Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

追憶のハルマゲドン

2008-09-14 08:49:19 | 読書
カート・ヴォネガット, 浅倉 久志 訳 早川書房 (2008/08)

出版社による紹介
悪魔退治を科学的に行なおうとする天才科学者ターベル博士の奮闘をユーモラスに描く表題作はじめ、第二次大戦中に体験したドレスデン大空襲を語るエッセイ、死の直前に書き上げたスピーチ原稿、手紙、短篇などの未発表作を著者自筆イラストとともに収録する、最後の作品集.

禿げ丸どん,ではなくハルマゲドン Armageddon は,黙示録にある,世界の終末における天使と悪魔の最終戦争.これをタイトルに持つ短編は寓話的.これ以外はすべて,何かの形で戦争がテーマになっている.「カート・ヴォネガット上等兵が家族に宛てた手紙」が収められているが,この手紙にある体験がこの本にあるいくつかの短編のもとらしい.
終戦記念日以来,戦争をテーマにした日本の小説をいくつか読んだが,欧米の戦争はからりとしているなという印象.「非国民」などという言葉が出てこないだけでも救われる.

「死の直前に書き上げたスピーチ原稿」は,本人が死んでしまったので長男が代読したそうだ.「くそ」「うんち」「けつの穴」などという言葉がつぎつぎに飛び出す.昔々,この作家のペーパーバックを買ってみたが,歯が立たなかったのを思い出した.こうした単語を別にしても,翻訳はすごく難しそう.
40ページの最終行には,“わたしの考えるジャズの定義とは? 「最高に優れた,安全なセックス」” というフレーズも...

装幀 和田誠.ご覧のように帯で隠れる部分には何も描いてない.和田さんは「デザインをぶちこわす」として反対していたと思うが,このカバーにはバーコードが印刷されている.
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