Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

幼年の色、人生の色

2017-10-17 08:42:32 | 読書
長田 弘,みすず書房 (2016/11).カバー画は三岸黄太郎.章の扉絵はカンディンスキ.

Amazon の内容紹介*****
昨年5月に75歳で亡くなった詩人が最後に編んでいた自選エッセー集。
幼少年時の記憶、漢詩の魅力、アメリカの旅と詩、ボブ・ディラン、クラシック音楽、猫などをめぐる充実の38篇。好きな場所、好きなもの、好きな言葉……人生の終わりに思い起こして残したいことばかりが綴られた、この一冊から浮かぶのは、批評的詩人にそなわる激しさや厳しさとは少し違う、優しさと微笑み。
いちばん近くから長田弘さんと接することができる本。*****

著者は死の前日まで普通に仕事をしていたそうだ.あやかりたい.

I, II, III, IV, V と分かれていて,最後に「本社で触れられた本」がまとめられているが,本と離れたテーマもある.II は漢詩,III はアメリカ,IV は音楽が中心らしい.V はまず猫の話題が3編並ぶが,猫だけではない.
教科書に載せてよく,入試問題の材料によく,しかも退屈でない.


「ひそやかな音に耳済ます」の一節

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子どもたちを連れて作家は草むらに草ひばりを探しにゆく.だが虫の声に,子どもたちは関心を持たない.「...今は若い人々の心に.自然は単純な自然のままではもう生きていない」
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この文章の「私」は広津和郎,「今」は太平洋戦争と呼ばれた昭和の戦争の直前の「今」のことだ.

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コメント
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