(1968/ピーター・イエーツ監督/スティーヴ・マックィーン、ジャクリーン・ビセット、ロバート・ヴォーン、ドン・ゴードン、サイモン・オークランド、ロバート・デュヴァル、ノーマン・フェル/114分)
この映画の翌年くらいから洋画を映画館で観るようになったので封切りは見逃している。随分後になってTVの吹き替えで観た作品だ。サンフランシスコの坂道でのカーチェイスが話題になっていたが、TVで観るとそんなに迫力ないし、事件も派手じゃないので印象の薄い映画だった。NHK-BSのマックィーン特集で放送されたので久しぶりに観たら、途中のCMがないせいか緊張が途切れずに面白く観れた。
舞台がサンフランシスコだから「ダーティハリー」の先輩にあたるわけだが、ブリットもキャラハンもダンディズム溢れるスタイルは同じ系統でしたな。
プロデューサーはこの後「フレンチ・コネクション」を作るフィリップ・ダントニ。セミ・ドキュメンタリーのような撮り方、カーチェイス、刑事が二人組なのも同じだし、前半の話の筋が分かりにくいのも同じだった。ロバート・L・パイクという作家の書いた原作があるようで、映画の内容からしてどちらかと言えばミステリーっぽい小説ではないかと思う。
映画も大がかりなアクションが狙いではなく、刑事の活躍をいわゆる警察小説のようにリアルに描くのが主目的のようで、そういう意味では成功しているし寡黙なマックィーンも似合っている。
サンフランシスコの名物刑事フランク・ブリットが、当地の上院議員チャーマース(ヴォーン)にある男の警護を依頼されるところが本筋の始まりだ。その男ジョー・ロスは犯罪組織を飛び出した男で、ギャング組織の撲滅を使命としているチャーマースが議会の証人として呼んでいる。警護の時間は、翌週の月曜日の議会開始までの40時間。ところがこの男がうっかりホテルのドアの鍵を開けた為に殺し屋に侵入され、本人はもとより警護していたブリットの部下までもが負傷する。
チャーマースはブリットのミスだとなじるし、その後ロスは病院で死んでしまう。ブリットはロスの死亡を隠し、その後も病院にまでとどめを刺そうとやって来た殺し屋の背後を知ろうとするのだが・・・。
▼(ネタバレ注意)
強烈な犯罪者もド派手なドンパチも出てきません。
ロスは組織の金に手を出した為に犯罪組織に追われている男で、チャーマースが(多分)司法取引をして逃がそうとしたわけだ。ところが、組織が恐いロスは身代わりを立てていて、あわよくばそいつが組織に殺されれば自分の身は安泰だと計算したのでしょう。殺し屋が登場して、チャーマースには都合が悪くなったがロスにとっては想定内だった。
しかし、足がつかないように身代わりの細君を消したために、今度は殺人の容疑者として警察にも追われることになる。
一見上記のような背景に見えるが、これでは偽物のロスがドアチェーンを開けた説明がつかない。本物の指示通りに動いている男なので、このチェーン外しも指示通りでしょう。ということは、これは全てロスとチャーマースが仕組んだ事件と考えざるをえない。えっ? 皆さん気付いてた?
「フレンチ・コネクション」よりはスカッとするけど、やはり何処かしっくりこない部分もある刑事ものでした。
▲(解除)
功名心にはやる政治家や無能なくせに御上にはイエスマンという刑事が出てきたり、この辺の描き方も「ダーティハリー」に通じるところがあります。
殺し屋とブリットとのカーチェイス。ラロ・シフリンのわくわくしてくるスコアには、TV版「スパイ大作戦」を思い出してしまいましたな。だけど、あんなに必死に逃げなくても良かったでしょうに。ブリットの車に無線でも付いていたのなら応援を呼ばれて万事休すでしたが。
私にとってイェーツ作品のナンバーワンは「ジョンとメリー」ですが、この刑事物でもケレン味の無い演出でただのアクション映画ではない味を出しておりました。封切時の評判の割にはTV放送が少ないのは、カーチェイス以外には派手なシーンが無いからでしょう。ショッキングな死体の出し方とか、(終盤の)空港で犯人を追いつめるところなんか地味ですけどサスペンスフルでしたけどねぇ。
その他で観たイェーツ作品は「マーフィの戦い」と「ホット・ロック」というどちらも71年のモノ。この後話題になったピーター・ベンチリー原作の「ザ・ディープ(1977)」の評判が良くなかった頃から、彼の作品に興味を失っていった。実は83年に製作も兼ねて監督した「ドレッサー」というのがとてもイイ映画とのことで、内容も地味らしいし、多分イェーツらしくて面白いだろうと密かにBS放送を待っております(笑)。
ブリットの彼女役はジェクリーン・ビセット。あの男物のワイシャツだけをパジャマ代わりに着たシーンは色っぽかったなぁ。街の女性達を見ても、この時代はミニ・スカートとアップにしたヘアスタイルが流行っていたことが分かりますな。
1968年度アカデミー賞で編集賞(フランク・P・ケラー)を受賞。
タクシーの運転手役でロバート・デュヴァルが出ています。まだまだ、端役の頃だったんですねぇ。
この映画の翌年くらいから洋画を映画館で観るようになったので封切りは見逃している。随分後になってTVの吹き替えで観た作品だ。サンフランシスコの坂道でのカーチェイスが話題になっていたが、TVで観るとそんなに迫力ないし、事件も派手じゃないので印象の薄い映画だった。NHK-BSのマックィーン特集で放送されたので久しぶりに観たら、途中のCMがないせいか緊張が途切れずに面白く観れた。
舞台がサンフランシスコだから「ダーティハリー」の先輩にあたるわけだが、ブリットもキャラハンもダンディズム溢れるスタイルは同じ系統でしたな。
プロデューサーはこの後「フレンチ・コネクション」を作るフィリップ・ダントニ。セミ・ドキュメンタリーのような撮り方、カーチェイス、刑事が二人組なのも同じだし、前半の話の筋が分かりにくいのも同じだった。ロバート・L・パイクという作家の書いた原作があるようで、映画の内容からしてどちらかと言えばミステリーっぽい小説ではないかと思う。
映画も大がかりなアクションが狙いではなく、刑事の活躍をいわゆる警察小説のようにリアルに描くのが主目的のようで、そういう意味では成功しているし寡黙なマックィーンも似合っている。
サンフランシスコの名物刑事フランク・ブリットが、当地の上院議員チャーマース(ヴォーン)にある男の警護を依頼されるところが本筋の始まりだ。その男ジョー・ロスは犯罪組織を飛び出した男で、ギャング組織の撲滅を使命としているチャーマースが議会の証人として呼んでいる。警護の時間は、翌週の月曜日の議会開始までの40時間。ところがこの男がうっかりホテルのドアの鍵を開けた為に殺し屋に侵入され、本人はもとより警護していたブリットの部下までもが負傷する。
チャーマースはブリットのミスだとなじるし、その後ロスは病院で死んでしまう。ブリットはロスの死亡を隠し、その後も病院にまでとどめを刺そうとやって来た殺し屋の背後を知ろうとするのだが・・・。
▼(ネタバレ注意)
強烈な犯罪者もド派手なドンパチも出てきません。
ロスは組織の金に手を出した為に犯罪組織に追われている男で、チャーマースが(多分)司法取引をして逃がそうとしたわけだ。ところが、組織が恐いロスは身代わりを立てていて、あわよくばそいつが組織に殺されれば自分の身は安泰だと計算したのでしょう。殺し屋が登場して、チャーマースには都合が悪くなったがロスにとっては想定内だった。
しかし、足がつかないように身代わりの細君を消したために、今度は殺人の容疑者として警察にも追われることになる。
一見上記のような背景に見えるが、これでは偽物のロスがドアチェーンを開けた説明がつかない。本物の指示通りに動いている男なので、このチェーン外しも指示通りでしょう。ということは、これは全てロスとチャーマースが仕組んだ事件と考えざるをえない。えっ? 皆さん気付いてた?
「フレンチ・コネクション」よりはスカッとするけど、やはり何処かしっくりこない部分もある刑事ものでした。
▲(解除)
功名心にはやる政治家や無能なくせに御上にはイエスマンという刑事が出てきたり、この辺の描き方も「ダーティハリー」に通じるところがあります。
殺し屋とブリットとのカーチェイス。ラロ・シフリンのわくわくしてくるスコアには、TV版「スパイ大作戦」を思い出してしまいましたな。だけど、あんなに必死に逃げなくても良かったでしょうに。ブリットの車に無線でも付いていたのなら応援を呼ばれて万事休すでしたが。
私にとってイェーツ作品のナンバーワンは「ジョンとメリー」ですが、この刑事物でもケレン味の無い演出でただのアクション映画ではない味を出しておりました。封切時の評判の割にはTV放送が少ないのは、カーチェイス以外には派手なシーンが無いからでしょう。ショッキングな死体の出し方とか、(終盤の)空港で犯人を追いつめるところなんか地味ですけどサスペンスフルでしたけどねぇ。
その他で観たイェーツ作品は「マーフィの戦い」と「ホット・ロック」というどちらも71年のモノ。この後話題になったピーター・ベンチリー原作の「ザ・ディープ(1977)」の評判が良くなかった頃から、彼の作品に興味を失っていった。実は83年に製作も兼ねて監督した「ドレッサー」というのがとてもイイ映画とのことで、内容も地味らしいし、多分イェーツらしくて面白いだろうと密かにBS放送を待っております(笑)。
ブリットの彼女役はジェクリーン・ビセット。あの男物のワイシャツだけをパジャマ代わりに着たシーンは色っぽかったなぁ。街の女性達を見ても、この時代はミニ・スカートとアップにしたヘアスタイルが流行っていたことが分かりますな。
1968年度アカデミー賞で編集賞(フランク・P・ケラー)を受賞。
タクシーの運転手役でロバート・デュヴァルが出ています。まだまだ、端役の頃だったんですねぇ。
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】
なるほどーこの作品、「フレンチ・コネクション」ともつながりがあったんですね。「ダーティハリー」と共に、この2本も大好きです。上記のイェーツ作品のほとんどが未見です(>.<)。私もBS放送を願いたいですー!
つまり主役をはるタイプじゃないってことでしょか?
重要な役の後ろにひっそりいる花みたいな・・
「大空港」とかもそんな感じかな。今は迫力あるおばちゃんになったけど。
その記事、記憶にあります。誰だっけかなぁ?
グラビアにはよく登場したし、時々見とれてましたが、これといった作品が無いのが残念ですよね。
トリュフォーの「アメリカの夜」。これ見逃してますが、勿論リストには・・・です!
イェーツに関しては全く同じ。「ジョンとメリー」は傑作、「マーフィの戦い」は愛すべき作品で、「ザ・ディープ」は凡作でした。「ドレッサー」は大変宜しいです。
ジャクリーン関連で、「アメリカの夜」は文句なし。トリュフォーもついぞつまらない映画を作らずに夭折してしまった。全く神様は何ということをしてくれたのだと、恨みましたよ。
時々、上質のアメリカの刑事物のTV番組を観ているような感覚にもなりましたね。
トリュフォーはそれ程得意な作家じゃないので、なかなかUP出来ません。観てる作品もそれ程多くない、というかかなり少ないです。
記事をUPしたその時には、お手柔らかに願いますよン♪。
実に男っぽい作りでダンディズムど真ん中のマックイーンで(プロフェッサーのお父上に“不二子ちゃ~~~んのルパン3世”と呼ばれてもいいのです)、ズルっこいR・ヴォーンで、その中に咲く一輪の花、J・ビセット!(私あまり正直ビセットは好きではないけれど・・「オリエント急行殺人事件」では確か白痴美って書いたような・・・)
オッホン、「ブリット」と聴くとあのタイヤの軋み音が耳によみがえります。
http://blog.livedoor.jp/vivajiji/archives/50383650.html
カーチェイスのシーン。軋み音が始まる前から音楽がカッコイーなぁと聞いていたらラロ・シフリンで納得。
ルパン三世か・・・。あたしゃ、北海道が生んだ天才歌手、北島三郎がふと浮かびました。ハハッ・・(汗)
でも、一瞬ですから~、映画のムードは受取り損なってませんから~!
この映画は、音楽を控えめにして、リアリティを強く感じます。
少し、ドキュメンタリー的に進行するような雰囲気もありますが、ストーリー展開が緻密で、面白く出来ていますね。
詳細なストーリー紹介をされていますね。
セミ・ドキュメンタリータッチは言われるとおり。ラロ・シフリンのBGMが格好良かったですね。