新リア王 上新潮社このアイテムの詳細を見る |
著者 高村 薫氏
【一口紹介】
「新リア王」は、前作の約10年後、曹洞宗の僧侶となった彰之が、今度は実の父・福澤榮と向き合う物語。長年互いに避けあってきた父と息子が突然出会い、仏家と自民党代議士というかけ離れた立場で対峙したとき、血やこころはどこまで通じ合うのか、言葉はどこまで通じ合うのかを極限まで突き詰めてゆく4日間の対決と対話が始まる。
物語は1987年11月30日、雪の西津軽で幕を開ける。青森県政界に君臨する代議士・福澤榮(75)は、実弟淳三の妻・晴子との間にもうけた息子・彰之(41)が住む曹洞宗の草庵・普門庵を突然訪ね、彰之を戸惑わせた。その彰之にも未婚のままもうけた息子・秋道(17)がおり、折しもその秋道が家出したというさなか、榮は長年疎遠だった彰之との対話を試みようとする。
榮は、取りつく島のない僧侶の息子を相手に、とりあえず86年秋の臨時国会開催日の一日を振り返り、田中派に属して大臣を歴任してきた保守本流の代議士が、日々永田町で何を考え、どう行動してきたかを一気に語る。それは、まもなく金庫番の秘書・保田英世を自殺に追いやることになる贈収賄疑惑の、前触れとなる話でもあった。
一方、彰之は出生の事情もある複雑な感情を押し隠し、東大出のエリートが遠洋漁船員を経て出家するに至ったこころも隠したまま、永平寺での禅修行の日々を語り、榮を戸惑わせる。
【読んだ理由】
話題の書。
【コメント】
約500pの長編小説。難解な仏教用語には難渋したが読み終えることができた。