黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

支庁長という役職

2013年06月07日 10時11分58秒 | ファンタジー

 ちょっと堅い話。私が住む北海道の面積は日本の国土の二割以上に及び、九州の二倍、四国の四倍もある。北海道でいちばん広い北見市(合併しすぎて大きくなった)、二番目の別海町などは、香川県よりわずかに狭いくらい。もちろん人口密度を度外視しての比較だが。
 札幌に本拠を置く道庁だけでは、こんなにも広い地域をカバーしきれないため、十四の振興局という区域割りがされている。局長には、知事から多くの事務や権限が委任されているばかりでなく、知事の役職を名乗る権限さえ付与されている。ひとつの行政区の中に半ば自立した行政機関があるといった制度を導入したお陰で、知事がいなくてもたいがいの行政事務はたんたんと進められる。どこかの市では考えられないことかもしれないが、首長が強権を発動しなくても、住民はなんら困ることがない良い実例だ。
 区割り後の振興局もまだまだ広い。最も狭い檜山振興局でも、その面積は佐賀県や神奈川県と同じくらい。三大総合振興局(十勝、オホーツク、上川)に至っては、都道府県面積ランキング第七位の岐阜県とほぼ同じだ。
 ところで振興局は、数年前まで支庁という名称だった。明治初期の開拓使時代から、支庁の長は○○支庁長と呼ばれ、百年以上の年数を経るうちに、苔生した風格ある職名となった。それが道庁の財政難を回避するため機構改革をやって、名前まで、振興局長という平板なものに差し替えた。道民からは、えっ?どこの方?うちの市役所にそういう役職の人がいるの?などと声が上がり、役職名の品位が地に落ちてしまった。その上、振興局に総合をつけたり、つけなかったりで、これまでの支庁になかった組織の格差を生み出した。地域の自立性を奪われた気分がすると嘆く方々も一部にいるくらいだ。
 北海道民は、物事への執着心がどちらかというと薄いゆえに、住民の感情を無視したまま強行された看板の掛け替えについて大目に見た。今の知事が代わったら元へ戻せばいいんじゃない。北海道の人は余裕があるというか、ねばり強いというか。ほんとに今どきの政治家は、思いつきで行動(奇行?)することは得意でも、住民に対する説明責任をちゃんと果たしていない。大きな責任を背負った者は、説明できないことをしてはいけない。(2013.6.7)
コメント
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