初めて一人暮らしをはじめたときに、親のありがたみというものを嫌というほど教えられた。自分が如何にいろんな面で親に頼りきりだったかって言うことを教えられた。だけれどもこういう言い方は親に失礼。何だかそのありがたみが生活の現実的な面ばかりに焦点が合っているようにも聞こえてしまうから。
初めての一人暮らしで教えられたのは親のありがたみばかりではなかった。それは料理について。そしてそれは例えばご飯。家に居る時などにも手伝いをしていたのでお米は研いでいた。でも手伝いだったので、親に言われるがままに水が透明になるまで水を替えて、米を研いでいた。
でも一人暮らしになるとそうきちんと米を研がなくなった。男で、特にめんどくさがりやな僕は自炊を始めてしばらくたって、すぐ米をあまり研がなくなった。無洗米でもないのに研がないので、糠が残ったまま。
糠が残ったままの米というのは当然のことながら糠くさい。普通のおかずを合わせたんじゃ、糠臭くって箸が進まない。だけれども米だけを味わうのなら話は変わる。糠の臭さは米の味の一つなんじゃないか、と思ったりもした。米だけで食べたり、おにぎりにしたりするときはあまり糠を落としすぎない方が”あじ”がある。
そんなことを一人暮らしから学んだ。