(1970/アーサー・ヒラー監督/ライアン・オニール、アリ・マッグロー、レイ・ミランド、ジョン・マーリー、キャサリン・バルフォー、トミー・リー・ジョーンズ/100分)
『25歳で死んだ若い女性の事をどう言ったらいいのだろう? 彼女は美しく聡明だった。彼女が愛したもの、それはモーツァルトとバッハ、ビートルズ 、そして僕・・・。』
雪のニューヨーク、セントラルパーク。スケートリンクの観覧用ベンチに腰掛け、亡き妻ジェニーを想い出しているオリバーの後ろ姿に重なって、このモノローグが流れてくる。
奥さんを白血病で亡くす若い夫婦の、出会いから別れまでを描いた当時の大ヒット映画で、フランシス・レイの主題歌も大ヒットした。色んな人が唄ったが、一番有名なのはアンディ・ウィリアムスだったろうか。【原題:LOVE STORY 】
「イエロー・サブマリン」の脚本にも参加していた、エリック・シーガルの原作がベストセラーとなった上での映画化だった。原作でも、冒頭のモノローグが書き出しだったと思う。映画の脚本もシーガルが書いていて、ゴールデン・グローブ賞を受賞、オスカーにもノミネートされた。確か彼は、当時ハーバード大学の教授ではなかったかと記憶している。
オリバー・バレット四世(オニール)はハーバードの学生で、試験前に調べたいものがあって、ラドクリフ女子大の図書館に行く。そこで受付をしていたのが、後に妻となるジェニー(マッグロー)だ。初めて会うオリバーを“お坊ちゃん”と呼ぶ生意気な女学生だったジェニーだが、その時のウィットな会話に惹かれて、オリバーはジェニーをお茶に誘う。アイス・ホッケーの選手でもあるオリバーはホッケーの試合にもジェニーを呼んだりして、次第に二人は惹かれ合っていった。
オリバーの実家は歴史のある旧家で、ハーバードの敷地内のある建物を寄贈したことでも有名な名門である。一方、ジェニーの方はといえば、イタリア系移民の市井のお菓子屋の娘である。母親は亡くなっているようで、父親(マーリー)とはファースト・ネームで呼び合うほど仲がいい。
身分の違いを意識しているジェニーは、卒業後はオリバーと別れて音楽で身を立てる道を考えていた。パリ留学のチャンスが訪れたジェニーはそれを告白するが、オリバーは帰ってくるまで待てないとプロポーズをする。
ジェニーを実家の両親に引き合わせるオリバー。実は、オリバーは何事にも干渉してくる父親との関係が上手くいって無く、その日も半分ケンカ別れのようにして帰ってきてしまう。結局、早過ぎるという父親の反対を押し切って結婚した為、オリバーには仕送りがこなくなり、親子関係は絶縁状態になる。
ジェニーの音楽教師の給料と、オリバーのアルバイト代が生活の糧という貧乏暮らしだったが、ハーバードの法科を優秀な成績で卒業したオリバーは晴れてニューヨークの法律事務所に就職、瀟洒なマンションでの都会生活が始まった。
そんな中、なかなか子供に恵まれない二人は医者に相談をする。一人、診断結果を聞きに行ったオリバーに、医者は信じられない言葉を口にするのだった・・・。
実は、この映画は私が初めて映画館で涙をポロッと流した作品であります。30数年前の事ですが、後半、オリバーの父親の件で夫婦喧嘩をした後、家を飛び出したジェニーを追ってオリバーが街中を探して回るシーンでウルッとしてしまいました。フランシス・レイの音楽が切ない気持ちを盛り上げてくれて、最後にジェニーを見つけたときに感動があったんですが、今回は、なんと言いましょうか、その音楽の使い方自体が古くさくなっていて、昔の想いに浸ることは出来ませんでした。残ね~ん!
私の住んでいる福岡では一年に数日しか雪の積もる日は無いんですが、たまに銀世界を見た時によくこの映画を思い出します。ボストン時代のオリバーのアルバイトに、クリスマスツリーを売買するシーンがあって、クリスマスにも思い出しますな。
演出で面白かったのは、画面は遠景なのにダイアローグはハッキリと聞こえる所。例えば、オリバーとジェニーが、オリバーの実家に初めて車で訪問するシーンでは、高速道路を走っているオリバーの車をロングショットで捉えながら、音声は二人の車内での会話が聞こえてくる。又、オリバーの寮で二人が一緒に勉強をしている時、二人の会話が流れているのに、画面は寮の建物を外から撮っている。トーキーが始まった頃には考えられない手法でしょうが、今ではよく見られますよね。
監督のアーサー・ヒラーは、同じ年に「おかしな夫婦」というニール・サイモンのコメディも作っていて、これも優れた映画でした。この2作以外には71年の「ホスピタル」くらいしか話題になった作品がないので、この頃がヒラー監督の絶頂期だったのでしょう。
実話であれフィクションであれ、病気で苦しむ人の姿を見るのは辛いですが、この作品はどちらかというとオリバーの方に視点を置いて作っていたので、昨今のこの手の日本の映画やTVドラマのようにジメジメして無くて良かったです。
今回鑑賞中にグッときたのは、ラストでジェニーを見舞いに来たオリバーの父親とオリバーが病院の入口で会うシーンでした。この時は父親の方に感情移入してしまって、息子に『ジェニーは死にました。』と告白された時の無念そうな顔が印象的でした。一つの映画も、観た時の年齢によって感じ方が違うことを改めて理解しましたな。
オリバー・バレット三世を演じたのは、ヒチコックの「ダイヤルMを廻せ!(1954)」でグレース・ケリーの亭主を演じたレイ・ミランド。主演オスカーを獲った、ワイルダーの「失われた週末(1945)」は未見です。
フランシス・レイの音楽では、雪の中で二人がフットボールの楕円形のボールを投げ合っているシーンで流れる軽快なモノが好きでした。それと終盤に、ジェニーの病気を知ったオリバーが自宅に帰り着くまでに流れてくるモノが彼の心情を映して印象的でした。白血病というのは、当時は不治の病だったんですね。
出演者のデータにトミー・リー・ジョーンズがいてビックリしましたが、オリバーの寮仲間の役でした。若い!
オリバーがジェニーに寮から電話しているシーンで、携帯電話がない時代だったんだなあと感じましたな。
尚、78年に「続ある愛の詩」という続編が作られているが、コチラは未見です。ジェニー亡き後、キャンディス・バーゲン扮する別の女性と恋に落ちるオリバーだが、<ジェニーの思い出が二人の間に暗い影を落とす・・・>というような話で、あまり評判も宜しくなかったと記憶している。
主演のライアン・オニールは、<2001年に慢性白血病であることを告白・・>とネットのデータはなっている。その後亡くなったのを聞いた覚えがあるんだが、これは記憶違いだったのか・・・?
有名な公開時コピーを書き忘れました。『愛とは決して後悔しないこと』。原文は“Love means never having to say you're sorry.”でした。
『25歳で死んだ若い女性の事をどう言ったらいいのだろう? 彼女は美しく聡明だった。彼女が愛したもの、それはモーツァルトとバッハ、ビートルズ 、そして僕・・・。』
雪のニューヨーク、セントラルパーク。スケートリンクの観覧用ベンチに腰掛け、亡き妻ジェニーを想い出しているオリバーの後ろ姿に重なって、このモノローグが流れてくる。
奥さんを白血病で亡くす若い夫婦の、出会いから別れまでを描いた当時の大ヒット映画で、フランシス・レイの主題歌も大ヒットした。色んな人が唄ったが、一番有名なのはアンディ・ウィリアムスだったろうか。【原題:LOVE STORY 】
「イエロー・サブマリン」の脚本にも参加していた、エリック・シーガルの原作がベストセラーとなった上での映画化だった。原作でも、冒頭のモノローグが書き出しだったと思う。映画の脚本もシーガルが書いていて、ゴールデン・グローブ賞を受賞、オスカーにもノミネートされた。確か彼は、当時ハーバード大学の教授ではなかったかと記憶している。
オリバー・バレット四世(オニール)はハーバードの学生で、試験前に調べたいものがあって、ラドクリフ女子大の図書館に行く。そこで受付をしていたのが、後に妻となるジェニー(マッグロー)だ。初めて会うオリバーを“お坊ちゃん”と呼ぶ生意気な女学生だったジェニーだが、その時のウィットな会話に惹かれて、オリバーはジェニーをお茶に誘う。アイス・ホッケーの選手でもあるオリバーはホッケーの試合にもジェニーを呼んだりして、次第に二人は惹かれ合っていった。
オリバーの実家は歴史のある旧家で、ハーバードの敷地内のある建物を寄贈したことでも有名な名門である。一方、ジェニーの方はといえば、イタリア系移民の市井のお菓子屋の娘である。母親は亡くなっているようで、父親(マーリー)とはファースト・ネームで呼び合うほど仲がいい。
身分の違いを意識しているジェニーは、卒業後はオリバーと別れて音楽で身を立てる道を考えていた。パリ留学のチャンスが訪れたジェニーはそれを告白するが、オリバーは帰ってくるまで待てないとプロポーズをする。
ジェニーを実家の両親に引き合わせるオリバー。実は、オリバーは何事にも干渉してくる父親との関係が上手くいって無く、その日も半分ケンカ別れのようにして帰ってきてしまう。結局、早過ぎるという父親の反対を押し切って結婚した為、オリバーには仕送りがこなくなり、親子関係は絶縁状態になる。
ジェニーの音楽教師の給料と、オリバーのアルバイト代が生活の糧という貧乏暮らしだったが、ハーバードの法科を優秀な成績で卒業したオリバーは晴れてニューヨークの法律事務所に就職、瀟洒なマンションでの都会生活が始まった。
そんな中、なかなか子供に恵まれない二人は医者に相談をする。一人、診断結果を聞きに行ったオリバーに、医者は信じられない言葉を口にするのだった・・・。
実は、この映画は私が初めて映画館で涙をポロッと流した作品であります。30数年前の事ですが、後半、オリバーの父親の件で夫婦喧嘩をした後、家を飛び出したジェニーを追ってオリバーが街中を探して回るシーンでウルッとしてしまいました。フランシス・レイの音楽が切ない気持ちを盛り上げてくれて、最後にジェニーを見つけたときに感動があったんですが、今回は、なんと言いましょうか、その音楽の使い方自体が古くさくなっていて、昔の想いに浸ることは出来ませんでした。残ね~ん!
私の住んでいる福岡では一年に数日しか雪の積もる日は無いんですが、たまに銀世界を見た時によくこの映画を思い出します。ボストン時代のオリバーのアルバイトに、クリスマスツリーを売買するシーンがあって、クリスマスにも思い出しますな。
演出で面白かったのは、画面は遠景なのにダイアローグはハッキリと聞こえる所。例えば、オリバーとジェニーが、オリバーの実家に初めて車で訪問するシーンでは、高速道路を走っているオリバーの車をロングショットで捉えながら、音声は二人の車内での会話が聞こえてくる。又、オリバーの寮で二人が一緒に勉強をしている時、二人の会話が流れているのに、画面は寮の建物を外から撮っている。トーキーが始まった頃には考えられない手法でしょうが、今ではよく見られますよね。
監督のアーサー・ヒラーは、同じ年に「おかしな夫婦」というニール・サイモンのコメディも作っていて、これも優れた映画でした。この2作以外には71年の「ホスピタル」くらいしか話題になった作品がないので、この頃がヒラー監督の絶頂期だったのでしょう。
実話であれフィクションであれ、病気で苦しむ人の姿を見るのは辛いですが、この作品はどちらかというとオリバーの方に視点を置いて作っていたので、昨今のこの手の日本の映画やTVドラマのようにジメジメして無くて良かったです。
今回鑑賞中にグッときたのは、ラストでジェニーを見舞いに来たオリバーの父親とオリバーが病院の入口で会うシーンでした。この時は父親の方に感情移入してしまって、息子に『ジェニーは死にました。』と告白された時の無念そうな顔が印象的でした。一つの映画も、観た時の年齢によって感じ方が違うことを改めて理解しましたな。
オリバー・バレット三世を演じたのは、ヒチコックの「ダイヤルMを廻せ!(1954)」でグレース・ケリーの亭主を演じたレイ・ミランド。主演オスカーを獲った、ワイルダーの「失われた週末(1945)」は未見です。
フランシス・レイの音楽では、雪の中で二人がフットボールの楕円形のボールを投げ合っているシーンで流れる軽快なモノが好きでした。それと終盤に、ジェニーの病気を知ったオリバーが自宅に帰り着くまでに流れてくるモノが彼の心情を映して印象的でした。白血病というのは、当時は不治の病だったんですね。
出演者のデータにトミー・リー・ジョーンズがいてビックリしましたが、オリバーの寮仲間の役でした。若い!
オリバーがジェニーに寮から電話しているシーンで、携帯電話がない時代だったんだなあと感じましたな。
尚、78年に「続ある愛の詩」という続編が作られているが、コチラは未見です。ジェニー亡き後、キャンディス・バーゲン扮する別の女性と恋に落ちるオリバーだが、<ジェニーの思い出が二人の間に暗い影を落とす・・・>というような話で、あまり評判も宜しくなかったと記憶している。
主演のライアン・オニールは、<2001年に慢性白血病であることを告白・・>とネットのデータはなっている。
有名な公開時コピーを書き忘れました。『愛とは決して後悔しないこと』。原文は“Love means never having to say you're sorry.”でした。
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】
自分が一番でありたい!男性もこんな思いを抱くんだなと思いました。
この映画の撮影時にライアンとアリは恋仲になったようで、映画のプレミアのとき、ライアンがアリに人前でキスしたらしいんですが「あれは絶対に舌が入っている」などとゴシップ屋に書きたてられていましたね。アリは結婚していたから、スキャンダルってとこでしょうが・・ライアンはそうは見えないけど、なかなかのプレイボーイでモテモテ君だったそう・・今は噂も聞かないですけどね・・
>自分が一番でありたい!男性もこんな思いを抱くんだなと・・・
女性より男性の方がそういう気持ちは強いような気がするけど、女性は女性で自分たちの方が強いと思っているって事ですか。な~るほど。
ライアンは、今年だか去年だかに、亡くなったと聞いた覚えがあるんですけど、記憶違いですかねぇ?
とってもいいロマンス映画だと思いました。
あまりないですよね、
こういう素敵なロマンス映画。
結末は悲しいのですが、
でもだから、ますます真剣さが引き立つ
というか、本物の愛があるなって感じます。
また見てみたくなりました!
当時は主題歌が大ヒットしたんですが、さすがにここ何年もこの歌は聞きませんねぇ。
日本の作家が書いた本が原作らしいです。
>今回は、なんと言いましょうか、その音楽の使い方自体が古くさくなっていて、昔の想いに浸ることは出来ませんでした。残ね~ん!
公開時に見られたんですね。
ジメジメを抑えた演出は好感持てるけれど、いささか情感に欠けるなって思う。でも当時はこれ観て涙した人も多かったんではないかしらって記憶しているけど…。
同じ頃、パゾリーニの「アポロンの地獄」なんか観て感動していた私には、お呼びでなかったなって思うけど、でも二人でじゃれる雪のシーンなんかは素晴らしかった。
若い二人のひたむきな愛。美しい景色。盛り上げる音楽、そして不治の病という悲劇。
青春ラブストーリー映画の王道的作品かもしれませんね。
>ライアンとアリは恋仲になったようで
上のコメントに反応。アリが惚れっぽいのか。オニールの女癖が悪いのか…
この後の「ゲッタウェイ」でアリとマックィーンは恋仲になって二人とも離婚してくっついたけど、続くわけなかったですよね。
批評家の評点は良いけれど、当時中学~高校生くらいの十瑠にはサッパリでした。
幾つか観てみたいのはあるんですがね。
この作品、オリバーと父親との関係修復まではいかないところがリアルでした。和解どころか、苦境にある時すら本当のことを言ってもらえない…。自業自得ではあるけど、父親の心情もオリバーの心情もしっかり伝わってくる作品でしたね。