風は少しずつ、しかし「確実」に変わりつつある。
当方は安倍内閣誕生前から、一貫して、「デフレ脱却までは、消費増税を凍結せよ」と主張して参りました。
https://www.youtube.com/watch?v=MnUBGj-itBU
したがって
2012年の当時の「安倍衆議院議員」の総裁選の頃から、その旨を「安倍議員」に繰り返し「説明」しておりましたし、今日でもことあるごとに「消費増税はデフレ脱却までは凍結すべき」との旨を主張し続けてきました。
しかし残念ながら、こうした主張にもかかわらず、かの民主党の野田政権下でのいわゆる、「消費増税についての三党合意」が交わされ、それに沿う形で、2014年に消費増税が断行されてしまいました。
結果、我が国の経済は激しく疲弊してしまったのは、本メルマガ読者ならば、よくご存じのことと思います。
そうした状況を受けて、安倍総理は、これまでに「二度」もの「消費増税の延期判断」をしたのですが、昨年の衆議院選挙ではついに、自由民主党は、「10%消費増税」を公約に掲げ、勝利する「恰好」となりました。
もちろん、多くの有権者は、10%に消費増税をしたい「から」自民党に投票したのでなく、他の政党に政権を任せるくらいなら、自民党にしておくことがまだ良いだろう―――という判断で自民党に投票したに過ぎない、というのが一般的な認識です。
だから誰もかの選挙結果を受けて、「世論が消費増税を支持したのだ!」なぞと本気では思っていないのが実態です。
しかし、少なくとも先月の自民党総裁選が終わるまで、霞ヶ関・永田町は、「消費増税は既定路線だろう」という空気に支配されていました。
実際、筆者がどれだけ、「今、消費増税を断行すれば、経済が腰折れ、財政再建のために必要な日本の財政基盤それ自体が破壊され、かえって、財政が悪化しますよ!」と、様々な客観データを用いて主張しても、
https://www.youtube.com/watch?v=DNXSugXq-jo
「藤井さん、確かにそうかもしれないけど、与党公約だから、もう増税は既定路線だよ」という「諦め感」たっぷりのレスポンスにさらされるのが、「いつもの日常的風景」でした。
・・・しかし・・・
自民党総裁選で、「安倍総理勝利、石破氏善戦」の結果が得られてから、にわかに霞ヶ関・長田町の空気が変わり始めました。
もちろん、安倍内閣の公式見解は消費増税であることに変わりありません。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181001-00000582-san-pol
しかしそれでもなお、大手新聞社の一つである産経新聞では、田村秀男氏が、『自民総裁選に物申す、「消費税増税中止」の議論を』
https://www.sankei.com/premium/news/180915/prm1809150006-n1.html
と明確に、消費増税に反対する議論を展開しておられます。
あるいは元財務官僚で安倍総理とも近い、霞ヶ関・永田町ウォッチャーでもある高橋洋一氏は、『二度あることは三度ある!?
消費増税「スキップ」あるか改憲とデフレ脱却の切り札に』
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180922/soc1809220003-n1.html?ownedref=rensai_not%20set_newsList
『不祥事続いた財務省の「けじめ」なき消費増税、国民感情が許すはずない
増税スキップなら、デフレ完全脱却への切り札に』
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181002/soc1810020002-n1.html?ownedref=rensai_not%20set_newsList
という記事を立て続けに配信すると同時に、『消費増税なら改憲は無理』という点も現代ビジネス誌上で主張しておられます。
https://gendai.ismedia.jp/articles/57650?page=3
もしこの高橋氏の「政局判断」に、一定の合理性があるとするなら、この度の沖縄知事選における反自民党系のデニー玉城氏の勝利は、ますます政府・与党が、消費増税「凍結」の決断を下す可能性を上昇させる効果があると考えることができるでしょう。
そもそも、霞が関で「消費増税路線は盤石」だと思われていた、昨年10月の時点でも、消費増税に「反対」の国民は「44%」であり「賛成」の「35%」を大きく上回っていたのが実態です。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171016/k00/00m/010/129000c
そうである以上、「今年の秋、消費増税を断行します!」と「党」として主張する政党は、「参議院選挙の大敗リスク」
を抱え込むことになります。
そして何といっても、本当に消費増税が断行されれば、実際に景気が大きく後退し、国民の不満が爆発してしまうリスクは、明白に存在します(――というより確実にそうなるでしょう)。
もちろん、現政府は、その悪影響を最小化するための様々な取り組みを同時並行で行う、とは主張しています。
しかし、消費増税による破壊的インパクトを相殺する対策など、(少なくとも現状の「財政当局」の緊縮的姿勢下では)不可能であるというリスクもまた明確に存在するのです。
(※ 筆者は本当に消費増税を断行するなら、10~15兆円の経済対策を最低でも五カ年は継続する必要があると、推計していますが、消費増税を断行する緊縮的勢力が、そんな対策を許容するはずはないだろう―――
と想定することも可能なわけです。
https://jp.reuters.com/article/c-tax-fujii-idJPKCN1LM0XM)
こうした状況を踏まえると、安倍政権であろうがなかろうが、「時の政権」がそこまで大きな「リスク」を冒してまで
消費増税を断行しようとは「しない」可能性は、十二分以上にあると考えるのが、当たり前の政局判断だと言うこともできるのです。
こうした状況を受けて今、「増税は延期されるのではないか?」
「増税は延期すべきである」
といった言説が、「言いやすい」空気が確実に国内にできあがりつつあるのであり、それが、先に紹介した、
総裁選後の数々の記事だったわけです。
・・・・
もちろん、政治は空気で行うべきではありません。
しかし、空気がまっとうな議論を「抑圧」するような状況は異常事態としか言い得ません。
だからそうした抑圧的な空気が希薄になり始めたとするなら、それは日本がこれ以上衰退し続ける悪夢を回避できる「好機到来」を意味しているのです。
そうであるのなら後は、心ある国民が可能な限りの力をつかって、理性と事実に基づくまっとうな議論を展開していくことが、強く求められているのです。
From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)
この消費税凍結の動きについて11/19虎ノ門ニュースで青山参院議員から、「来年6月に消費税凍結する可能性がある。そういう動きがある」という話が出ました。
私も消費税凍結に大賛成です。消費税アップで日本経済はまた、大きく後退することは間違いありません。
消費税凍結に向けた動きを支援したいと思います。