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石津川

2014-06-06 18:22:11 | 石津川

 先日、浜寺水路でウナギシラスを確認しました。大阪湾の漁業について知っている人ならば大阪湾河口域でウナギシラスの漁がおこなわれていることは周知の事実のようですが、今回浜寺水路ではじめて確実なデータを得ることができました。
 さて、ウナギは川を遡ることが知られています。浜寺水路に流れ込む石津川の支流百済川でも堺市の調査などでウナギが確認されていますし、私自身もコサギがウナギらしきものを捕えているところを見たことがあります。また、最近ではアユが石津川で確認されています。川で孵化したアユは海に入りますが、沿岸域で育ったのち、再び川に帰るそうです。
 つまり、浜寺水路は石津川と不可分の関係を持っているわけです。では石津川はどんな川なのか?今回おおよその姿を見るために石津川を遡ってみました。地図の番号は写真の番号です。

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 出発点は石津川と百済川の合流点です。ここには、石津川本川、百済川双方に落差工があります。この落差工はどちらもふだん水が小規模な滝となって落ちていますが、大きな満潮のときには乗り越えることもあります。つまりこの落差工のあたりまでが観潮域といっていいのではないかと思います。
 しかし、このふたつの落差工には大きな違いがあります。百済川側には数羽のコサギが小魚などを待ち受けている姿をよくみかけるのに対し、石津川本川では待ち受けるサギはほとんどみかけません。

写真2 百済川の落差工

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写真3 石津川本川の落差工

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 石津川本川の落差工のほうが高低差が大きい、水たたきの部分が深いなども理由として考えられますが、最大満潮で潮が乗り越えているときでもほとんどサギ類をみかけません。魚などコサギが狙う生物の通過が少ないように思われます。百済川ではこれより上にもコサギなどが見られます。川底の石に藻類?が付着しているのも見えます。百済川では数年前に浄化機能の向上などを目的とした改良がおこなわれました。また、瀬と淵の構造が見られます。

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 石津川本川を遡ります。阪和線に近いところに魚道があります。最近作られたものです。アユの遡上を狙っているようです。

写真4 左隅に階段状の魚道が作られている。
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 百済川合流点の落差工からしばらくは瀬や淵的なものはあまりなく、単調な流れになります。砂州は1か所のみです。

写真5
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 毛穴町あたりから砂州がしばしば見られるようになります。ただし、植物はあまりありません。

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 和田川との合流点です。右から来ているのが和田川。

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 石津川は堺市内に源流部のある堺市オリジナルの河川ですが、和田川には光明池からの水が入っています。光明池には槇尾川水系の水が導水されています。また、さきほどの百済川の上流には狭山池からの水が入っているのではないかと思われますが、まだ確かめていません。

 和田川合流点から少し上がったところに、下水処理場からの水が流れ込んでいます。つまり、石津川は堺市内のオリジナル河川ですが、流れ込む水は槇尾川水系や淀川水系からの水も含まれているということです。
写真8
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 ここを過ぎると河川内の植物群落も増えてきます。コサギやカルガモもぽつぽつと見かけるようになります。ヨシ原もあり、オオヨシキリが鳴いているところもあります。ただ、オオヨシキリはヨシだけの群落ではなく、中に樹木があるヨシ群落を好むようです。なお、オオヨシキリは堺市の絶滅危惧種に指定されています。コサギもです。

写真9
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写真10 ヨシ原
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 さらに進むと可動堰が2か所見られます。このあたりから農業利水が本格的に行われてるということでしょうか?近くには農地も広がっています。ケリの声が聞けました。
写真11 可動堰(これは使われていない状態。数日後稼働開始。)
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写真12
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写真13 可動堰(使用中)
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 泉北ニュータウンに入ります。写真14は泉北高速鉄道下の豊田橋から上流を見たところです。
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 妙見川との合流点あたりから河川内は植物群落が圧倒するようになります。川の水は透明度が高くなり、ヨシノボリがコンクリート護岸の上を上る姿も見られます。
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 泉北ニュータウンからさらに奥の昔からの村落のある地域に入るとファブリダムが出現しました。このダムには魚道が併設されています。ダムの貯水は最近のようで、水の中には陸上植物が見られました。
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 ファブリダムの湛水域は400mほど続きます。写真は湛水域の終点付近です。
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 湛水域より上すぐでは河川内にガマやキショウブが見られますが、さらにあがるとみられなくなりました。湛水域より上部はツルヨシが優勢で。ここで見たサギはダイサギでした。

写真19
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写真20 ツルヨシ
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 湛水域から上はの川の名前が変わり、法道寺川といいます。法道寺川は最上流部に堺市自然ふれあいの森があります。堺市自然ふれあいの森の用水は最上部にある取水堰から入っていますが、そのあたりは雑木林の中を流れています。さらに上にはゴルフ場があるようですが、この取水堰であがりとしました。
写真21 自然ふれあいの森入口付近の取水堰
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写真22 最奥部の取水堰
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 石津川は環境面ではいくつかに区分できるように思われます。それぞれの区分ごとの課題、水系全体の課題を探求するのも興味深いと思いました。


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