今回は年末年始の句を選んでみました。
暮早し銀河鉄道の切符買ふ 2002年12月30日
銀河鉄道の切符を買うのは早すぎると思いました。
昶さんのご命日は「2011年5月30日」でしたが、それも早すぎました。
いつからか定かではありませんが、昶さんの「死」に対する関心はだんだん強くなっていったような気がします。
何となく淋しき日なり晦日蕎麦 2005年12月30日
過ぎゆく時間のなかにいると、人は淋しくなるもの。
生き延びよ腰強き雑煮喰ひ 2006年1月5日
反面、新年の食べ物は心強いものばかりですね。
「生きよ」ではなくて「生き延びよ」と書かれたのは、
「五七五」の「五」に拘ったわけではないようです。
初句会座敷童子も正座せり 2003年1月1日
初句会で、昶さんの隣に正座した座敷童は何の悪戯をしたのだろうか?
いやいや、一句献上したのではないだろうか?
子供が好きだった昶さんらしい句です。
髪洗ふ音やはらかき初湯かな 2003年1月12日
しみじみとこの句はいいですねぇ。
長い髪にゆっくりと流れてゆく、豊かな湯の音がかすかに聴こえます。
こうして句集を開く度に、昶さんの声を聴くような気がします。
地上に生きて、私は何度の「棒のごとき去年今年」を繰り返すのかわかりません。
それでも生き延びてみましょうか?
去年今年貫く棒の如きもの 高浜虚子