給料日

毎月の給料日

必ず、

いろんなセールスマンが来ていた。

当時は、現金を直接もらっていたので、

気が大きなって、

思わず買ってしまうことがあった。

その中でも、

小城羊羹を持って来る

お婆ちゃんがいた。

お婆ちゃんは、

風呂敷いっぱいの羊羹を

担いで運んで来ていた。

みんな、

そのお婆ちゃんから買っていた。

少しでも、

大量の羊羹を減らしてあげたい

という気持ちもあった。

たまには、

変わったセールスマンも来た。

私がデスクに向かって仕事をしていると、

「君、十円玉を出したまえ」と言った。

私が渡したその十円玉を、

パチンと

いとも簡単に切った。

みんな驚きの声を上げた。

エエッ。

「これは万能ハサミです、

なんでも切れます。

植木の剪定も実に簡単です。」

そこにいた多くの職員が買った。

私も買った。

買った時は

良かったと思っていた。

が、

時間が経つにつれ、

私は、植木の盆栽は持っていないし、

毎日、十円玉を切るのも変だし。

この万能ハサミを

何に使えば良いのだろう。

と後悔した。

しかし、

何かの役には立つだろうと

小城羊羹を食べながら、

思いを切りかえた。