが、万物を生じさせているからです。そのため、ヘラクレイトスは、戦いを「万物の父」だとしました。
【理法】
ヘラクレイトスは、万物に共通している根本法則があるとしました。それが理法「ロゴス」です。万物は、このロゴスに従って、配置されています。例えば、それによって、ある者は奴隷となり、ある者は自由人となりました。人間の運命も、その理法によって決められています。ただし、理法というものが、世界とは個別に存在しているわけではありません。 各々の本性に従った結果が理法になるからです。例えば、太陽の運行は、自らの軌道から外れることがありません。太陽が、ただ自分の本性に従いることが、毎日の決まった通りの運行になっています。確かに、全てのことは偶然であり、そこに決まりがあるようには見えません。しかし、ヘラクレイトスは、そこには一つの理法が働いているとしました。
【共同】
それぞれのものは、相互に共同して働いています。そのため、全てのものは、例外なく公共的な存在です。万物は、それぞれつながっており、一つのものとして連携して働いています。そこに完全に孤立しているものなどありません。協働して働いた結果は、常に同じになります。それは、世界がただ一つの同じものだからです。そのため、世界は、永遠に同じ過程を繰り返してきました。世界とは、一つの行為の総体です。特定の条件が揃った時に、ただ特定の出来事が起きます。例えば、円周上では、初めと終わりが共通です。それと同じように世界は、一つの決まった周期を巡っているとされています。その全過程は、常に同じであり、そこには、完成されるべき目的などありませんでした。
【智】
多くの人間は、自分だけの「ものの見方」に従って生きています。そのため、あることを正しいとし、他のことを間違いだとしてきました。しかし、ヘラクレイトスは、人間には、何が本当に正しいのかを判断することは出来きないとしています。ただし、神にとっては、全てが正しいことだとしました。真の知恵とは、万物が一つであることを認めることです。それぞれのものには、ただ違った呼び方があるだけです。ヘラクレイトスは、博識は、真理を教えるものではなく、むしろそれを覆い隠すものだとしました。
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