本エッセイ集においてこのような表題を掲げると、「ついに“左”が売りの原左都子も連日の暑さで脱水症状でも起こし、頭が朦朧としてしまったか??!」とご心配下さる読者の方がおられるかもしれない。
私は決して民主党支持派ではない。 そして自民党より劇的政権交代後の前鳩山政権は元より、その後バトンタッチした後の現菅政権についても批判的に捉えている国民の一人であることは揺ぎない事実だ。
これに関しては民主党が政権を奪取して以来、「原左都子エッセイ集」バックナンバーにおいて幾度となくその旨を公開し続けて来ている事を、少し長い期間このエッセイ集をお読み下さっている方々はご承知の事であろう。
ただそんな原左都子にして、今回野党を中心に持ち出された「菅首相退陣論」の趣旨の心髄の程がよく分からないのだ。
大震災発生により国内が混沌とした中4ヶ月が経過しようとしている今尚、被災地では一向に復興が進まず、片や原発事故等で汚染水の処理をめぐり緊迫状況が続くその渦中に、野党や民主党内部から持ち出された今回の「菅首相退陣論」だったことは皆さんもご存知であろう。
今我が国の首相を交代させることにより、現在国家の最優先課題であるべき“大震災からの復興”が進展するのならば、一国民としてそれを歓迎したいところである。 ところが菅氏を退陣させてどなたかに首相の首をすげ替えたところで、大震災の復興が劇的に進展するとは到底思えない程の民主党内の“致命的人材不足”の現実に国民誰しも落胆する実態ではないのだろうか…。
いえいえ、事の本質とは要するに永田町という“国民を蚊帳の外に置いた特殊な歪んだコップ”の中で、醜い私利私欲の争いが繰り広げられているだけの事に関しては原左都子も当然理解しているよ~。 自民党をはじめ今回「菅首相退陣論」を持ち出した野党各党は早期に政権を取り戻すことを狙いとして、現在内紛を表ざたにしている民主党内のゴタゴタ惨劇を利用し菅政権を潰しにかかっていることは重々承知している。
(本エッセイ集バックナンバー「永田町のコップの中身」を参照下さい。)
今回、原左都子が一見菅政権支持者かと読者の皆さんに誤解されそうな表題の記事を綴ろうとしたのは、朝日新聞6月26日の「声」欄がきっかけだった。
82歳の男性投稿者の方は、「首相退陣論、よく分からない」との題目で以下のごとくのオピニオンを述べておられた。
私は菅政権に全面的に賛成ということではない立場だが、今菅さんを辞めさせる理由がよく分からない。 先日の内閣不信任案騒動でも何故不信任なのか分からなかった。 世間の支持がないから退陣させるとの他党のごり押しや審議拒否や、マスコミも一緒になっての菅退陣論が世論を動かし世論を作り上げたからそれに国民も従えといわれるのも分からない。 未曾有と言われる危機の中では、各政党が知恵を出し合って政策を決めていくことが必要ではないのか。 そんな時に菅さんがやめればいいというのは、やはり分からない。
上記「声」欄の投書に力を受けて、原左都子の私論を以下に展開しよう。
私は上記投書者であられる82歳男性よりも、おそらく菅政権に対しより批判色が強い立場に属している国民であると自己分析する。
そんな立場からは野党の魂胆はともかく、一旦野党より内閣不信任案を提出されたならば、それに菅氏は政策的に応えるべく反応をするべきであろうと考えていた。 にもかかわらず、菅氏は言葉を濁しつつ退陣時期を明確にしないまま時間が過ぎ去ったため、国民の不信感を不必要に煽ったのが事実であろう。
先だっての6月28日の新聞報道によると、菅氏は自らの辞任時期に関して、震災や原発事故に対する一定の目途がついた時点で若い世代に責任を引き継ぎたいとの意向のようだ。 さらに第二次補正予算案の成立、及び再生可能エネルギー特別措置法の成立、特別公債発行案の成立。 これら三つの成立を持って自らの退陣の目途と考えるとのことである。
私論であるが、これらを今こそ菅氏に実行してもらってはどうなのか??
もしも、あらかじめその実行能力が菅首相に一切ないことが元々証明されているから故に野党や民主党身内の間で菅氏の首相としての能力を既に見限っているとするならば、その根拠は元より大震災復興の代替案も含めて、野党側から国民の前で明白にした後に“菅降ろし”を公言して欲しいものである。
ところが“菅降ろし”発言は高々なれど、大震災復興案に関しては野党からその代替案が全く聞こえて来ない現状ではあるまいか??
と言うのも、ほんの一例ではあるが、菅首相が大震災発生直後の福島第一原発事故発生直後に取った行動に関して、後に原左都子がNHKスペシャルで見聞したテレビ報道によると、その菅氏の行動は十分理に叶っていると判断するからである。
あの大震災直後に既に福島原発はメルトダウン状態だったことが報道により明らかにされた。 大震災の翌日菅首相がヘリコプターで福島に直行した事に関する疑惑や批判がメディア報道により世に蔓延していたことを私は憶えている。
菅首相が大震災の翌日に何故福島に直行したのかと言えば、後のNHKスペシャルの報道によると「ベント」を指示したにもかかわらず東電の手動操作がかなわず、いつまで経っても「ベント」を実行しないのにイラついた菅氏が急きょ現地へ出向いたものと聞いた。「ベント」が不能だったことが結局は早期メルトダウンという最悪の事態と繋がったようだ。(正確ではないかもしれないが。)
今回の未曾有の大震災において初期段階で一番優先するべきだったのは、やはり原発事故の周辺住民への被害を最小限に留めることではなかったかと、元科学者の端くれの原左都子も結論付けるのだ。 その意味では、当時菅首相が取った行動は理に叶っていたと私は評価する。
7月に入った今現在尚、東電福島第一原発現場では汚染水循環利用システムや汚染水プール内の汚染除去システムに関して故障また故障の連続であり、高濃度の放射能汚染を周囲に撒き散らしている現状だ。
これに関して私が今すぐ訴えたいのは、この処理を東電及び菅政権に任せ切りにするのではなく、もしも与党内菅反対勢力や野党各党においてその対策を講じられる道筋(先進科学者のコネ等)があるのならば、何故申し出ないのか!!と言うことだ。 「政権が我が身に移るのならば、協力してやってもいいよ~~~」などと狭い視野で敵対意識を燃やしている場合ではなかろうに!
この緊急事態から原左都子が察するに、要するにこの国においては与野党議員共に誰もそんなコネなどなく、原発を推進してきた自民党時代より、元々今回のごとく未曾有の原発事故発生時に適切な対策が取れる研究者など一人として育成していない状態、ということが証明されているようなものだ。
それは原発事故以外の被災地の全般に関しても同様の貧弱さではないのか??
もしそうであるならば、結局野党や与党内菅反対勢力の意向通り今回菅氏が退陣して民主党のどなたかに政権をバトンタッチしたところで、大震災の復興が進展する見通しが立たないことは見え見えであろう。
(この期に及んで復興担当に任命された松本大臣の“嫌い”発言の低レベルぶりにも驚かされるというものだ。 それ程民主党内では人材不足が深刻な事態のようだが……)
自民党内から人材を起用してみたりの菅政権の“体たらく”ぶりには辟易としつつも、今回の大震災復興に対して後を継ぐ能力がある人材が誰一人として存在しなさそうな中においては、とりあえず菅氏の辞任時期に関する3条件表明を受けてはどうなのか??
私は決して民主党支持派ではない。 そして自民党より劇的政権交代後の前鳩山政権は元より、その後バトンタッチした後の現菅政権についても批判的に捉えている国民の一人であることは揺ぎない事実だ。
これに関しては民主党が政権を奪取して以来、「原左都子エッセイ集」バックナンバーにおいて幾度となくその旨を公開し続けて来ている事を、少し長い期間このエッセイ集をお読み下さっている方々はご承知の事であろう。
ただそんな原左都子にして、今回野党を中心に持ち出された「菅首相退陣論」の趣旨の心髄の程がよく分からないのだ。
大震災発生により国内が混沌とした中4ヶ月が経過しようとしている今尚、被災地では一向に復興が進まず、片や原発事故等で汚染水の処理をめぐり緊迫状況が続くその渦中に、野党や民主党内部から持ち出された今回の「菅首相退陣論」だったことは皆さんもご存知であろう。
今我が国の首相を交代させることにより、現在国家の最優先課題であるべき“大震災からの復興”が進展するのならば、一国民としてそれを歓迎したいところである。 ところが菅氏を退陣させてどなたかに首相の首をすげ替えたところで、大震災の復興が劇的に進展するとは到底思えない程の民主党内の“致命的人材不足”の現実に国民誰しも落胆する実態ではないのだろうか…。
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いえいえ、事の本質とは要するに永田町という“国民を蚊帳の外に置いた特殊な歪んだコップ”の中で、醜い私利私欲の争いが繰り広げられているだけの事に関しては原左都子も当然理解しているよ~。 自民党をはじめ今回「菅首相退陣論」を持ち出した野党各党は早期に政権を取り戻すことを狙いとして、現在内紛を表ざたにしている民主党内のゴタゴタ惨劇を利用し菅政権を潰しにかかっていることは重々承知している。
(本エッセイ集バックナンバー「永田町のコップの中身」を参照下さい。)
今回、原左都子が一見菅政権支持者かと読者の皆さんに誤解されそうな表題の記事を綴ろうとしたのは、朝日新聞6月26日の「声」欄がきっかけだった。
82歳の男性投稿者の方は、「首相退陣論、よく分からない」との題目で以下のごとくのオピニオンを述べておられた。
私は菅政権に全面的に賛成ということではない立場だが、今菅さんを辞めさせる理由がよく分からない。 先日の内閣不信任案騒動でも何故不信任なのか分からなかった。 世間の支持がないから退陣させるとの他党のごり押しや審議拒否や、マスコミも一緒になっての菅退陣論が世論を動かし世論を作り上げたからそれに国民も従えといわれるのも分からない。 未曾有と言われる危機の中では、各政党が知恵を出し合って政策を決めていくことが必要ではないのか。 そんな時に菅さんがやめればいいというのは、やはり分からない。
上記「声」欄の投書に力を受けて、原左都子の私論を以下に展開しよう。
私は上記投書者であられる82歳男性よりも、おそらく菅政権に対しより批判色が強い立場に属している国民であると自己分析する。
そんな立場からは野党の魂胆はともかく、一旦野党より内閣不信任案を提出されたならば、それに菅氏は政策的に応えるべく反応をするべきであろうと考えていた。 にもかかわらず、菅氏は言葉を濁しつつ退陣時期を明確にしないまま時間が過ぎ去ったため、国民の不信感を不必要に煽ったのが事実であろう。
先だっての6月28日の新聞報道によると、菅氏は自らの辞任時期に関して、震災や原発事故に対する一定の目途がついた時点で若い世代に責任を引き継ぎたいとの意向のようだ。 さらに第二次補正予算案の成立、及び再生可能エネルギー特別措置法の成立、特別公債発行案の成立。 これら三つの成立を持って自らの退陣の目途と考えるとのことである。
私論であるが、これらを今こそ菅氏に実行してもらってはどうなのか??
もしも、あらかじめその実行能力が菅首相に一切ないことが元々証明されているから故に野党や民主党身内の間で菅氏の首相としての能力を既に見限っているとするならば、その根拠は元より大震災復興の代替案も含めて、野党側から国民の前で明白にした後に“菅降ろし”を公言して欲しいものである。
ところが“菅降ろし”発言は高々なれど、大震災復興案に関しては野党からその代替案が全く聞こえて来ない現状ではあるまいか??
と言うのも、ほんの一例ではあるが、菅首相が大震災発生直後の福島第一原発事故発生直後に取った行動に関して、後に原左都子がNHKスペシャルで見聞したテレビ報道によると、その菅氏の行動は十分理に叶っていると判断するからである。
あの大震災直後に既に福島原発はメルトダウン状態だったことが報道により明らかにされた。 大震災の翌日菅首相がヘリコプターで福島に直行した事に関する疑惑や批判がメディア報道により世に蔓延していたことを私は憶えている。
菅首相が大震災の翌日に何故福島に直行したのかと言えば、後のNHKスペシャルの報道によると「ベント」を指示したにもかかわらず東電の手動操作がかなわず、いつまで経っても「ベント」を実行しないのにイラついた菅氏が急きょ現地へ出向いたものと聞いた。「ベント」が不能だったことが結局は早期メルトダウンという最悪の事態と繋がったようだ。(正確ではないかもしれないが。)
今回の未曾有の大震災において初期段階で一番優先するべきだったのは、やはり原発事故の周辺住民への被害を最小限に留めることではなかったかと、元科学者の端くれの原左都子も結論付けるのだ。 その意味では、当時菅首相が取った行動は理に叶っていたと私は評価する。
7月に入った今現在尚、東電福島第一原発現場では汚染水循環利用システムや汚染水プール内の汚染除去システムに関して故障また故障の連続であり、高濃度の放射能汚染を周囲に撒き散らしている現状だ。
これに関して私が今すぐ訴えたいのは、この処理を東電及び菅政権に任せ切りにするのではなく、もしも与党内菅反対勢力や野党各党においてその対策を講じられる道筋(先進科学者のコネ等)があるのならば、何故申し出ないのか!!と言うことだ。 「政権が我が身に移るのならば、協力してやってもいいよ~~~」などと狭い視野で敵対意識を燃やしている場合ではなかろうに!
この緊急事態から原左都子が察するに、要するにこの国においては与野党議員共に誰もそんなコネなどなく、原発を推進してきた自民党時代より、元々今回のごとく未曾有の原発事故発生時に適切な対策が取れる研究者など一人として育成していない状態、ということが証明されているようなものだ。
それは原発事故以外の被災地の全般に関しても同様の貧弱さではないのか??
もしそうであるならば、結局野党や与党内菅反対勢力の意向通り今回菅氏が退陣して民主党のどなたかに政権をバトンタッチしたところで、大震災の復興が進展する見通しが立たないことは見え見えであろう。
(この期に及んで復興担当に任命された松本大臣の“嫌い”発言の低レベルぶりにも驚かされるというものだ。 それ程民主党内では人材不足が深刻な事態のようだが……)
自民党内から人材を起用してみたりの菅政権の“体たらく”ぶりには辟易としつつも、今回の大震災復興に対して後を継ぐ能力がある人材が誰一人として存在しなさそうな中においては、とりあえず菅氏の辞任時期に関する3条件表明を受けてはどうなのか??