(1957/レオ・マッケリー監督/ケイリー・グラント、デボラ・カー/106分)
子供の頃にTVの洋画番組にはまってから、最初に好きになった女優が“デボラ・カー”さん。その頃は彼女の方が年上なのでさん付けですな。特に「黒水仙(1946)」の尼さんと、この「めぐり逢い」の印象が強い。
今回のDVD鑑賞も、初恋の人に再会したような、しかし、こっちは年取ったのに向こうは当時のままという不思議な気分を味わい乍のものとなりました。
当時は勿論吹き替え版ですが、声優はいつも水城蘭子さんで、水城さんの声も大好きでしたな。蘭子さんは、ネットで調べると97年に68歳で亡くなられていました。イングリッド・バーグマンとデボラ・カー、この二人の吹き替えをされていましたが、哀しげな感じと女性らしい甘さがミックスされた素敵な声でした。「ガンバの冒険」とかのアテレコもされていたようですが、私はアニメ関係は見なかった。
デボラ・カーのその他の作品では、「悲しみよこんにちは(1957)」、「旅路(1958)」、「悲愁(1959)」、「イグアナの夜(1964)」なども観ましたが、有名な「王様と私(1956)」や「地上より永遠に(1953)」は、スチール写真や広告映像だけで映画の方は未見です。
国際的なプレイボーイで名高いニックは、アメリカの大富豪の娘で莫大な遺産を相続した女性と婚約をする。彼女に会いにヨーロッパからアメリカに向かう船旅が、この映画の第一幕となる。
先の婚約のニュースが世界中に流れる中、ニックは船内でシガレット・ケースを拾ってくれたニューヨークの歌手テリーと知り合う。コレといった知り合いや、声をかけたくなるような美女も居なくて退屈していたニックは、ケースの件でのやりとりでテリーに好意を持ち、彼女の部屋に行って会話を楽しむ。テリーにも婚約者がいて、彼女も旅が終われば人妻になる予定だった。
その夜以降も、食事を一緒にしたり本の貸し借りをしたりしたが、他の乗客の噂に上り始めたので距離を置くことにした。しかしながら、個別に食事に行けば隣のテーブルだったり、プールに行けば身体がぶつかってしまうなど、何かとタイミングが合ってしまう二人だった。
旅の途中でニックの祖母のいる港に寄った時には、ニックはテリーを誘って会いに行った。それは、最初で最後の三人でのひとときだった。
次第に“好意”が“恋”に変わりつつある二人は、もうすぐニューヨークに着くという頃、ついに口づけをかわす。そして、6ヶ月後の再会を約束する。お互いの気持ちに変わりがなければ、エンパイア・ステート・ビル最上階、102階の展望台で午後5時に会おうと。
お互いの婚約者に別れを告げて半年後、画家として身を立てられるようになったニックは、約束通り摩天楼の上で待ち続けたが、夜になってもついにテリーは現れなかった。
彼女は約束の場所に急ぐあまり、道路を横断中に車に轢かれてしまったのだ・・・。
▼(ネタバレ注意)
一命を取り留めたテリーは車椅子の生活を余儀なくされるが、知り合いの神父の計らいで、子供たちに唄を教えながら生計を立てる。かつての婚約者がなにかと援助を申し出るが、友人以上のモノは断り続けるテリーだった。
ある日、ニックとテリーは、お互いにかつての婚約者と一緒にバレエを観に行って偶然に再会する。気まずく、何も語れない二人。
あの約束の日から半年後のクリスマスの夜、電話帳で調べたテリーのアパートをニックが訪ねる。ソファに腰掛けたまま応対するテリーに、ニックはプレゼントを渡す。それは、彼の祖母がいつかテリーにあげたいと言っていたショールだった。
遠回しに、約束の日に来れなかった理由を聞き出そうとするニック。『やむを得ない事情があった』ということ以上には語らないテリー。
最後に、ニックは絵を描き始めたことを伝える。『君の絵も描いた。とても気に入っていたが、ついに先日手放したよ。画商の話だと、買ってくれたのは貧しくて若い女性で・・・。』
このシーンは、覚えていました。もう数十年ぶりなんですがねぇ。最後の最後にハンカチが活躍するシーンとなりましたな。
▲(解除)
レオ・マッケリー自身が39年に作った「邂逅(めぐりあい)」のリメイクで、ほとんど同じ設定の様です。レンタル屋さんではこちらのシャルル・ボワイエ主演のDVDを横目に見ながら、やはりデボラさんに逢いたくって「めぐり逢い」を借りてしまいました。
この“すれ違い話”は人気があるようで、93年にはメグ・ライアンとトム・ハンクスの「めぐり逢えたら」にモチーフが使われたし、94年には船を飛行機に変えて、ウォーレン・ビーティが愛妻アネット・ベニングと同名の「めぐり逢い」を作った。
さて、お相手のケイリー・グラントは、何をやっても“ケイリー・グラント”という人ですが、この映画の世界的なプレイボーイ、ニックというのは、はまりすぎという感じでしたな。ただ、あの落ち着きが気になって調べてみたら、グラントは1904年生まれ。この映画の時は、なんと53歳でした。映画としては30代後半くらいの設定なんでしょうがネ。
ついでに、デボラ(愛称はなんて言うんだろ?デビー?)は21年生まれだから、この時36歳。
「めぐり逢えたら」より落ち着いた感じがするのは、作り方だけでなく、俳優の年齢も影響しているのかも知れませんな。
後半のテリーの幾つかのエピソードの描き方はちょっと浮いていますが、オープニングのニューヨークの遠景など落ち着いたムードも感じられて、今見ても充分楽しめました。
船上でのニックとテリーのやりとりも粋でロマンチックでしたが、でもやっぱりラストシーンですな。あの感動は、何十年経っていても色あせてなかったです。
子供の頃にTVの洋画番組にはまってから、最初に好きになった女優が“デボラ・カー”さん。その頃は彼女の方が年上なのでさん付けですな。特に「黒水仙(1946)」の尼さんと、この「めぐり逢い」の印象が強い。
今回のDVD鑑賞も、初恋の人に再会したような、しかし、こっちは年取ったのに向こうは当時のままという不思議な気分を味わい乍のものとなりました。
当時は勿論吹き替え版ですが、声優はいつも水城蘭子さんで、水城さんの声も大好きでしたな。蘭子さんは、ネットで調べると97年に68歳で亡くなられていました。イングリッド・バーグマンとデボラ・カー、この二人の吹き替えをされていましたが、哀しげな感じと女性らしい甘さがミックスされた素敵な声でした。「ガンバの冒険」とかのアテレコもされていたようですが、私はアニメ関係は見なかった。
デボラ・カーのその他の作品では、「悲しみよこんにちは(1957)」、「旅路(1958)」、「悲愁(1959)」、「イグアナの夜(1964)」なども観ましたが、有名な「王様と私(1956)」や「地上より永遠に(1953)」は、スチール写真や広告映像だけで映画の方は未見です。
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国際的なプレイボーイで名高いニックは、アメリカの大富豪の娘で莫大な遺産を相続した女性と婚約をする。彼女に会いにヨーロッパからアメリカに向かう船旅が、この映画の第一幕となる。
先の婚約のニュースが世界中に流れる中、ニックは船内でシガレット・ケースを拾ってくれたニューヨークの歌手テリーと知り合う。コレといった知り合いや、声をかけたくなるような美女も居なくて退屈していたニックは、ケースの件でのやりとりでテリーに好意を持ち、彼女の部屋に行って会話を楽しむ。テリーにも婚約者がいて、彼女も旅が終われば人妻になる予定だった。
その夜以降も、食事を一緒にしたり本の貸し借りをしたりしたが、他の乗客の噂に上り始めたので距離を置くことにした。しかしながら、個別に食事に行けば隣のテーブルだったり、プールに行けば身体がぶつかってしまうなど、何かとタイミングが合ってしまう二人だった。
旅の途中でニックの祖母のいる港に寄った時には、ニックはテリーを誘って会いに行った。それは、最初で最後の三人でのひとときだった。
次第に“好意”が“恋”に変わりつつある二人は、もうすぐニューヨークに着くという頃、ついに口づけをかわす。そして、6ヶ月後の再会を約束する。お互いの気持ちに変わりがなければ、エンパイア・ステート・ビル最上階、102階の展望台で午後5時に会おうと。
お互いの婚約者に別れを告げて半年後、画家として身を立てられるようになったニックは、約束通り摩天楼の上で待ち続けたが、夜になってもついにテリーは現れなかった。
彼女は約束の場所に急ぐあまり、道路を横断中に車に轢かれてしまったのだ・・・。
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▼(ネタバレ注意)
一命を取り留めたテリーは車椅子の生活を余儀なくされるが、知り合いの神父の計らいで、子供たちに唄を教えながら生計を立てる。かつての婚約者がなにかと援助を申し出るが、友人以上のモノは断り続けるテリーだった。
ある日、ニックとテリーは、お互いにかつての婚約者と一緒にバレエを観に行って偶然に再会する。気まずく、何も語れない二人。
あの約束の日から半年後のクリスマスの夜、電話帳で調べたテリーのアパートをニックが訪ねる。ソファに腰掛けたまま応対するテリーに、ニックはプレゼントを渡す。それは、彼の祖母がいつかテリーにあげたいと言っていたショールだった。
遠回しに、約束の日に来れなかった理由を聞き出そうとするニック。『やむを得ない事情があった』ということ以上には語らないテリー。
最後に、ニックは絵を描き始めたことを伝える。『君の絵も描いた。とても気に入っていたが、ついに先日手放したよ。画商の話だと、買ってくれたのは貧しくて若い女性で・・・。』
このシーンは、覚えていました。もう数十年ぶりなんですがねぇ。最後の最後にハンカチが活躍するシーンとなりましたな。
▲(解除)
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レオ・マッケリー自身が39年に作った「邂逅(めぐりあい)」のリメイクで、ほとんど同じ設定の様です。レンタル屋さんではこちらのシャルル・ボワイエ主演のDVDを横目に見ながら、やはりデボラさんに逢いたくって「めぐり逢い」を借りてしまいました。
この“すれ違い話”は人気があるようで、93年にはメグ・ライアンとトム・ハンクスの「めぐり逢えたら」にモチーフが使われたし、94年には船を飛行機に変えて、ウォーレン・ビーティが愛妻アネット・ベニングと同名の「めぐり逢い」を作った。
さて、お相手のケイリー・グラントは、何をやっても“ケイリー・グラント”という人ですが、この映画の世界的なプレイボーイ、ニックというのは、はまりすぎという感じでしたな。ただ、あの落ち着きが気になって調べてみたら、グラントは1904年生まれ。この映画の時は、なんと53歳でした。映画としては30代後半くらいの設定なんでしょうがネ。
ついでに、デボラ(愛称はなんて言うんだろ?デビー?)は21年生まれだから、この時36歳。
「めぐり逢えたら」より落ち着いた感じがするのは、作り方だけでなく、俳優の年齢も影響しているのかも知れませんな。
後半のテリーの幾つかのエピソードの描き方はちょっと浮いていますが、オープニングのニューヨークの遠景など落ち着いたムードも感じられて、今見ても充分楽しめました。
船上でのニックとテリーのやりとりも粋でロマンチックでしたが、でもやっぱりラストシーンですな。あの感動は、何十年経っていても色あせてなかったです。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう、私は二度見ましたが】
アメリカ人の女性にとっては、ロマンティック映画の王道なのかもしれません。
この「めぐりあい」は未見なんですが、こういうすれ違い映画ってこれからは作られないですよね、これだけ通信が発達してるんだもの。それだけに貴重で美しい。ケイリー・グラント、大好きです!
「めぐり逢えたら」も細かいところを忘れちまってるので、また観たいです。
ケイリー・グラントは子供の時からとっても苦労しているのに、そんな風に見えないところがいいですねぇ。
「めぐり逢い」で特に好きなシーンは
ニックのお祖母さんに会いに行き
テリーがピアノに合わせてあの素敵な歌を歌うところですね。ストーリーを知って観ているせいなのかもしれませんが、切なくて涙が込み上げてきてしまいます。
そして、お酒があまり強くない私がとても興味津々なのが”ピンクシャンペン”です。
一度口にしてみたいのですが、本当にある物なのでしょうか?
それにしても、ケイリー・グラントと画家と言うのが
未だにしっくりこないsuamaでした。
あれが、最初で最後でしたから、人の縁の儚さみたいなものを感じますもんねぇ。
バレエ鑑賞で再会したニックが、街を彷徨いながらエンパイアビルを見上げるシーンは、ラストに繋がる気持ちの移ろいが感じられて好きなシーンです。
久しぶりにデボラ・カーに逢って、ますます他の作品が観たくなりました。
そうそう、デボラ・カー、ついこないだ観たオリジナルのほうの『007 カジノロワイアル』に尼僧姿で出ていらっしゃいました。パロディいっぱいの映画ですから、あれも『黒水仙』のパロディだったのかしらん。
『黒水仙』。1コインDVDにあったはずだけど、買ってみようかな。
私も観てないと思ってレンタルしたら次々に先が読めて、改めて観ていたことに気付く、なんて事がままあります。(笑)
このリメイクで気に入らないのは、フランスの祖母との場面がいかにも冗長だったことですが、子供の合唱隊を延々と描いたのはさらに気に入らない。
「我が道を往く」でも子供の合唱隊を出してきたマッケリーらしいなあとは思いましたが。
今年あたり観るかなぁ。
>子供の合唱隊を延々と描いたのはさらに気に入らない。
お祖母ちゃんとのエピソードはそれ程じゃないですが、後半のこのエピソードは中だるみの弊害がありましたよね。
しかし、デボラファンとしてはいつまでも忘れられないロマンス映画です。