acc-j茨城 山岳会日記

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谷川岳 一ノ倉沢3ルンゼ

2015年09月18日 17時07分58秒 | 山行速報(アルパイン)

その先はどうなっているのか。
この風景のその先を。
この目で。この体で。


2015/9/14-15 谷川岳 一ノ倉沢3ルンゼ


一ノ倉の奥壁を縫うように国境稜線へ。
先達が自然と追い求めたように、眺める谷の一番奥に抜けるライン。
それが、3ルンゼ。

過去に二度の悪天敗退。
いずれにせよ「タイミング」というものはある。
過去の経験は今日のタクティクスに生きてくる。
途中のビバ-クも意識した計画。
パ-トナ-はsztmさん。

駐車場を4:20発
日の出5:30に一ノ倉出合を出立。
下部はともかく、上部はガス。おそらく霧雨の様相だろう。
太陽が出れば、ガスは取れるか?
ともかく、これより悪化の天候はないはずだ。

秋道を行き、懸垂。
テ-ルリッジを行く。前後に2パ-ティ-。
中央稜取付き付近は霧雨。

7:00
南稜テラスあたりで何とか雨は上がる。
本谷バンドをロ-プを出して行く。
雨に濡れた笹薮で全身が濡れる。

1ピッチ:sak
本谷F滝は中央よりを行くが、支点状態悪く一度戻り、定石通り左から行く。

2ピッチ:sztm
F滝上から本谷左のリッジよりさらに左の草付ルンゼを行く。上部は草をつかんでいく。
リッジ上部の岩コブ基部に支点あり。

3ピッチ:sak
リッジを右、本谷側に回り込んでトラバ-ス、本谷F1上。
左から入る水流が3ルンゼのF1。ここを右から登る。草付で少し悪い一手があった。
滝上のスラブに支点を見いだせず、水流近くに降り支点構築。

4ピッチ:sztm
スラブを適当に。右のほうが楽。

5ピッチ:sak
下部核心のF2。いろいろ登れるようだが、下部は水流を行く。支点は疎らなのでカムを3カ所ほどセット。
上部に行くと支点も増えるが、腐っているものも多く、要注意。
最上部は水流際にも支点はあるが、左のフェ-スへ乗り移る。最初外傾の甘いホ-ルドが多かったが、数歩登るとガバカチ続き。

振り向くと一ノ倉出合。
南稜に1パ-ティ-。

6ピッチ:sztm
スラブを行く。ピッチ切りの支点が見つからず、安定したところで切る。

7ピッチ:sak
F3は相方の見せ場。なのでほんの数m、F3滝下まで。

 

8ピッチ:sztm
F3の下チムニ-はビッショリ。とても行く気にはなれず、右にトラバ-スして岩の切れ目から右フェ-ス。
トラバ-スがヌメヌメでとても気が抜けなかった。ナイスリ-ドだ。
ロ-プの流れが悪いので、ピッチを切る。

9ピッチ:sztm
F3上部。右のフェイスは支点が見当たらず、中央突破でチムニ-を行く。
こちらも濡れてはいるが支点も多い。

これで、大方の核心は終了。
ロ-プをつないだまま、スラブというか岩ゴロの草付を直上。
途中、一時晴れたものの、上部ではガスがひどく、視界は良くない。
風も冷たく動いていないと寒い。

次第にスラブは正面と左に別れる。
このあたりが判然としなかったが、左目に行く。

右に上部岩壁が威圧感でもって高さを増す。
その基部、笹と草付に乗ってみるが、ここが非常に悪い。岩が浮き、妙に滑る。
予定外に時間がかかった。

このころ、谷にヘリの音がしばらく留まっていた。
ガスに巻かれて、その姿は見えなかったが、何かあったのだろうか?

スラブへ回帰すると安定。こちらが本道だろう。
しかし、次第に立ってくるので、油断は禁物。
上部にはいくつか支点も見いだせた。

最後に左トラバ-ス気味に中央奥壁との境界尾根。
笹薮を風よけにしながらロ-プを解く。
チョット上に安定したテラスがある。

ここで16:00。
時間はかかったが、国境稜線までは今日中に何とか届く。
そういった安心感があった。

しかし、、、しかしだ。
『日本の岩場』にある「しっかりした踏み跡」はもはや薮に埋もれている。
途中のフェイスでロ-プをだしての登攀(Ⅲ+)。
以降の薮、草付、灌木も傾斜がありロ-プを出して行く。
腕力に陰りが出てくる頃、ようやく国境稜線に届いた。

時間は18:30
もう、闇があたりを飲み込んでいた。

ヘッデンを出して今日の下山を考えたが、視界も悪く安全担保を考慮し肩の小屋に泊まることにする。
消灯間際の19:45、小屋着。
とても暖かく迎えてくれたのは、かの馬場さん。
臨時で小屋に入られていたとのことだった。
大変、お世話になりました。

明けて、トマの耳まで登って大休止。
マチガ沢東南稜でも、、、と考えたが、体の方はそうそう言う事を聞いてくれそうもなく眺めを堪能したらのんびり下山。
良きパ-トナ-、出逢いに恵まれて充実した山行となった。

この風景のその先を。
この目で。この体で。

初登攀の時の苦労やテクニックに到底敵うものではないが、奥底にあるものはそういう事なのではないかな、と。
秋風に吹かれながら、山を振り返る。


sak



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