以前、超広角15mmレンズで35mmフルサイズ撮影したものをトリミングすることによって得られるアオリ効果について
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その1】(アオリ操作をせずにアオリ効果を得る!の巻)』
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)』
の2回に渡って説明したが、
今回は35mmフルサイズのイメージサークルを持ったNikon FマウントレンズをAPS-Cサイズのイメージセンサーのカメラに取付けてアオリ撮影しようという試み。
PC内でトリミング作業をしなくて済むというメリットがある。
KIPON T&S NIK-S/E は、シフト2方向(撮影時には1方向)、ティルト1方向のアオリ操作ができる。シフト1方向、ティルト1方向の複合アオリ操作も可能。なお、アオリの方向を変えるためにレボルビング機能があり、マウントアダプター自体を360°回転させることが出来る。30°ごとにクリックがあるので、12方向にアオることが出来る。
トリミングによるアオリ効果の場合は上下いづれかと左右いづれかの組み合わせで2方向の複合シフトアオリが出来たがティルトアオリは出来なかった。それぞれ、一長一短がある。正式なTSレンズを購入せずにアオリ効果を得ようというのだから制約があるのは仕方ない。
シフトは最大15mm。結構大きくシフトできる。
ティルトは最大12mm。
今回使用したカメラはAPS-Cサイズのイメージセンサーを持つSONY NEX-6。レンズはAi NIKKOR 20mm f3.5S。35mmフルサイズに換算して約30mmの画角になる。
建築撮影の基本、水平垂直を出して撮影。有機ELパネルの電子ビューファインダーは水準器を表示できるので便利だ。
アオリ操作をしていないので、当然上部は切れてしまう。
上方向にシフトアオリして撮影。
フルサイズのイメージサークルの中央近くを使って撮影するので、画質的に有利だ。
更に、ティルトアオリも加えてミニチュア風写真を撮影。このようにシフト・ティルト各1方向の複合アオリ操作も可能だ。
被写体は網干神社拝殿。江戸中期の造営と聞く。小品ながら千鳥破風と唐破風の組み合わせが豪華な建築である。
今度は縦位置で上方向にシフト。縦方向は、イメージサークルの端に近いのでアオリ量によっては蹴られてしまう。
塔を画面の中央に入れて歪みなく撮影しようとしたが、引きが足りなくてアオリ量が大きくなってしまった。
そこで、少し引いてアオリ量が少なくなるように撮影。
塔が中央に入らず、歪んでしまった。トリミングによるアオリ効果の場合は塔の歪みは修正できるのだが・・・
画質的に有利とはいえ、古いレンズなので撮影原寸に拡大すると色収差が出ている。
これは、大判ポスターのように原寸で見ることが無ければ問題ない。
次に左へティルト操作して、塔にピントを合わせてミニチュア風写真を撮影。
おやっ、塔が逆方向に歪んでしまった。ということは、左ティルトは左シフトと同じ効果があるということになる。
この効果を逆手にとってティルト量を調整して塔屋の歪みを修正。
ドーム部分の形が斜めに歪んでいないのがお分かりいただけると思う。
めいっぱい絞って(f22)パンフォーカス撮影することによってミニチュア効果を排除している。
被写体は旧網干銀行本店。姫路市網干地区の最も優れた意匠の近代建築で、ランドマーク的存在。
アオリ操作は奥が深い!
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