ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

わくわくする楽しい野球マンガをありがとうございました~水島新司氏を悼む~

2022-01-17 22:02:22 | ひと
マンガ家の水島新司氏が亡くなられた。
投げて、打って、かっこいい、だけの野球マンガに専門性と深みを与えた人でもあった。
本人自身が野球をすることが好きだったから、あれだけの野球マンガと、飽きないストーリーを考えられたのだ。


野球マンガで日の目を見たのは、1970年ごろから少年サンデーに連載された「男どアホウ甲子園」だったと思う。
あの頃は、少年サンデーを愛読していたものだから、主人公が生まれたときに、野球好きの爺ちゃんが、孫の名前を「甲子園」と付けて、届け出をしたというエピソードが印象的だった。
今にして思えば、その主人公の藤村甲子園が入学した南波高校で一緒に野球をするチームメートに個性があって-丹波左文字とか―、そこが面白かったりしたのだった。
ただ長嶋茂雄の引退に、ストーリーを無理やり合わせたから、ちょっと白けたのを覚えている。


個性的な登場人物と言えば、なんといっても、「ドカベン」に尽きる。
かっこよくない、ずんぐりむっくりの山田太郎が主人公。
キャッチャーを主人公にしたが、最初は、「熱血柔道マンガ」として連載されていた。
その体型は、柔道マンガにこそふさわしかった。
それが、岩鬼とともに舞台を野球に移していくのは、最初は無理があるなあと思っていた。しかし、話が進むにつれ、最高の野球マンガとなっていった。
チームメートの、里中、殿馬、微笑たちの個性。
それに劣らない、不知火、雲竜をはじめとする多くのライバルたち、。
彼らの所属チーム、明訓高校を倒そうとする数多のチームとの地区大会や甲子園大会での死闘に、目を奪われた。
ストーリーの展開に絡む、野球の奥深さ。
アウトになったはずなのに得点が記録されるなど、ルールを熟知したからこその奇抜な展開。
本当に面白かった。
だから、高校野球での戦いを描いた「ドカベン」と「大甲子園」は、大人になっていたが、家で何度も何度も繰り返し読んだ。


青年コミック誌「ビッグコミックオリジナル」では、「あぶさん」を描いた。
実在のプロ野球選手が続々と登場するのは、それらの選手たちとの交流があったからだろう。
特に、巨人を中心に人気があったセ・リーグではなく、パ・リーグの南海ホークスという地味なチームを取り上げて、主役のあぶさんこと景浦を活躍させたのは面白かった。
野村、江夏、藤原、門田ほか、他チームの選手たちも。
三冠王をとった落合と景浦の争いなど、実在の選手とフィクションの登場人物とをタイトル争いさせる場面もあり、現実がこうだったらもっと楽しいだろうなという思いを抱いたものだった。


そして、少年マガジンに連載された「野球狂の詩」。
最初のうちは、「東京メッツ」という架空のチームで活躍する、選手たちの個性豊かなプレーをたっぷり楽しんだ。
50歳代のエース岩田鉄五郎だとか、女形の藤娘・国立だとか、ジンクスを生かす甚久寿だとか、「ドカベン」に負けずに楽しかった。
その後、女性の水原勇気を、野球選手にするというストーリーには、面食らったが。
ただ、女性選手の登場などは、その後独立リーグなどでは現実のものとなった。

一人一人の個性を生かして野球をするとか、学級経営をするとかいうのは、案外水島氏のマンガから学んでいたのかもしれない。
自分も、30代まで小学校の野球チームを指導するという機会があったが、個性を生かしたチーム作りは、本当に楽しかった。

そんな面白い野球マンガをたくさん描いてくれた水島氏が、新潟出身だということは、ちょっぴり誇りであった。
新潟県自体は、日本文理が夏の大会で準優勝するまでは、完全に野球弱小県であったゆえ、なおさらだった。

野球文化の発展に、マンガという手法から寄与してくださった水島新司氏。
わくわくする野球マンガ、本当に楽しかったです。
ありがとうございました。
心からご冥福をお祈りいたします。
合掌。


コメント
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