「すみれの、は~な~・・・・・・の巻」
暇つぶしに庭を散策すると、きれいな花が咲いていてもあまり
感じないようだ。
おっと、あまり建物から離れると、帰りがつらい。
いやというほど、歩いた気がするよ、もう。
「そろそろ、いいかな」
私は売店にもどった。
2時5分前になってもカーテンは開かない。
2時ちょうどになっても開かない。
やっと2時5分過ぎになって、売店があいた。
私は急いで鏡の間にむかった。今日は「ケツカッチン」なのだ。
写真を撮り終えると駅にむかった。
駅にはたくさんの電車が並んでいた。
どの電車に乗ればよいかわからないので駅員に「どれがアルマ橋駅に
停まるのか」と聞いた。
駅員は目の前の電車を指差した。
その電車に乗り込んでしばらくすると、動き出した。
今度は終点まで、というわけにはいかない。停車するたび、「ARMA」の
文字をチェックした。
あっ、ここだ。私は電車を降りた。乗ったときと同じ風景だ、間違いない。
「まだ、クレージー・ホースの開演には時間があるな」
そう思って、ホテルに向かって歩いていった。
ホテルの近くに「ジバンシー」があった。
これはベルサイユ宮殿に行くときに、見つけてあったものだ。
パリに来て、自分のためには何も買っていない。
ジバンシーのスーツは一着20万円くらいするので、とてもむりだ。
せめてポロシャツでも買おうと思った。
「地球の歩き方」には、今月は年に一度のソルド(バーゲン)であると書いてある。
私は店に入った。半額セールをやっていた。
私はポロシャツのコーナーで迷っていた。
気に入ったものがあったのだが、サイズが大きい。
近づいてきた定員に言った「ツー・ラージ(大きすぎる)」。
店員は「ウィ」と言って別のものを持ってきた。
店員が持ってきたのは、同じサイズの色違い。
「ツー・ラージ」をフランス語の「カラージュ(色)」と聞き間違えたのだ。
「めんどくさいな、どうせ洗えば縮むだろう」
いいかげんな理由をつけて買うことにした。
レジで凍った。値段は6万円。全然安くならないじゃないか。それとも、これで
半額になってるというのか。
ここまできたら後戻りできない、しかたなくお金を払った。
ブランド品はもう、いい。
がっかりしてホテルに戻ると、クレージー・ホースの開演時間が近づいた。
何かあるかもしれないと、日本からスーツ一式を持ってきていた。
今日はこれを着ていこう。いちおう「正装」しなければならないからだ。
スーツに着替えてホテルを出ると、10分くらいで劇場についた。
入り口にいる係員に予約票を見せると、ボーイが席まで案内してくれた。
値段は2ドリンク付きで490フラン(9800円)だ。
この490フランというのが、じつに考えられた金額なのであった。
席につくと飲み物を聞かれる。私は「オレンジ・ジュース」と答えた。
次に、お金ををボーイに払うのだが、490フランだから、ほとんどの客
が500フラン紙幣をだす。
ボーイは飲み物と、お釣り10フランをもってくる。
そのまま、彼のチップだ。
おっ、ジュースがきた。コップに入ったジュースが2つ・・・
「?・・たしかに・・・・2ドリンクだ・・・・」
「おいおい、ぬるくなっちゃうじゃないか」とつっこみたくなるが、事情はちょっと違う。
料金表に記入されている以上、契約違反にならないように、客の意向とは
関係なしに、持ってきたのだろう。さすが、訴訟の国。
日本なら、たとえ2ドリンクと記入されていても、客が一杯目で満腹に
なったら二杯目は注文しない。
むりに注文して残したら、失礼にあたるからだ。
それで、一杯分の料金をかえせ、とは言わない。
それが、社会のルール、大人のマナーなのだ。
国が変われば、常識、ルールも違う。そういうことなのだ。
やっと、ショーが始まった。
いきなり裸で、背中に羽根がついている。舞台を行ったり来たりしていた。
レビューっていうやつか?
ひとことで言うなら「服を着てない宝塚」だ。
格調高いわけだ、ちっともエッチではない。
いいのか悪いのか、個人の感じるところしだい。
ショーは踊りだけではない。
踊りの間に、手品、パントマイムなどがある。
ジャグラーがジャグリングをしていた。
何かしゃべっている、フランス語だ。笑いがドッとおこる。
また何かしゃべっている、今度は英語だ、また、笑いがおこる。
日本人のお客さんもかなりいるのだが、蚊帳の外だ。
そんな時、むずかしい大技がきまった。拍手喝采である。
ジャグラーがバトンをまじまじ見て感心して言った。
「メイド・イン・ジャパン」。
これには日本人も大笑いであった。さすがプロのエンターティナーである。
笑いのツボを押さえてる。
ショーは1時間30分くらいで終わった。
まさにレビューであった。
さて、ホテルに帰ろうか、と思ったが、道に迷ってしまった。
ホテルから10分くらいの場所なのだが、夜になると全然わからない。
これが東京なら「迷ったついでに、少し探検しようかな」と思うのだが、
見知らぬ外国で迷子になる、ということはすごく不安になるものだ。
バーから笑い声や音楽が聞こえるのだが、そんなものは頭に入らない。
「とりあえず、シャンゼリゼ通りを見つけよう」
そう思い、20分くらい探した。
そうして、やっとシャンゼリゼ通りを見つけ、いつもの帰りパターンで
ホテルにたどりついた。
あしたは、最終日、ついにルーブル美術館だ。