Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

かぜまち美術館の謎便り

2015-10-21 21:23:46 | 読書
森 晶麿,新潮社 (2014/11).

Amazon の内容(「BOOK」データベースより)*****
18年前に死んだはずの画家から届いた絵葉書が封印された町の過去を解き明かす - イクメンでカリスマ学芸員のパパと保育園児のかえでちゃん。寂れゆく町に引っ越してきた、オアシスのような父娘コンビが、ピカソ、マティス、ゴーギャン、シャガールらの名画解釈をもとに、夭折の天才画家が絵に込めた想いを読み解き、その最期の真相に迫る! *****

この著者の「黒猫シリーズ」は一冊を読んだだけだが,そこそこという印象だった.こちらはずっと良い.
連作の一話ごとに謎が解かれ,なおかつ もっと大きな謎の解決に収束していくという,最近はやりの構成.保育園児のひとことをヒントにイクメン・パパが謎を解くというが共通している.頻出する「幼児ことば」の当否は,よくわからない.各章のタイトルもひらがな主体で子供っぽい.

狭い田舎での血縁関係などは考えてみれば横溝正史ミステリと似たような設定だが,こちらは父娘コンビのおかげでほんわかムードにひたれる.ときどきお料理場面もある.18 年前何があったかが鍵だが,当時主な登場人物は少年少女だったので,甘酸っぱい感じになっている.

夭折画家の妹の保育士嬢がヒロイン役を務める.彼女のピンチに何度か都合よくパパが現れるところは,嘘くさい.また彼女とパパの関係進展を期待したら最後に裏切られた.
画家の絵が全てセザンヌ,ピカソ,マティス,ゴーギャン,シャガールの有名画家の絵に倣っているというのも如何なものか.しかし名画解釈は読ませる.ちなみに著者は大学院芸術学研究科博士過程前期終了だそうだ.

雑誌連載時のタイトル「パパとおしゃべりな絵画たち」の方が内容に即している.
図書館で借用.
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