フォークソング。
僕は、メロディやリズムよりも “詩” を重視している。
オリジナルアルバムは、一冊の本を読むように聴く。
10数曲入りのアルバムは短編集。
もしくは詩集である。
フォーク系のアルバムで好きな1枚がある。
ザ・ディランⅡの「きのうの思い出に別れをつげるんだもの」
タイトルは、収録曲である『サーカスにはピエロが』の一節から付けられている。
このアルバムは僕にとっては詩集でもある。
中でも好きな “詩” が『子供達の朝』
♪朝の光からしめ出された子供は
今日も風のようにこの街をゆく
15の時に耳にした祭のうわさに夢託し
遠いところへゆくんだと一人家を出た
でも街の中では誰もが同じ
ネオンサインに恋してけだるさに抱かれて
冷たい石の壁に行手はばまれて
雨ふる街の中に一人しずんでく
カーニバルの夜ふけに人ごみの中に
子供達の求めるものは魔法使いと王女さま
はでな人形たちが絹づれの音させながら
子供の前をすぎるとき町の夢を知る
田舎者という言葉に口唇かむけど
小さなヤクザにもなれやしない
母親たちのおとぎ話が幼い時きけたなら
子供達の朝は手の中で笑っていただろう
作詞・作曲 象狂象(西岡恭蔵)
「ディランⅡLIVE」というアルバムがある。
もちろんこの歌も収録されている。
クレジットには『子供達の朝(永山則夫に捧げる唄)』と表記されている。
永山則夫。
連続射殺魔。
幼少期の極貧生活。
獄中で書いた詩集「無知の涙」
永山則夫のことを思い浮かばながらこの歌を聴く。
この “詩” がより一層、心に突き刺さる。
国語の教科書にでてきても良さそうな詩。
若い世代に知ってほしい歌(詩)だと思う。
子供達の朝