No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

レッテル張り

2024-11-27 | 


秋田県では、この7月に豪雨による大きな浸水被害が発生した。当時、僕の知人がTV局のインタビューを受け、その様子が全国ニュースで放映された。その知人宅には損害はなく、被害地域の親類宅に片付けに来ている際にインタビューを受けたらしい。知人曰く、執拗に「こういう大雨はよく降るのか」、「過去にも同じような被害があったか」、「ここに住んでから何番目のレベルの雨か」、的なことを聞いてきたらしい。「ははぁ(ニヤ)」と気づいて、多分求めているであろう「もう40年以上住んでいるけど、この地域でこんな大雨は初めてだ。」という内容をサービスで答えたら、それがそのまま放映されたと笑っていた。実際には過去にも似たような水害は何度もあったという。街頭インタビュー的なものは放映側が言いたいことを、代わりに住民から言ってもらうための手法と化している。当放送局が言っているわけじゃないんです。あくまで住民の生の声です、という構成にしたいのであり、その為の答えを引き出すのがインタビュアーの腕の見せ所となる。そして「よし!良い撮れ高だ!」となる。つまり「いまだかつてない大雨」というレッテルを貼りたいのであり、最初から結論は決まっている。この手のレッテル貼りは、マスメディアの常とう手段である。実のところはよく分かっていないのに、民衆は盲目的にレッテルに従って、物事を判断する。その思考の放棄こそが、実は恐ろしいことなのである。つまりレッテル貼りとは、思考を放棄させる目的で使われているのである。例えば、「裏金議員」などは典型的な面白い題材だけど、まあ今回は辞めておく。

いま一番気になっているのは、レッテルと少し異なる「闇バイト」という用語である。そもそも警察庁自体が「闇バイト」という用語を使っている。こういう形態を知らしめるという意味では一定の効果があったのも事実である。だが報道で「闇バイト」という言葉が連呼され、それだけではなく「受け子」、「掛け子」、「実行役」などの用語も繰り返される。僕は、これらの報道が「闇バイト」の抑止力にならないどころか、罪悪感のハードルを下げていると思っている。「ブラック企業」という言葉があるが、これは労働条件や経営姿勢などに問題のある会社を言う。逆にいえばブラックとはいえ、その存在自体が違法とは言えない面もある。ブラックかどうかは人によって見解が分かれる場合もある。だが「闇バイト」は違う。何をどう解釈しても、これは単なる犯罪行為である。それが通常のバイト募集のような振りをしている点では、闇バイトかもしれない。だが繰り返すと「バイト」などではなく、報酬目的の「犯罪」である。それをニュースなどで「闇バイト、闇バイト」と繰り返せば、「まあ確かにヤバイけど、あくまでバイトだし、他にも多くの人もやっているからな」と思う人がいても不思議はない。マスメディア側だって、そうなることは分かっているのである。でもキャッチーな「闇バイト」というキーワードをマスメディアが手放すことはないだろう。なあ銀次郎さん。「お前の話は長くて、つまんニャいな」。・・・・。

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6 コメント

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Unknown (charlottemichigan)
2024-11-27 08:48:10
こんにちは😃

その豪雨の時のインタビュー、
たまたま見たかもしれません。
「わ、模範解答!」、
テレビ局もさぞかしやり易かったことだろう、と思いましたf^_^;
お知り合いだったとは!

「闇バイト」については、私も6様と同じように、使い慣らされて軽くなる言葉に疑問を感じていました。

が、先日、フジ系のニュース番組で、
一連の闇バイト事件を統括する警視庁の担当者(女性)が、
「いわゆる高額案件やホワイト案件への応募はアルバイトへの応募ではない。これはもう犯罪への応募で、まさに人生破滅への応募だ」と厳然とおっしゃっていて、
そのインタ自体はそこそこフジも天晴れかな、とf^_^;
こういった言い方、考え方がもっと若い人たちの間に広まればいいがな、
と思いました。
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Unknown (翡翠)
2024-11-27 09:37:35
おはようございます(*^-^*)

私も闇バイトのバイトという部分に
違和感しかありません。
犯罪なのにバイト感覚って違うだろうと。
指示に従って犯罪をするのが仕事と思うって
想像力のないワカモノは動かしやすいのでしょうね。

まだ善悪の判断のつかない
子供の頃、悪いことをしたら
地獄に行くと言う怖いお話を
信じていました。
善悪の判断がつく年頃になると
地獄に行こうが行かまいが
悪いことはしませんでした。
それが普通なんですけどね(´ε`;)ウーン…

良いとこだけ取られて
自分は尻尾切りで
人生詰み・・・
他人の人生も奪ってしまう。
犯罪の先にあるものは
どういう状況なのか。
想像力は大事ですよね。
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全くその通り (てり)
2024-11-27 10:57:56
フィギュアスケートのインタビューなんかも「分かりきったことをくどくどと」訊きますよね、
いつも「よけいだなあ~」と思って観てます。
災害のインタビューとは若干違いますが、要は「持っていきたい方向」があるわけですね。
 闇バイトの話もいちいち納得です、犯罪がとても軽々しいものになってしまう。
今の若者に想像力がなくなったわけではないのでしょうが言葉の力は恐ろしいですね。
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charlottemichiganさん (6x6)
2024-11-27 20:17:33
見られたのですか??
実は僕は見ていなくて、話で聞いただけなんです。当時、誰もそれが全国放送なのか、ローカルのみなのか、分かりませんでした。

闇バイトは、警察側は力を入れて来ていると僕も思います。長官が抜け出せなくなっている若者に向けて「躊躇わず警察に相談して欲しい、貴方のことも、家族も必ず守ります」と宣言したのは良かったと思います。でも何となく「闇バイト」を連呼しているニュース番組もまだ多いですよね。闇バイトと連呼することに疑問を持つ方がいることがわかり、僕も安堵しました。
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翡翠さん (6x6)
2024-11-27 20:23:33
善悪の判断が付かないのか、もしかすると判断を放棄しているのかなと思います。
被害者のことも映画の中の登場人物みたいに捉えているような気がします。
みな血が通っていて、それぞれの人生があり、それぞれの家族がある。そこに眼を向けさせなきゃいけないのに、「闇バイト」と面白おかしく報道してはいけないですよね、
現実を知ったときは、もう既に遅くなってしまわぬおうにすべく、バイトなんかじゃないと大人が言わないとと思います。
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てりさん (6x6)
2024-11-27 20:30:05
フィギュアスケートのインタビューですか、今度注視してみます。何となく分かるような気がします。
一時期、「今の気分を◯◯に例えると〜」と意味のない質問も流行りましたよね、もう見出しとかバズることとか、そんなことしか考えていない(笑)、

追伸:犯罪は現実の出来事で、取り返せないし、軽いどころか一生ついてまわり現実ですよね。
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