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「薬剤師の婚活 ドSの女 詩音 」駆け込み寺居酒屋ポン吉 働く女性たち
スーパーの中の薬局で風邪薬を探していたら「健康シューズ」という靴を発見した。なんでもこの靴は歌手の西条秀樹が脳梗塞で倒れた後のリハビリに軽くて柔らかい靴はないかと本人が監修したという効能書きがあった。ところが売れなかったのか?定価5980円のところ1980円の特売になっている。試しに履いてみると軽くてなんら普通の靴と遜色はない。そこで2足買おうと色を物色していたら薬剤師の女性が声をかけてくれた。
「もし寸法が合えば絶対にお得です。私も定価で買って父に履いてもらったらもう1足ほしいといっていましたから」
「そうですか~」といってもう1足買ったら試供品のチオビタ栄養剤を3本くれた。
それから数日してこの靴で散歩していたらこの薬剤師さんに声をかけられた。
「お客さん~どうでした?」
「ええ、具合がいいのでもう1足買いに行ったがもう合う寸法はありませんでした」
薬剤師と話をしながら西大路駅の方に歩いていたら居酒屋「ポン吉」の前でママに見つかってしまった。なにせこのママはサラリーマンの退勤時間になったら店の前をウロウロして知り合いを見つけたら強引に店に誘う特技があった。私も強引に口説かれて店に入ったがなぜかこの薬剤師さんもついてきた。この薬剤師さんは詩音さんといいフランス人の父と日本人との母のハーフでそのせいか背はスラリと高く色は真っ白の美人で31歳だという。
しかし、話し方はベタベタの京都人でフランス語のなまりなどはどこにもない。詩音さんはやはりワインが好きなのかなんの遠慮もしないでガバガバ飲んでいる。ほど良く酔った頃に、
「伊奈利さん、あの店には処方箋の調剤で入ったが、そんなものは数えるほどでほぼ1日中薬や衛生用品の陳列作業やレジばかりなの...」
「それでも薬剤師募集では時給2500円~2900円とあるよ~」
「そら~まあね~高給だけど...それも良い悪しなの...」
詩音さんも婚活を少し焦っているようで色々な合コンには顔を出しているという。私の相手というのはほとんどが10年ほど前に大学を卒業したサラリーマン、その頃は不景気で初任給も低く昇給もなかった、ところが今年の大卒の初任給は20万円ぐらいになっている。それだと10年前に入った社員とはほんの2万円ぐらいしか差はなく手取りでも20万円ぐらいだといっている。これでは詩音さんのほうが倍以上稼ぐことになる。詩音さんはそんなこと気にしないから付き合おうといっても男性の方が萎縮してしまうそうだという。
そこでママが口を出してきた、
「私は男は昼間は稼いで夜は女を満足させる男しか相手にしないの、とはいってもこれがなかなか現実にはいないのよね~伊奈利ちゃんは稼ぎが悪いし…」
詩音さんは、
「私はその反対で昼は私が稼いで夜は私がサービスして好きな人が喜び満足する顔が見たいの〜なんていうか~ドSなのよ」
「それって~ドM伊奈利ちゃんの求める理想像ではないの?」
こうして楽しい時間を過ごしてママにチエックサインをするとママは、
「はい、もう詩音さんからいただいています、それに伊奈利さんの焼酎のボトルも入っています。それにタクシーももう来ます」
「えっ、なんでタクシーなの?」
「伊奈利ちゃん~相変わらず鈍感ネ…それで小説なんか書けるの?、女はね~気が合う人とはセックスがしたいの〜私は詩音さんの気持ちが痛いほど分かるから…ひと肌脱いだのよ!」
「ん?…???…」
こうして南インターのラブホテルに入った。私は詩音さんに、
「あそこのママは客のおごりだとガバガバ飲む癖があって相当高くついたでしょう、それに焼酎のボトルまでありがとうございます」
「それはいいんだけど~ママさんが今夜だけ私に伊奈利さんを貸してあげるといっていたけど...それどういう意味なの?あの幸子ママのなんなの?」
「いゃいゃ、それは~その~あの~」
(おわり)
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