人はただ話を聞いてもらいたいという、その思いだけで誰かに話をしたりもするものです。
そこにあるには、常に前向きなものを得ようという姿勢ばかりではなく、とりあえずというか、とにかく今この瞬間、自分の言葉を発したい、それを受け止めてもらいたい、たとえ聞き流すだけであっても、という状況。
生徒達と接していると、そんな風に思うことが度々あります。
生徒たちの多くが、教室に入ってくるなり「ねえ先生、話を聞いて」と言います。
今すぐに処理しなければならない仕事をしているとき以外は、極力自然体でそうした話に耳を傾けるようにしていますが、彼ら・彼女らは、ただそれだけで心の中に引っかかっていたものが消え去るのか、暫くすると満足そうな顔をして自分の授業に入っていきます。
個人の話ゆえ、そうして聞いたことは一切他言しませんし、特に求められない限り、コメントしたりもしないのですが、それはそれで構わないのでしょう。
こうしたことも、私たちの大事な役目の一つなのかもしれないなと思います。