1分で読めるミニ小説 夏野夏・音川伊奈利 ★~小さな夏ちゃんの物語
★~小さな圭ちゃんの物語
………悩み………
…小さな夏ちゃんの物語…
小さい夏ちゃんが公園から帰ると、
「お帰りー夏ちゃん、冷蔵庫にスイカがあるよ。
ちゃんと手を洗ってね。」
ってママが言いました。
「はーい。」
夏ちゃんは手を洗って、冷蔵庫からスイカを出しました。
台所のテーブルのとこに持っていって、
どっこいしょと椅子に座り、
夏ちゃんは、スイカを食べ始めました。
「美味しい?田舎のおばあちゃんが、送ってくれたスイカだよ。」
夏ちゃんの、おいしそうな食べ方を見て、
ママは幸せな気分になりました。
手に持っていたペンと、電卓を置いて、
家計簿をパタンと閉じました。
そして、
「夏ちゃんは、いいねぇー。
夏ちゃんには、悩みなんてないでしょー!?」
と、思わず言ってしまいました。
「え?悩みって?悩みってなぁに?」
「悩み、って、困ったことよ。」
「え、夏ちゃんにも、困ったことあるよ。悩み、あるよ。」
夏ちゃんの思いがけない言葉に、ママは、え?っと思いました。
幼稚園で、何か、問題があるのかしら。
「な、夏ちゃん、悩みって?困ったことって?
マ、ママにお話してみて・・・。」
「夏ちゃんねー、幼稚園で、水筒のふたが開けれないの。
開けれないと困っちゃうの。お茶が飲めないの。」
小さい夏ちゃんの水筒は、お姉ちゃんのお古でした。
栓がきついのは、洗うときにママも気づいていました。
明日、新しいのを、買って上げましょう。
でも、夏ちゃん・・・
貴女の悩みはまだそんなものなのかー。
ママは、ふーっとため息をつきました。
………銀の鈴………
…小さな圭ちゃんの物語…
圭ちゃんは、お父さんから幼稚園の入園のお祝いにもらった銀の鈴がついたキーホルダーが、よっぽど気に入ったのか幼稚園の小さなショルダーバックに留めて毎日歩いて10分のくるみ幼稚園まで、「チャラ、チャラ、チャラ、チャラ」鈴の音をさして通園していました。
やがてその鈴の音が聞こえると、「あ!圭ちゃんだ・・・」といって近所の人が家から飛び出して「圭ちゃん、おはよ~」「圭ちゃん、おかえり~」と声をかけてくれます。そのつど圭ちゃん、明るい笑顔でパパからもらった鈴を自慢して鳴らすようになりました。
その圭ちゃんの誕生日に今度はおばあちゃんから金の鈴がついたキーホルダーがプレゼントされて二つになりました。それから圭ちゃんにはキーホルダーが喜ぶといろんな人からプレゼントされてもう30個にもなっていました。そして音も「チャラ、チャラ」から「ガチャ!ガチヤ!」とやかましいぐらいになったのでお母んが、
「圭ちゃん、もう~そんなにたくさん重いから気にいったのだけにすれば?」
「ママ~ダメダメ、だって~これ全部気に入っているもの~」
「でも~重いでしょう?」
「ううん~ほらこの金の鈴はおばあちゃん、パンダは田中さんっちのおばさん、ミッキーは新ちゃんから、これは~親戚の~」
「け、圭ちゃん、わかったわかった。でも~パパからもらった銀の鈴は?」
「ママ~ヘヘヘ~ないの~」
「ヘヘヘってなによ~もう気色悪い圭ちゃん!」
「あれ~夏ちゃんの誕生日にあげたの~ママ」
「な、夏ちゃん?夏ちゃんって年長組みの夏ちゃんに?だって圭ちゃんよりお姉さんよ!いや~それはいいんだけど~・・・」
その夜、圭ちゃんのママはパパにこのことを報告しています。
パパは、
「ヘエ~圭にも好きな女の子が、アッハッハッ、さすが俺の息子だ!」
「パ、パパ!何をニヤついているの?」
「だってママ、俺の最初のプレゼントをもう忘れたのか?」
ママはハッとしました。そうです、パパと付き合って最初の誕生日のプレゼントが銀の鈴がついたブローチだったのです、そしてママはパパより一つ年上だったのです。
★~いつもHなお話を書いている夏野夏が小さな子供を題材にしたものを書いてきた。またいずれここで発表するが、自分の子育ての中の経験から「ふと、可愛い」と思ったしぐさや言葉を素直に書いている作品が多くあります。文章を書く、または作家というのはこの「ふと感じたこと」をこのブログに定着させることだということを教えてくれています。
★~私もこの夏野夏の作品を読んで、私の子供の小さいときはどなんしぐさやお話をしてたかということを思い出して書いたのがこの作品になります。もし私が夏の作品を読んでいなかったら私もこんな可愛い文章なんてものは一生涯書けなかった。
★~またこの作品を読んだ人が、「そうやねん、私もそんな可愛い経験」があると思い出していただけたらこれも楽しいものです。そしてこのように人様に読んでいただく作品として投稿していただければまたブログ作家が一人誕生したことになります。もしここに作品を掲載したい人がいましたらメールで作品を送ってください。そしてペンネームを決めてください。これは検索されますからなるべく真剣に考えてほしいものです。私が「そうだ!作家になろう」と思って最初にしたことはこのペンネームを考えたことです。(音川伊奈利)
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