【漢文】
柳下惠爲士師、三黜、人曰、子未可以去乎、曰、直道而事人、焉徃而不三黜、枉道而事人、何必去父母之邦。
【書き下し文】
柳下恵(りゅうかけい)、士師(しし)と為(な)り、三たび黜(しりぞ)けらる。人の曰わく、子未だ以て去るべからざるか。曰わく、道を直くして人に事(つか)うれば、 焉(いず)くに往くとして三たび黜けられざらん。道を枉(ま)げて人に事うれば、何ぞ必ずしも父母の邦(くに)を去らん。
【現代語訳】
柳下恵(りゅうかけい)が司法長官となった時、三回も罷免された。
ある人が、
「どうして三回も罷免されたのに、この国を去らないのですか?」
と尋ねると、柳下恵は、
「真っ正直に仕えれば、どこの国でも三回くらいは罷免されて当然です。不正直に仕えるくらいなら、生まれ故郷の国を見捨てる必要もまたありません。」
と答えました。
【English】
Liu Xia Hui became the chief judicial officer. But he was dismissed three times. Someone asked, "Why don't you leave this country?" Liu Xia Hui replied, "If a person serves a country honestly, he may be dismissed three times in every country. If I did not serve honestly, I have no reason to leave my home country."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。