【内容】
私の趣味は、男性との肉体を伴ったかりそめの恋。それを、私はひそかに「花摘み」と呼んでいる――。出版社に勤めるかたわら茶道を嗜む愉里子は、一見地味な51歳の独身女性。だが人生を折り返し、「今日が一番若い」と日々を謳歌するように花摘みを愉しんでいた。そんな愉里子の前に初めて、恋の終わりを怖れさせる男が現れた。20歳近く年上の茶の湯の粋人、万江島だ。だが彼には、ある秘密があった……。肉体の衰えを感じ始めた世代のリアルな性愛を軸に、自分を偽らずに生きる女たちの姿と、その連帯を描いた著者初の長編小説。
【著者】
田中/兆子
1964年富山県生まれ。2011年、短編「べしみ」で第10回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞する。
14年、同作を含む連作短編集『甘いお菓子は食べません』でデビュー。18年『徴産制』で第18回Sense of Gender賞大賞を受賞。
その他の著書に、『劇団42歳♂』『私のことならほっといて』『あとを継ぐひと』がある。
14年、同作を含む連作短編集『甘いお菓子は食べません』でデビュー。18年『徴産制』で第18回Sense of Gender賞大賞を受賞。
その他の著書に、『劇団42歳♂』『私のことならほっといて』『あとを継ぐひと』がある。
【読んだ理由】
新聞の書評を見て。
新聞の書評を見て。
【最も印象に残った一行】
中年の恋とトイレは行けるときに行っとけ、である。
年老いて、自分でも気づかないうちに、独善的で不快な人間になっているのではないか。もちろんすべてが、私の人が理由で起こったことではない。
私はそういう断捨離の逆張りをいく父の話を聞き、何とはなしに明るい気持ちになった。たとえ八十過ぎようが九十過ぎようが、意欲とお金があるなら、新しいことを始めたり新しくモノを買ったりするほうが人生楽しいに決まっている。
陰で悪口を言い合うのが、人と人とが心を通じ合わせる一番簡単な方法ではある。
【コメント】
最初は読みながら退屈で逢ったが、読み進むにつれて引き込まれてしまった。主人公の恋人の男が私と同じ年代であり、切実さを感じたが、加齢黄斑変性
という網膜の病気で最後に失明したには驚いた。
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