白井健康元気村

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わが南山公園の素晴らしき四季 【連載】藤原雄介のちょっと寄り道(79)

2024-12-07 05:30:03 | 【連載】藤原雄介のちょっと寄り道

【連載】藤原雄介のちょっと寄り道(79)

わが南山公園の素晴らしき四季

 

白井市(千葉県)
 

▲南山公園の北側からの景色

▲南山公園の夕陽を眺めるのが好きだ
 
 今回は「ちょっと寄り道」ではなく、「ちょっと一休み」したい。
 
 私は朝の散歩が好きだ。ここ2年ほど、暑い日も寒い日も、雨の日もそして雪の日もほぼ欠かさない。我が家のドアを開けて2分ほど歩くと、南山公園の雑木林に分け入ることができる。この公園を小1時間歩くのが日課だ。
 南山公園の細長くて大きな敷地の中央部分は調整池だ。その周りをナラやクヌギの雑木林や竹林、そして桜並木が取り囲んでいる。公園の広さは7.6ヘクタール。複数の遊歩道を総てめぐると50分ほどかかる
 四季折々に違った顔を見せてくれるのだが、とりわけ日に日に緑が濃くなってゆく初夏と、日ごとに木の葉の色が濃くなり、小径が枯れ葉で被われていく秋の景色が美しい。
 そうそう、桜の季節の豪華な風景も忘れてはいけない。12月初旬の今は、秋の終わりのもの悲しさが漂い、オナガ、シジュウカラ、モズ、ツグミの鳴き声が入り乱れる中に、あまり優雅ではないグワッグワッというカルガモの声や羽音、水音が混じる。
 また、時折聞こえるコゲラ(キツツキの一種)が枯れ木を突っつくコンコンコンという音が朝の静寂を際立たせる。落ち葉を踏みしめて歩けば、ドングリが落ちるカサッ、ポトッという音、靴底でドングリが押し潰されるパチッパチッとはじけるような音に何故か侘しさが募る。
 

▲公園に続く並木道。晩秋

▲公園に続く並木道。紫陽花の頃  

▲噴水広場

▲枯れ葉に被われた小径

▲お気に入りのベンチ

▲雪の散歩道 

▲合歓木が美しい

▲楽しい花見 

▲春は黄菖蒲(キショウブ)群落が美しい 

▲彼岸花も咲く

▲地域猫の集会


▲地域猫。わが友クロちゃん


 
 調整池には橋が架かっている。橋の真ん中辺りで水面を見下ろすと、数十匹の鯉が泳いでいるのが見えるだろう。ほとんどが黒い地味な鯉だが、13匹の美しい錦鯉が色を添えている。大きなものだと、体長1メートルは超えている。
 橋の上から、食パンなどを投げ入れると、鯉の他、亀、カルガモ、オオバンなどが一斉に押し寄せ、凄まじい争奪戦が繰り広げられる。亀やカルガモは鯉の俊敏な動きに為す術なくただアワアワと右往左往する様が滑稽であり、また哀れでもある。よく目を凝らせば、鯉の数十センチ下にはブラックバスの魚影がチラチラと見え、鯉が食べ損ねたパンの切れ端を素早く忍者のように掠め取っていくのも面白い。
 
 私がここに住み続けている理由の一つが、我が家の直ぐそばに南山公園があることなのだが、近年、この南山公園が大きな危機に直面し続けているのである。まず松食い虫被害により、20本以上の松の木が伐採された。また、ナラ枯れによって30本以上の樹が立ち枯れてその多くが既に伐採されている。
 このままでは、そう遠くない将来、美しい林がスカスカになってしまうかも知れない。更に、多くの樹木に絡みついた葛(クズ)の蔓が日光を遮断してその樹を枯らしてしまうこともある。葛の蔓は、夏には一日に1メートルも伸びる。葛は蔓を切るだけでは退治できず、むしろ繁殖を促すことになってしまう。その巨大な根っこにマッチ棒のような形状の特殊な薬剤(商品名:ケイピンエース)をぶち込み、数ヶ月をかけて徐々に根っこが死滅するのを待つしかないのだ。

 話は脱線するが、葛は18世紀後半に園芸品種として日本から米国に持ち込まれた。その後、1930年代には、大規模な砂嵐による土壌浸食から土壌を護るために大量の葛が植えられたのだが、その凄まじい繁殖力で米国南西部を覆い尽くしてしまった。そのため、葛は侵略的外来生物に指定され、人々は葛をモンスタープランツと呼び、葛に被われた土地はグリーンデザート(緑の砂漠)と皮肉られることになった。
 
 
 

▲グリーンモンスター

▲葛との戦い

▲手強い葛の根っこ

▲松食い虫にやられた松。すでに伐採された

▲黄色いテープが巻かれたナラ枯れの樹が30本あまりある

 

 南山公園のもう一つの問題は、荒れ果てた竹林である。長い間、適切に間引きしていないので、枯れて倒れた竹が多く見苦しい。最後の問題は、池の東側の法面の大部分が直径1センチメートル、高さ3~4メートルほどのササダケに占拠されていることだ。ササダケが視界を遮るので、池の水面が見えなくなっているし、自生している多くの樹木がササダケの闇に閉じ込められている。これまでに伐採したササダケの藪の中から、思いがけない数の合歓木やサクラ、ネズミモチ、柿の木等の樹木が現れた。

 それらの多くは、長年ササダケに日光を遮られてきたせいで、ヒョロヒョロと情けない姿をしており、中には光りを求めてササダケの隙間を縫うようにクネクネと枝を伸ばして異様な姿に変化しているものもある。闇から解放され、陽の光が当たるようになると、木々は見る見るうちに元気づき、本来の美しい姿を取り戻していった。まだまだ沢山残っているササダケの壁に立ち向かう闘志が湧いてくる。
 
 これらの問題解決に立ち上がったのが、ボランティア団体「グリーンレンジャー」だ。当初、6人だったメンバーは3年で15人にまで増え、葛やササダケと戦いつつづけている。「グリーンレンジャー」の詳細については、これまでに何度も当健康元気村のブログで取り上げてきたので、ここでは触れない。
 
 今回は「ちょっと一休み」で風情のある文章で終わりたかったのだが、野暮な終わり方になってしまった。反省。

 

           

  

【藤原雄介(ふじわら ゆうすけ)さんのプロフィール】
 昭和27(1952)年、大阪生まれ。大阪府立春日丘高校から京都外国語大学外国語学部イスパニア語学科に入学する。大学時代は探検部に所属するが、1年間休学してシベリア鉄道で渡欧。スペインのマドリード・コンプルテンセ大学で学びながら、休み中にバックパッカーとして欧州各国やモロッコ等をヒッチハイクする。大学卒業後の昭和51(1976)年、石川島播磨重工業株式会社(現IHI)に入社、一貫して海外営業・戦略畑を歩む。入社3年目に日墨政府交換留学制度でメキシコのプエブラ州立大学に1年間留学。その後、オランダ・アムステルダム、台北に駐在し、中国室長、IHI (HK) LTD.社長、海外営業戦略部長などを経て、IHIヨーロッパ(IHI Europe Ltd.) 社長としてロンドンに4年間駐在した。定年退職後、IHI環境エンジニアリング株式会社社長補佐としてバイオリアクターなどの東南アジア事業展開に従事。その後、新潟トランシス株式会社で香港国際空港の無人旅客搬送システム拡張工事のプロジェクトコーディネーターを務め、令和元(2019)年9月に同社を退職した。その間、公私合わせて58カ国を訪問。現在、白井市南山に在住し、環境保全団体グリーンレンジャー会長として活動する傍ら英語翻訳業を営む。


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