(1978/監督:ウォーレン・ビーティ&バック・ヘンリー/ウォーレン・ビーティ、ジュリー・クリスティ、ジェームズ・メイソン、ジャック・ウォーデン、チャールズ・グローディン、ダイアン・キャノン、バック・ヘンリー/101分)
車に轢かれたプロ・フットボールの選手が、新米天使のミスで寿命がきていないのに"この世”から"あの世”への中継ぎ場所に連れて来られる。ミスに気付いた天使の先輩が現世に戻そうとするが、時既に遅し、彼の体は火葬され灰になっていた為に、妻とその愛人に殺されたばかりの若き実業家の体に乗り移ることになるのだが・・・というお話。
原題は【HEAVEN CAN WAIT】。
ファンタジーですな。プラス、ラブロマンスと男の友情がペーソスをまじえて描かれております。
1941年にアレクサンダー・ホール監督が作った「幽霊紐育を歩く」のリメイクで、元ネタの主人公がボクシングの選手という違いくらいで、名前も人間関係もよ~く似ているようです。
脚本がエレイン・メイとウォーレン・ビーティ、監督がウォーレン・ビーティとバック・ヘンリーと、三人が三人とも本も書ければ演出も演技も出来るという都会派コメディが得意な人たちで、オリジナルよりコメディ色が強いような気もしますが、ドタバタ喜劇ではなく、大人のユーモアと情があふれる作品です。
主人公のフットボールのQB(クォーターバック)、ジョー・ペンドルトンにビーティ。
浮気妻にはダイアン・キャノン。その愛人で寝取られ夫の秘書役がチャールズ・グローディンと脇の人物も芸達者が一杯。新米天使にバック・ヘンリー、先輩天使には(渋い!)ジェームズ・メイソン、そして男の友情とペーソスを感じさせる主人公のトレーナー兼コーチ役がジャック・ウォーデン(またまた渋い!)。個人的には、ジャック・ウォーデン扮するマックスが好きですネ。
おっと、肝心のジョーの恋人が抜けてました。オリジナルでも同じ名前だったベティ・ローガン役にはジュリー・クリスティです。
ファンタジーで、いわゆる幽霊やら天使やらが出てくるので、その辺りの映画作法上の設定が必要なわけですが、まずはこの世に出没する天使たちは、ジョーには見える(勿論、観客にも見える)のですが他の人たちには見えていない事になっています。
もう一つの秀逸な設定が、ジョーが乗り移っている身体は他人のモノなので当然姿形はジョーとは違うはずなのに、ジョー役のビーティがそのまま演じているということ。更に、映画に登場する他の人達の目には、その人物はジョーではなくて乗り移られている元の人物のままに見えているということ。身体は他人の借り物でも魂はジョーという設定なので、ビーティが全て演じた方が観客には分かりやすいし、自然の流れのようでもありますが、これが終盤の展開でなんともいえない味わいを出してくるのですよね。
スポーツの種類以外で気が付いたオリジナルとの違いは、ジョーが乗り移る大企業の社長の名前。元ネタではブルース・ファーンズワースでしたが、リメイクではリオ・ファーンズワースとなっていました。
ファーンズワースは複数の会社を経営している人物で、近隣住民との軋轢やら、公害訴訟など何かと問題も多い。ベティ・ローガンも彼の会社が立ち退きさせようとしている地域の反対意見を代表してやって来た学校教師で、美しい彼女を見たジョーが彼女を助けたい一心でファーンズワースに乗り移った次第。奥さんや愛人が共謀して彼を亡き者にしようとする下りも、お色気サスペンス風で面白いです。
もう一つの違いは、ジョーが愛用する楽器。オリジナルではアルト・サックスで、リメイクではソプラノ・サックスのようでした。楽器はマックスとの絡みで小道具として利いてきます。
事故に遭う前のジョーはクォーターバックとして晴れの舞台に出場する予定だったので、なんとしてもフットボールが出来る人間に乗り移りたい。ファーンズワースの身体は仮住まいだったが、ベティに恋したためにファーンズワースのままで、身体を鍛えて試合に出ようとする。そこで、マックスにコーチ役を頼み、更にはそのチームを金の力で買収して自らをQBに据えようとする。
あと一歩で出場できそうだったのに、想定外の展開により、試合の出場も恋も失ってしまいそうになるのだが・・・という、ラストには余韻も残す佳品です。
1978年のアカデミー賞で、作品賞、主演男優賞、助演男優賞(ウォーデン)、助演女優賞(キャノン)、監督賞、脚色賞、撮影賞(ウィリアム・A・フレイカー)、作曲賞(デイヴ・グルーシン)にノミネート。美術監督・装置賞を受賞したそうです。
又、ゴールデン・グローブでは作品賞(コメディ/ミュージカル)と男優賞(ビーティ)、助演女優賞(キャノン)を受賞したそうです。
(↓Twitter on 十瑠 から)
「天国から来たチャンピオン」を久々に見る。やっぱり面白い。オリジナルの「幽霊紐育を歩く」も探したけど、こちらのツタヤにはなかった。データを見ると登場人物の名前とかもほとんど同じで、ただ、オリジナルはボクサーでウォーレン・ベイティのはフットボールの選手だ。
[Oct 30th webで 以下同]
ところで、「天国から来たチャンピオン」の原題が【HEAVEN CAN WAIT】。同じ原題で検索すると、ルビッチの「天国は待ってくれる」というのが出てくるが、これは全く違うストーリーだ。変なの。
※ 追加記事、ネタバレ備忘録はコチラ。
車に轢かれたプロ・フットボールの選手が、新米天使のミスで寿命がきていないのに"この世”から"あの世”への中継ぎ場所に連れて来られる。ミスに気付いた天使の先輩が現世に戻そうとするが、時既に遅し、彼の体は火葬され灰になっていた為に、妻とその愛人に殺されたばかりの若き実業家の体に乗り移ることになるのだが・・・というお話。
原題は【HEAVEN CAN WAIT】。
ファンタジーですな。プラス、ラブロマンスと男の友情がペーソスをまじえて描かれております。
1941年にアレクサンダー・ホール監督が作った「幽霊紐育を歩く」のリメイクで、元ネタの主人公がボクシングの選手という違いくらいで、名前も人間関係もよ~く似ているようです。
脚本がエレイン・メイとウォーレン・ビーティ、監督がウォーレン・ビーティとバック・ヘンリーと、三人が三人とも本も書ければ演出も演技も出来るという都会派コメディが得意な人たちで、オリジナルよりコメディ色が強いような気もしますが、ドタバタ喜劇ではなく、大人のユーモアと情があふれる作品です。
主人公のフットボールのQB(クォーターバック)、ジョー・ペンドルトンにビーティ。
浮気妻にはダイアン・キャノン。その愛人で寝取られ夫の秘書役がチャールズ・グローディンと脇の人物も芸達者が一杯。新米天使にバック・ヘンリー、先輩天使には(渋い!)ジェームズ・メイソン、そして男の友情とペーソスを感じさせる主人公のトレーナー兼コーチ役がジャック・ウォーデン(またまた渋い!)。個人的には、ジャック・ウォーデン扮するマックスが好きですネ。
おっと、肝心のジョーの恋人が抜けてました。オリジナルでも同じ名前だったベティ・ローガン役にはジュリー・クリスティです。
ファンタジーで、いわゆる幽霊やら天使やらが出てくるので、その辺りの映画作法上の設定が必要なわけですが、まずはこの世に出没する天使たちは、ジョーには見える(勿論、観客にも見える)のですが他の人たちには見えていない事になっています。
もう一つの秀逸な設定が、ジョーが乗り移っている身体は他人のモノなので当然姿形はジョーとは違うはずなのに、ジョー役のビーティがそのまま演じているということ。更に、映画に登場する他の人達の目には、その人物はジョーではなくて乗り移られている元の人物のままに見えているということ。身体は他人の借り物でも魂はジョーという設定なので、ビーティが全て演じた方が観客には分かりやすいし、自然の流れのようでもありますが、これが終盤の展開でなんともいえない味わいを出してくるのですよね。
スポーツの種類以外で気が付いたオリジナルとの違いは、ジョーが乗り移る大企業の社長の名前。元ネタではブルース・ファーンズワースでしたが、リメイクではリオ・ファーンズワースとなっていました。
ファーンズワースは複数の会社を経営している人物で、近隣住民との軋轢やら、公害訴訟など何かと問題も多い。ベティ・ローガンも彼の会社が立ち退きさせようとしている地域の反対意見を代表してやって来た学校教師で、美しい彼女を見たジョーが彼女を助けたい一心でファーンズワースに乗り移った次第。奥さんや愛人が共謀して彼を亡き者にしようとする下りも、お色気サスペンス風で面白いです。
もう一つの違いは、ジョーが愛用する楽器。オリジナルではアルト・サックスで、リメイクではソプラノ・サックスのようでした。楽器はマックスとの絡みで小道具として利いてきます。
事故に遭う前のジョーはクォーターバックとして晴れの舞台に出場する予定だったので、なんとしてもフットボールが出来る人間に乗り移りたい。ファーンズワースの身体は仮住まいだったが、ベティに恋したためにファーンズワースのままで、身体を鍛えて試合に出ようとする。そこで、マックスにコーチ役を頼み、更にはそのチームを金の力で買収して自らをQBに据えようとする。
あと一歩で出場できそうだったのに、想定外の展開により、試合の出場も恋も失ってしまいそうになるのだが・・・という、ラストには余韻も残す佳品です。
1978年のアカデミー賞で、作品賞、主演男優賞、助演男優賞(ウォーデン)、助演女優賞(キャノン)、監督賞、脚色賞、撮影賞(ウィリアム・A・フレイカー)、作曲賞(デイヴ・グルーシン)にノミネート。美術監督・装置賞を受賞したそうです。
又、ゴールデン・グローブでは作品賞(コメディ/ミュージカル)と男優賞(ビーティ)、助演女優賞(キャノン)を受賞したそうです。
*
(↓Twitter on 十瑠 から)
「天国から来たチャンピオン」を久々に見る。やっぱり面白い。オリジナルの「幽霊紐育を歩く」も探したけど、こちらのツタヤにはなかった。データを見ると登場人物の名前とかもほとんど同じで、ただ、オリジナルはボクサーでウォーレン・ベイティのはフットボールの選手だ。
[Oct 30th webで 以下同]
ところで、「天国から来たチャンピオン」の原題が【HEAVEN CAN WAIT】。同じ原題で検索すると、ルビッチの「天国は待ってくれる」というのが出てくるが、これは全く違うストーリーだ。変なの。
※ 追加記事、ネタバレ備忘録はコチラ。
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】
この年代の映画の良さが出ていた気がします。現世の人には乗り移った体の姿が見えていて、私たちにはジョーの姿が見えているというのは、いいアイデアでしたよね。
オリジナルもいつか観てみたい♪
わたしもマックスがお気に入りです。ジョーとの友情が光ってました。
ラストの余韻も素晴らしかったです。
書きながら「コメントもらったよな?」と思いつつ、うっかり直さず投稿しちゃいました・・・。
「幽霊紐育を歩く」もオンエアあるといいですよね~。
それはそれは。
ラストの余韻について記憶が曖昧だったので、備忘録を書く予定なのですが、時間がないので・・。
「幽霊紐育を歩く」の件ですが、youtubeに全編掲載されたのがありましたよ。字幕無しですが。
http://www.youtube.com/watch?v=97V2kHao5iI&feature=related
仰るとおり、魂がビーティだから見た目もビーティという当たり前のような見せ方が、ラストで効いていましたね。昔は平然と観ていたラストの台詞に泣けました。歳をとるというのは面白いものですねえ。
>「幽霊紐育を歩く」
は本作鑑賞の数年後にTVで観ました。
リメイクの方が洗練されて面白いと思った記憶はありますが、詳細は忘れました。昔の鑑賞メモには何とかいてあるかな?
今夏、ビデオからブルーレイに移しましたので、いつでも観られます。余り綺麗ではないですけどね。
なんだか、歳をとるごとに、感じる年越しの風情も薄らいで、国営放送の歌合戦も知らない人の割合が増えてしまって、こうしてPCの前に座っておりやす。
博士の来年がより良い年でありますように