元旦にNHK-BS1で放送された「不屈の闘志激突 ’85ラグビー日本選手権 新日鉄釜石VS同志社」。最高に良かったです。僕にとっては間違いなく2012年のベスト番組になると思います。
当時の日本選手権は,学生王者と社会人王者の一発勝負。
そこからして今の選手権とは緊張感が違いました。
片や,80年代の学生チームとしてはその域を超えていた同志社大学。
平尾誠二,大八木淳史らを擁するチームは,すでに大学チームに敵は無く,日本選手権で6連覇を続けていた釜石を倒すことを目標にしていました。
一方の新日鉄釜石。
チームは地元の高校を卒業した選手が中心で,彼らはラガーマンである前に,高炉で働く‘鉄の男’たちでした。
当時釜石は日本選手権の常勝チームとなっていましたが,チームの司令塔であるスタンドオフ松尾雄二は,長年の酷使で足の状態が悪化。試合直前まで入院していたという異常事態でした。
よって松尾の引退は既定路線となっており,いよいよ同志社が釜石を倒すのか?という異様な緊張感のなかで行われた試合でした。
もちろん国立競技場は満員。
僕もその現場に居ました。
いつものようにバックスタンドには,釜石の大漁旗が舞っていました。
その光景は目に焼き付いています。
その試合を,当事者の松尾と平尾がNHKのスタジオでノーカットで見つめながら,勝負の裏で何が起きていたのか,知られざる過去や葛藤を語りつくすというのがこの番組です。
もう,全編を通して最高の番組でした。
試合前のロッカールームで気持ちを高揚させる釜石の選手たちが唄った部歌。
映像は部屋のドアを映すのみでしたが,その熱い歌声には,涙が出そうになりました。
光わき立つ 朝空に
新生の鐘 響くとき
見よ たぎり立つ溶鉱炉
おお その聖火 守る者
われら われら 黒鉄のラガー
直後に主将松尾が‘よし行くぞ’ 部員が‘おうっ’。
そしてドアが開き,選手が出ていく…。
番組のほうですが,松尾も平尾も昔からの人柄が全然変わっていなくて,観ていて本当に幸せな気分になりました。
僕は場面場面で真剣に見入ったり,トライに至る球の繋ぎ方を何度もリプレー&スローで見たり。
ユーモアある松尾の話に大笑いしたり…。
試合は釜石の勝利に終わりましたが,両チームともその持ち味を存分に出しきった,本当にいい試合でした。
しかりやはり,釜石の選手たちが体を張って球を繋いでゆくその姿には,何度も,何度も胸が熱くなりました。
ラグビーは,本当に好きです。
学生時代は秋から冬にかけて,ほとんど毎週のように観に行ってました。
やっぱり当時の釜石は,色々な意味で最高のチームでした。
もう,ああいうチームは出現しないでしょう。
自分もあの試合の現場に居合わせたことを,今でも幸せに思っています。
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