(冒頭写真は、2022.03.07付 朝日新聞記事「ウクライナとロシア 歴史の実相は」より、両国周辺の地図を転載したもの。)
当該記事より、ウクライナとロシア両国の「歴史的一体性」を強調するプーチン氏の姿勢に関する東京大学教授・松里公高氏による説明の一部を、以下に要約引用しよう。
ウクライナとロシアを隔てる国境線はソ連時代にできたもの。
歴史的起源は、9~10世紀ごろに栄えた「ルーシ」にある。
ムスリムが地中海の制海権を握る中、バルト海と黒海を結ぶ河川貿易路が成立した。 ウクライナを南北に流れるドニエプル川などの河川沿いにできた都市国家を公国と呼び、キエフ中心のその穏やかな連合体をルーシと呼ぶ。 この「キエフ・ルーシ」がコンスタンチノープル(現イスタンブール)を中心に栄えていたビザンツ(東ローマ)帝国から、後に東方正教となるキリスト今日を受け入れた。
ルーシと生協の伝統をもつ「東スラブ人」を根っことするのが現在のロシア、ウクライナ、ベラルーシだ。
13世紀にモンゴル人が侵入し、キエフ・ルーシの時代は終わる。
その後東西ルーシが分かれ、モスクワなどが含まれる東ルーシは、今日のっロシアの起源となる。 西ルーシはウクライナやベラルーシに相当し、モンゴル衰退後はリトアニア大公国が拡大する。
現在ロシア人が好きなのは、ウクライナやベラルーシは同根の兄弟だという主張だ。 一方でウクライナ側は、キエフ・ルーシはウクライナ国家の起源であり、その時点で、自民族の特性が成立しているとみる。 ベラルーシならば、リトアニア大公国の伝統を強調するだろう。
歴史は互いのアイデンティティを正当化する源泉だ。 ただ、こうした歴史が大きな論争になったのは、1990年代のソ連崩壊と各国独立の時期だ。 いわば古くから歴史画ある方が偉いというような主張をする。 (中略)
ちょうど300年後、ソ連共産党の指導者フルシチョフがクリミア半島を、ロシアからウクライナに割譲した。
現在のウクライナは、ロシア領のほかに、ドイツやハンガリー領だった地域など、6つの地域区分ができる。 現在の動乱の説明としては対ロシアの関係をめぐるウクライナ東部と西部の地域対立があると言われるが、そんな単純な二分論では語れない複雑な歴史がある。 (中略)
現在のプーチン大統領の主張とは、ソ連共産党が民族を創出したためにウクライナが分離したのはけしからん、との論理だ。 しかし、民族意識に基づいて今の国境線を変えたい、という主張は通らないし、戦争の理由にならない。 ソ連崩壊時に国際法上の原理に基づき、それまでの行政境界線を国境にして、15の連邦構成共和国のみ独立を承認したといういきさつがある。
ただ、環黒海地域では、ウクライナ内のドンバス地域のように分離の動きが戦争につながりやすく、数々の非承認国を生んでいる。 欧州と中東のはざまでロシアやトルコが影響を及ぼし合い、欧州諸国のような主権国家の建設が困難に直面している状態だと言っていい。
(以上、朝日新聞2022.03.07付記事を要約引用したもの。)
ここで一旦、原左都子の私事に入らせていただくが。
私は2度目の大学・大学院にて「経営法学修士」を取得すると同時に。
高校・中学「商業」「社会」の教職免許を取得している。
私が教職免許を取得した時代は、未だ「社会」が「地歴」「公民」に分かれていなかった時代背景だった。
そのため「社会」の教職免許を取得していれば、原則として「地理」「歴史」も教えようと思えばそれが叶った頃だ。
いえもちろん、その心得が無いに等しい私がそんな冒険はしないし、そのオファーも無くて命拾いだったものだ。
参考だが、私が商業高校教員として就業した高校現場では商業科諸科目と並行して「現代社会」を受け持たせてもらい、この教科に関しては私なりに充実した授業を施せたと自負している。
要するに、「社会」教職免許を取得しているにもかかわらず、「地理」「歴史」に関しては、さほど精通していない身ということだ。
そんな私にとって、現在勃発してしまっているプーチン氏によるウクライナ侵攻の現実には、日々心が痛む思いだ。
もう少しでもロシア及びその周辺情勢の歴史や地理関係に詳しければ、もっと詳細にその動向が掴め私なりの下手な論評が可能になるのに、と地団駄踏みつつこの情勢を日々見守っていた。
そうしたところこの朝日新聞記事に出会い、私なりに「ウクライナとロシアの歴史」の実相を少しは鳥瞰できたか??、との気になれそうか。
それにしてもだ。
プーチン氏の主張である、「ソ連共産党が民族を創出したためウクライナが分離したのはけしからん!」とのこの論理はひとまず置いておくとしても。
それがためにウクライナを執拗に攻撃し続け、核施設までにも狙いを定めて攻撃しているプーチン氏の怨念とは一体何なのか!!?
ウクライナ人の犠牲者は子供たちにまで及び、生まれたての赤ちゃんが逃げ着いた他国の地下に避難せねばならない状況だ。
人の怨念とは実に空恐ろしいものだが。
これ程までのウクライナ人民の犠牲を伴って尚、プーチン氏の怨念の程が未だ収まらない状況を懸念してやまない。