Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ねたばれ シンセミア

2006-12-03 16:26:35 | 読書
阿部和重「シンセミア」I-IV 朝日文庫.2006年10-11月.

文庫本四冊だが,一冊ずつはあまり厚くはない.どの巻にも解説がついている.
腰巻きIIの「現代ミステリーの超絶傑作」はうそ,これはミステリーではない.
腰巻きIVの「戦後史の謎がついに暴かれる」もうそ.田舎町のある事件が明るみに出るだけのこと.
ソフトフォーカスの牧歌的なカバー写真には,深遠な意味があるらしいが,ぼくには分かりません..
「芥川賞受賞後に書かれた最初の長編小説」だそうだが,芥川賞が乱発されたおかげで,作家の名前も初耳のような気がする.
本作は伊藤整文学賞・毎日出版文化賞 W 受賞作だったそうです.ちなみに,ハードカバーは2003年刊行.

計算されつくした小説で,まことしやかな地図とか年表とか系図とかが付いている.だれが主人公と言うことはないのだが,著者はパン屋一過に以上を持っているように感じられる...と思ったら,著者の実家がパン屋らしい. 登場人物たちのネガティブなエネルギーには辟易すると同時に圧倒される.いつの間にか登場人物と読者が一体化して,読者は自分のこころの闇をほじくられているような気分になる.不快だがおもしろい.でもこの作家の小説はこれで最後にしたい.

最後の数十ページでみな次々と死んでいくところが小気味よい.

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