■On The Sunny Side Of The Street
/ Louis Armstrong All Stars (Brunswick)
NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」が、サイケおやじ的には久々の高得点!
当然ながら、リアルタイムじゃ~鑑賞出来ませんので、録画しておいて、ひっそりと深夜に独りで (^^;
というわけなんですが、これが気になっていたのは、我が国のラジオ放送黎明期からスタートした「NHKラジオ英語講座」の諸々が描かれ、講師であった平川唯一が登場するらしいという、以前からサイケおやじが興味を抱いていた情報があったからでして、しかし、実際は朝ドラにありがちな激動の昭和期を舞台にしたホームドラマだったのは肩透かし……。
ところが、まずヒロインの安子を演じる上白石萌音の柔らかな佇まいと的確な芝居っ気が素晴らしいなぁ~~、と感じ入りましたですねぇ~~♪
劇中の彼女の実家は和菓子屋なんですが、そ~いうところからも、彼女は「和菓子顔」と申しましょうか、最近の日本女性に多くなっている、例えば綾瀬はるか系の顎が細くて、鼻の下が短いという特徴を温故知新に塗り替えた様な面立ちこそが、深みのある演技に繋がっていると思いましたですねぇ~~♪
しかも、それは少女期から母親なっても、基本的に変わらず、それでいて様々に劇的な演出に端正とも思える表現で、その時々の「安子」を見せてくれるのは、可愛さ余って憎さ百倍!?
みたいな魅力に溢れていると思うんですが、いかがなものでしょう (^^ゞ
演出そのものも、テレビドラマでは最近珍しいほどに「間のある芝居」が大切にされていますし、撮影映像には劇場用映画作品っぽいカメラワークがあったりして、好感が持てます。
ただし、欲を言わせていただければ、ライティングが明る過ぎると思いますし、例によって登場人物の衣装やヘアメイク等々に時代考証が甘く、どんな状況でも道路が常に真っ平!?
というのは何時もながらの減点ではありますが、脚本~演出構成に「ご都合主義」はあるものの、それなりの拘りが強く滲み出ており、個人的には安子=上白石萌音が覚えたばかりの自転車で必死になって好きな男=松村北斗の見送りに駅へ向かうシーン、そして見合いを強要され、列車の中で泣いているところで現れる松村北斗!
等々の場面では、不覚にもウルっときてしまいましたですよ (^^ゞ
また、これまでの劇中でキーポイントになっているのが、ジャズの偉人たるルイ・アームストロング(tp,vo) が歌ったアメリカのスタンダード曲「On The Sunny Side Of The Street / 明るい表通り」で、ネタバレがありますので、劇中での詳らかな諸々は省略させていただきますが、とにかく松村北斗と上白石萌音が最初に入った喫茶店で流れていたのが、この曲でして、その時が戦前でしたから、鳴らされていたのは、ルイ・アームストロングが自己名義のオーケストラと共に、1934年にパリでレコーディングされたバージョンというのが、正しい認識になりましょうか?
ちなみに、その頃は 78 回転のSPがレコードの主流でしたから、件の「On The Sunny Side Of The Street / 明るい表通り」にしても、2部構成、つまりルイ・アームストロングは「パート1」で歌唱テイク、「パート2」でトランペット演奏をレコード盤片面ずつで聴かせるという仕掛けになっておりまして、アメリカでは、1937年頃にSPシングルとして、とりあえず「パート1」が出たらしいんですが、フランスやドイツ等々では、そのSP両面に「パート1&2」を入れて発売していたと云われています。
で、本日掲載したのは、その「1934年バージョン」のSPを持っていないので、とりあえず以前に入手していた、1947年11月のライブバージョンを収めたドイツプレスとされる、45回転のシングル盤であります。
メンバーはルイ・アームストロング(tp,vo) 以下、ジャック・ティーガーデン(tb)、バーニー・ビガード(cl)、ディック・キャリー(p)、アーヴェル・ショウ(b)、シドニー・カトレット(ds) 等々という、所謂オールスタアズですから、仕上がりは流石の一言 (^^♪
基本的には所謂ニューオリンズスタイルという、原初的なジャズサウンドではありますが、滲み出る哀愁と前向きなスイング感が絶妙にブレンドされた、これは極上のエンタメ演奏と思うばかりで、それこそがルイ・アームストロングという天才ジャズプレイヤーが大衆人気を得ていた秘訣かもしれず、喜びも悲しみも幾年月の好例が、ここにあるってもんでしょうか (^^ゞ
ですから、劇中では前述した喫茶店のマスター=世良公則が戦後はバンドマン集めの口入屋として進駐軍の将校クラブに出入りしており、そこに米軍将校に連れられて来た安子=上白石萌音の姿を見つけた時、すっかり酔いどれて、ついつい「On The Sunny Side Of The Street / 明るい表通り」を歌ってしまうという演出は、そんな見え透いた「あざとさ」云々よりも、素直に嬉しくなっても許される気がしたほどです (^^;
しかし、安子=上白石萌音にとっての物語は全くの非情な展開で、夫=松村北斗の戦死、そして義母から疎まれ、娘と二人で家を出たものの、ある事故から再び嫁ぎ先に戻ったところから、義弟との再婚話の縺れ、米軍将校との交際、おまけに実兄が和菓子屋再建の資金を持ち逃げする等々の不幸の連鎖があり……。
つまりは決して、これまでの朝ドラ定番であった、健気な女性の明るいサクセスストーリーでは無いという展開が、サイケおやじには納得の演出に繋がっているわけで、ついに本日は運良く、お昼時にオンタイムの放送に接して絶句!
懸命に生きて来たはずの安子=上白石萌音が、とうとう愛娘にも嫌われ、「アイ・ヘイト・ユー」とまで言い放たれてしまったのですから、救いがありません……。
未見の皆様には、このシーンだけというよりも、これまでのドラマ展開があってこその衝撃ですから、その事だけは書かせていただきとうございます。
ということで、実は本題にすべきであった「NHKラジオ英語講座」は、戦後期の放送のテーマ曲が、日本人ならば誰もが知っていた「証城寺の狸囃子」を替歌にしての「カムカムエヴリバディ」と歌ったものでしたので、今回のドラマの題名も、それに因んだものでしょう。
そして戦後に活躍した日本のジャズプレイヤーが、アドリブフレーズの中に「証城寺の狸囃子」のメロディをアダプトしていたのは、そんな影響からなんでしょうか?
それも以前からのサイケおやじの疑問のひとつだったんですが、なんとなく解決の糸口が見つかった様な気がしております。
う~ん、それにしても安子=上白石萌音が今後、明るい表通りを歩ける日が来るのか、不憫な愛娘・るいに幸せが訪れるのか……?
大いに気になってしまうのでした (^^;
ひょんなことから 戦後日本と関りが あるのでした。
戦後 カリフォルニアの社会的名士となったマクヒュー氏はカリフォルニア地区の水泳組織の会長と なsります。そして戦後間もなくのカリフォルニアで催された水泳大会には我が国の水泳のホープ 古橋、橋爪選手が出場して活躍されたことは有名ですが、まだ日本人への偏見の強かった時代、マクヒュー氏が日米融和の ために努められたと聞いています。