【コラム】東京で問う=韓国
中央日報日本語版 4/17(水) 10:19配信
久しぶりに訪れた日本には活気があった。夜景は明るく、市民の楽しそうな表情と対話が目を引いた。桜が満開だったこともあるが、桜の花よりも満開の経済が余裕をもたらしたからだった。
天皇の即位が近づいていた。新元号「令和」を準備する日本列島は過去の記憶を地層に埋めて未来の扉を開けていた。希望の時間を迎えようとすれば儀典が必要だが、新天皇が即位する5月1日、前後10日間を「国民祝日」に指定した。予想外の長い連休をプレゼントされた日本人は「失われた20年」の悔恨から強い国家、強い経済に向かっている。
『万葉集』の「初春令月、気淑風和」から二つの字を引用した。「初春の令月にして、気淑く風和らぎ」、「令和」だ。新しい統治をするという表現だ。過去の栄光を熱唱してきた安倍首相は、強いイメージを隠そうとするかのように文化的な色彩で新元号を照明した。「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」という。大正と昭和の時代の残酷な歴史が刻印されている韓国人にとって年号は決して平和な友邦イメージではない。『書経』堯典の「百姓昭明、協和万邦」(民は光り万国は和合する)に由来する昭和時代、韓国は帝国の踏みにじられて苦しんだ。大和民族を頂点にした「五族協和」の夢想に朝鮮・中国・満州・モンゴルが二流、三流人種に転落した。日本の元号に吐血する理由だ。
昔も今も日本は隣国の警戒を気にかけない。中国の夢と一帯一路を宣言した習近平主席に負けじと日本は強盛大国が目標だ。執権7年目、連続3選の道をすでに磨いた安倍首相は「2020東京オリンピック」を弾みに国民総生産600兆円に向かって疾走する。
アベノミクスは絶賛放映中だ。東京都内は各種工事の真っ最中で、新宿、赤坂、銀座に新築ビルが高くそびえる。日本人と距離がある「融通性」は長い経済沈滞で学んだ教訓だった。高層ビルを貫通した車道を設計し、線路沿いの容積率を高めてデパートや便宜施設を引き込んだ。さえないソウル駅や龍山(ヨンサン)駅とはあまりにも違う洗練された駅中心圏が随所に形成されている。職場があふれ、年収が一定金額以下の階層には時間外超過労働を認めた。弾力勤労制だ。「オタク」を除いてすべての青年が就職する。「一億総活躍相」は希望出生率を1.8に引き上げ、100歳時代に向けて医療天国を構築中だ。100兆円にのぼる家事市場を企業間協業スマートライフ政策に任せた。以前の日本ではない。あちこちで活力と希望があふれている。安倍首相に「令和」は神からの贈り物だ。
中華文明の周辺国の日本は645年から元号を使用した。中国の目に障ったが、懲らしめるにはあまりにも遠かった。半周辺国の朝鮮は元号を使えなかった。その代わり太平聖代を謳歌した世宗大王(セジョンデワン)時代には「時間の形」づくりに心血を注いだ。集賢殿の学士が科学的な発明で後押しした。日時計が正午を示せば普信閣(ボシンガク)の鐘を鳴らし、北岳山(プガクサン)の水を流した。民の農作業と生存の責任を負うという聖君の時間政治だった。雅楽を整理して俗楽を普及させ、政治を音楽に触れさせた。天命を重んじる国だった。
東京から眺めた今日の韓国はもどかしさを感じた。文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げた「国らしい国」とは何か。反問は続いた。「正しい国」とは何か。市民の現実に触れない政権の正義はそれでも正義か。我々は希望を持っているのか、誰が未来を話すのか。元号に歓呼する隣国の日本のように希望を生み出す政治をしているのか。
世間の話題がなぜバーニングサン、スンリ(V.I)、金学義(キム・ハクウィ)、チャン・ジャヨンなどきまり悪い事件に向かうのか。南部支庁ほどで解決してもかまわない事件が未来の談論を踏みにじって創造的な思考を毀損するのを助長する偏狭な形態にため息ばかり出てくる。未来の韓国を涙で訴える青瓦台(チョンワデ、大統領府)参謀はいないのか。タク・ヒョンミンは演出に長けた曲芸師だったし、社会首席秘書官の金秀顕(キム・スヒョン)は不動産監視センター長、さらに中国と日本に背を向けて北側だけを凝視する外交策士。そして「差し出がましいことはやめろ」と剣突を食った。
「慰安婦合意破棄」はよくなかった。100億ウォン(約10億円)で売った朴槿恵(パク・クネ)の無知な決裁が積弊の筆頭だったが、それでも国際慣例を無視して国家間の合意を一方的に破棄すればどんな副作用を招くかを深く考えるべきだった。
過激な無効宣言が日本の道徳的良心を呼び起こしただろうか。日本のテレビは嫌韓番組を終日放送している。むしろ韓国は「信用できない国」という烙印が押された。
東京から眺めた韓国は「不信国家」であり未来談論が蒸発した「過去回帰国家」だった。東京で問い返していると、改めてもどかしさを感じた。
宋虎根(ソン・ホグン)/中央日報コラムニスト/ポステック(浦項工科大学)人文社会学部長
天皇の即位が近づいていた。新元号「令和」を準備する日本列島は過去の記憶を地層に埋めて未来の扉を開けていた。希望の時間を迎えようとすれば儀典が必要だが、新天皇が即位する5月1日、前後10日間を「国民祝日」に指定した。予想外の長い連休をプレゼントされた日本人は「失われた20年」の悔恨から強い国家、強い経済に向かっている。
『万葉集』の「初春令月、気淑風和」から二つの字を引用した。「初春の令月にして、気淑く風和らぎ」、「令和」だ。新しい統治をするという表現だ。過去の栄光を熱唱してきた安倍首相は、強いイメージを隠そうとするかのように文化的な色彩で新元号を照明した。「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」という。大正と昭和の時代の残酷な歴史が刻印されている韓国人にとって年号は決して平和な友邦イメージではない。『書経』堯典の「百姓昭明、協和万邦」(民は光り万国は和合する)に由来する昭和時代、韓国は帝国の踏みにじられて苦しんだ。大和民族を頂点にした「五族協和」の夢想に朝鮮・中国・満州・モンゴルが二流、三流人種に転落した。日本の元号に吐血する理由だ。
昔も今も日本は隣国の警戒を気にかけない。中国の夢と一帯一路を宣言した習近平主席に負けじと日本は強盛大国が目標だ。執権7年目、連続3選の道をすでに磨いた安倍首相は「2020東京オリンピック」を弾みに国民総生産600兆円に向かって疾走する。
アベノミクスは絶賛放映中だ。東京都内は各種工事の真っ最中で、新宿、赤坂、銀座に新築ビルが高くそびえる。日本人と距離がある「融通性」は長い経済沈滞で学んだ教訓だった。高層ビルを貫通した車道を設計し、線路沿いの容積率を高めてデパートや便宜施設を引き込んだ。さえないソウル駅や龍山(ヨンサン)駅とはあまりにも違う洗練された駅中心圏が随所に形成されている。職場があふれ、年収が一定金額以下の階層には時間外超過労働を認めた。弾力勤労制だ。「オタク」を除いてすべての青年が就職する。「一億総活躍相」は希望出生率を1.8に引き上げ、100歳時代に向けて医療天国を構築中だ。100兆円にのぼる家事市場を企業間協業スマートライフ政策に任せた。以前の日本ではない。あちこちで活力と希望があふれている。安倍首相に「令和」は神からの贈り物だ。
中華文明の周辺国の日本は645年から元号を使用した。中国の目に障ったが、懲らしめるにはあまりにも遠かった。半周辺国の朝鮮は元号を使えなかった。その代わり太平聖代を謳歌した世宗大王(セジョンデワン)時代には「時間の形」づくりに心血を注いだ。集賢殿の学士が科学的な発明で後押しした。日時計が正午を示せば普信閣(ボシンガク)の鐘を鳴らし、北岳山(プガクサン)の水を流した。民の農作業と生存の責任を負うという聖君の時間政治だった。雅楽を整理して俗楽を普及させ、政治を音楽に触れさせた。天命を重んじる国だった。
東京から眺めた今日の韓国はもどかしさを感じた。文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げた「国らしい国」とは何か。反問は続いた。「正しい国」とは何か。市民の現実に触れない政権の正義はそれでも正義か。我々は希望を持っているのか、誰が未来を話すのか。元号に歓呼する隣国の日本のように希望を生み出す政治をしているのか。
世間の話題がなぜバーニングサン、スンリ(V.I)、金学義(キム・ハクウィ)、チャン・ジャヨンなどきまり悪い事件に向かうのか。南部支庁ほどで解決してもかまわない事件が未来の談論を踏みにじって創造的な思考を毀損するのを助長する偏狭な形態にため息ばかり出てくる。未来の韓国を涙で訴える青瓦台(チョンワデ、大統領府)参謀はいないのか。タク・ヒョンミンは演出に長けた曲芸師だったし、社会首席秘書官の金秀顕(キム・スヒョン)は不動産監視センター長、さらに中国と日本に背を向けて北側だけを凝視する外交策士。そして「差し出がましいことはやめろ」と剣突を食った。
「慰安婦合意破棄」はよくなかった。100億ウォン(約10億円)で売った朴槿恵(パク・クネ)の無知な決裁が積弊の筆頭だったが、それでも国際慣例を無視して国家間の合意を一方的に破棄すればどんな副作用を招くかを深く考えるべきだった。
過激な無効宣言が日本の道徳的良心を呼び起こしただろうか。日本のテレビは嫌韓番組を終日放送している。むしろ韓国は「信用できない国」という烙印が押された。
東京から眺めた韓国は「不信国家」であり未来談論が蒸発した「過去回帰国家」だった。東京で問い返していると、改めてもどかしさを感じた。
宋虎根(ソン・ホグン)/中央日報コラムニスト/ポステック(浦項工科大学)人文社会学部長
でも国内ではあまり評価されていないのは日本のマスコミがそうさせているのでしょうね。