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高山陣屋 ~江戸時代の高山の武士の日常が見事にのこされている

2018年09月14日 | 城・屋敷・歴史遺産

高山陣屋(たかやまじんや)は、飛騨高山の中心的な観光スポットです。陣屋とは江戸時代に飛騨を統治した幕府の代官のオフィスのことですが、その建築がのこされている例はほとんどありません。江戸時代の武士の日常がとてもよくわかります。飛騨の豊かさもとてもよくわかります。

ミシュランガイドでも二つ星で、観光客でいつも賑わっています。高山観光には必見です。


陣屋入口には「三つ葉葵」

高山は、江戸時代初めに小堀遠州と並んで茶の湯をリードした金森宗和(かなもりそうわ)の祖父が豊臣秀吉から飛騨国を与えられ、城下町としての発展がはじまります。1692(元禄5)年に飛騨一国が幕府の天領となり、現在の高山陣屋が設置されました。”陣屋”とは、いわゆる”代官所”と同じ意味です。

飛騨国の木材と鉱物資源の豊かさに目を付けた幕府が、幕府財政の安定化をはかって天領にしたと考えられています。高山に駐在した代官(陣屋のトップ職)は、1777(安永6)年には、より格上の郡代(ぐんだい)に昇格します。他に3つしか設置されなかった郡代に飛騨を加えることで、幕府は高山と飛騨国を重視している姿勢を示しました。

高山を象徴する古い町並も、町人によるビジネスがとても活発だったことの賜です。幕府の姿勢が高山のビジネスにも好影響を与えたのでしょう。江戸時代の高山は現在の岐阜県では最大の人口の都市でした。



高山陣屋は県など公共施設のオフィスとして1969(昭和44)年まで使用されていたこともあり、江戸時代の建物群が多く現存していることに価値があります。陣屋建築がこれだけ多く現存するのは高山だけです。1996年に江戸時代後半の絵図を元に復元・改修され、現在の姿になりました。敷地は国の史跡に指定されています。



陣屋では様々な用途の部屋を見学することができます。代官・郡代が客人を迎えたり会議を行った広間は、武家屋敷らしくとてもシンプルな造りです。殿様ではないので豪勢な襖絵はありませんが、それが逆に江戸時代の現実の武士のオフィスの雰囲気をうまく醸し出しています。

代官・郡代の住宅だった建物もとてもシンプルです。現代の県知事のような役職にあたりますが、現実は安月給のサラリーマンでした。時代劇でよく登場する”悪代官”のイメージとはかけ離れた質素な部屋のしつらえです。代官・郡代が優越感を感じられるのは、使用人の使う部屋の畳には縁がないといった、身分差を示す形式的なルールだけでした。江戸時代の普通の武士の暮らしはとても大変だったのです。

陣屋の重要な仕事であった裁判の場であるお白州(しらす)は目を引きます。庶民は白州に座らされますが、武士や僧侶は一段高い縁側で吟味を受けました。三角の角材に囚人を座らせた拷問用具も展示されています。映画のようにとてもリアルです。

高山陣屋で最大かつ最古の建物が御蔵です。江戸時代初期の建築です。興味深いのは屋根で、土蔵にしては珍しい板葺きです。瓦は雪で損傷しやすいのですが交換が大変です。そのため交換しやすい板葺きにしているのです。

内部は江戸時代の様々な民具や史料が展示されています。「飛騨の匠」たちが使った木工道具はきちんと手入れがされており、現在見ても美しいと感じます。様々な鉱物資源が採掘されていたこともわかります。年貢米がうずたかく積み上げられた部屋は圧巻です。



陣屋前の広場では高山名物の「陣屋前朝市」が開かれています。もう一か所の「宮川朝市」と並ぶ賑わいです。雨の日は出店が少なくなりますが、いつも世界中の観光客であふれています。こちらもぜひお楽しみください。

【公式サイト】 陣屋前朝市
【公式サイト】 宮川朝市

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



飛騨の里山の味を自宅でも


高山陣屋
【岐阜県公式サイト】

原則休館日:12/29,12/31,1/1
入館(拝観)受付時間:8:45~17:00(8月は~18:00、11-2月は~16:30)

◆マナー教室◆

◇写真撮影の前に確認! 撮影可能か、立入禁止でないか、三脚や一脚が使えるか?
◇カメラのシャッター音は出ないように、特にスマホは注意!
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、光や熱が美術品を傷つけます!
◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
 手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。
◇靴を脱いで室内を見学する場合、床汚れ防止のため、裸足なら靴下を持参しましょう。
◇庭を散策する場合、通路以外は立ち入り禁止!コケや芝生がふまれて死んでしまいます。



おすすめ交通機関:
JR高山駅下車、東口(乗鞍口)から徒歩10分
JR名古屋駅から在来線特急電車を利用した所要時間の目安:2時間20分

【高山市観光公式サイト】 高山市へのアクセス案内

※鉄道は本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることを強くおすすめします。
※この施設には駐車場はありません。


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