[※ 「裁かれるべきは警察、検察、裁判所 袴田事件」(週刊金曜日 1490号、2024年09月27日) ↑]
(2024年10月14日[月])
自白を強要し、証拠や調書を捏造までしておいて、畝本直美検事総長のコノ言い草、上から目線。
[「判決に納得という誤解、避けたい」「最高検・高検・地検 異例の対応」「検事総長の談話(要旨)」](朝日新聞、2024年10月09日[水])]
《被告人が犯人であること》…とはどういうことか? 自白を強要し、証拠や調書を捏造まで行ったことが裁判で認定されたのに、まだ、袴田巖さんが犯人であると公言する畝本直美検事総長。《客観性の高い証拠》ってどれだ? ことごとく証拠や調書は否定されているのだが。警察や検察は真犯人を取り逃し、事件の被害者や遺族の皆さんに、顔向けできるのか? まずは、袴田巖さんや秀子さんらに真摯に謝罪し、また、当時の警察や検察の自白の強要、証拠や調書の捏造を検証せずして、何が《検察の責務》か。
東京新聞の記事【袴田さん再審で検察が控訴断念「判決は到底承服できない。しかしながら…」 畝本直美検事総長が談話【全文】】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/359173)/《他方、改めて関係証拠を精査した結果、被告人が犯人であることの立証は可能であり、にもかかわらず4名もの尊い命が犠牲となった重大事犯につき、立証活動を行わないことは、検察の責務を放棄することになりかねないとの判断の下、静岡地裁における再審公判では、有罪立証を行うこととしました。そして、袴田さんが相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも配意し、迅速な訴訟遂行に努めるとともに、客観性の高い証拠を中心に据え、主張立証を尽くしてまいりました》。
『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん…《周囲に「自分は23歳だ」と吹聴
…「彼がプロボクサーとしてデビューした年齢…今も闘っているのだ…」》』
『●《袴田巌さん…静岡地裁…無罪(求刑死刑)を言い渡した》…当然の「無罪」
判決が漸く! 検察がこの再審判決に対して控訴するなど許されない!!』
『●再審判決・無罪…《事件当時、東京新聞は、袴田巌さんを犯人とする報道を
しました。袴田さんと家族の人権、名誉を傷つけたことを深くお詫び致します》』
『●《<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>…無実の人を罰する
のは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》』
『●西村カリンさん《これ以上、あってはならない行動をしないで下さい。そして、
巌さんと姉・ひで子さんに謝罪した上で…違法な行為を検証して下さい》』
『●検察・警察、裁判所、マスコミによって《大きく人生を変えられたのは、
巌さんだけではありません。巌さんを58年支え続けてきた、姉のひで子さん》』
『●検察は控訴せず、無罪が確定…自白の強要や証拠の捏造など、袴田冤罪事件
の被害者、袴田巖さんや袴田秀子さんの58年間の残酷な日々に報いるには?』
『●袴田冤罪事件、何の反省もない検察の《控訴断念》を受け、漸くの謝罪記事
…マスコミの罪も非常に重い…検察が控訴したら、どうしたのだろうか?』
当然、弁護団側は激しく批判。
テレビ静岡の記事【【全文】「検事総長がいまでも犯人と考えていると公言したに等しい」 袴田巖さんの弁護団が怒りの声明文】(https://www.sut-tv.com/news/indiv/29413/)、《1966年に当時の静岡県清水市(現在の静岡市清水区)で一家4人が殺害された強盗殺人放火事件のやり直しの裁判をめぐり元プロボクサー・袴田巖さん(88)の無罪が確定する中、検察が発表した畝本直美検事総長による談話について、袴田さんの弁護団が10月10日、静岡地検に声明文を提出した。以下は弁護団声明の全文である》。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/359173】
袴田さん再審で検察が控訴断念「判決は到底承服できない。しかしながら…」 畝本直美検事総長が談話【全文】
2024年10月8日 17時27分
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審で、無罪とした静岡地裁判決について、畝本直美検事総長は8日、「控訴しない」との談話を発表した。
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談話の全文は次の通り。
◇
検事総長談話
令和6年10月8日
○結論
検察は、袴田巖さんを被告人とする令和6年9月26日付け静岡地方裁判所の判決に対し、控訴しないこととしました。
○令和5年の東京高裁決定を踏まえた対応
本件について再審開始を決定した令和5年3月の東京高裁決定には、重大な事実誤認があると考えましたが、憲法違反等刑事訴訟法が定める上告理由が見当たらない以上、特別抗告を行うことは相当ではないと判断しました。他方、改めて関係証拠を精査した結果、被告人が犯人であることの立証は可能であり、にもかかわらず4名もの尊い命が犠牲となった重大事犯につき、立証活動を行わないことは、検察の責務を放棄することになりかねないとの判断の下、静岡地裁における再審公判では、有罪立証を行うこととしました。そして、袴田さんが相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも配意し、迅速な訴訟遂行に努めるとともに、客観性の高い証拠を中心に据え、主張立証を尽くしてまいりました。
(姉のひで子さん㊨と笑顔を浮かべマイクを手に挨拶をする
袴田巌さん=2024年9月29日、静岡市葵区で(斉藤直純撮影))
○静岡地裁判決に対する評価
本判決では、いわゆる「5点の衣類」として発見された白半袖シャツに付着していた血痕のDNA型が袴田さんのものと一致するか、袴田さんは事件当時鉄紺色のズボンを着用することができたかといった多くの争点について、弁護人の主張が排斥されています。
しかしながら、1年以上みそ漬けにされた着衣の血痕の赤みは消失するか、との争点について、多くの科学者による「『赤み』が必ず消失することは科学的に説明できない」という見解やその根拠に十分な検討を加えないまま、醸造について専門性のない科学者の一見解に依拠し、「5点の衣類を1号タンク内で1年以上みそ漬けした場合には、その血痕は赤みを失って黒褐色化するものと認められる。」と断定したことについては大きな疑念を抱かざるを得ません。
(畝本直美検事総長=2024年7月、平野皓士朗撮影)
加えて、本判決は、消失するはずの赤みが残っていたということは、「5点の衣類」が捜査機関のねつ造であると断定した上、検察官もそれを承知で関与していたことを示唆していますが、何ら具体的な証拠や根拠が示されていません。それどころか、理由中で判示された事実には、客観的に明らかな時系列や証拠関係とは明白に矛盾する内容も含まれている上、推論の過程には、論理則・経験則に反する部分が多々あり、本判決が「5点の衣類」を捜査機関のねつ造と断じたことには強い不満を抱かざるを得ません。
○控訴の要否
このように、本判決は、その理由中に多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容であると思われます。しかしながら、再審請求審における司法判断が区々になったことなどにより、袴田さんが、結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました。
○所感と今後の方針
先にも述べたとおり、袴田さんは、結果として相当な長期間にわたり、その法的地位が不安定な状況に置かれてしまうこととなりました。この点につき、刑事司法の一翼を担う検察としても申し訳なく思っております。
最高検察庁としては、本件の再審請求手続がこのような長期間に及んだことなどにつき、所要の検証を行いたいと思っております。
以上
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【https://www.sut-tv.com/news/indiv/29413/】
【全文】「検事総長がいまでも犯人と考えていると公言したに等しい」 袴田巖さんの弁護団が怒りの声明文
2024年10月10日(木)
(小川秀世 弁護団事務局長)
1966年に当時の静岡県清水市(現在の静岡市清水区)で一家4人が殺害された強盗殺人放火事件のやり直しの裁判をめぐり元プロボクサー・袴田巖さん(88)の無罪が確定する中、検察が発表した畝本直美検事総長による談話について、袴田さんの弁護団が10月10日、静岡地検に声明文を提出した。以下は弁護団声明の全文である。(原文ママ)
2024年10月8日、最高検は、9月26日静岡地裁が袴田巖さんに対し言い渡した無罪判決に対し、控訴を断念する旨の畝本直美検事総長の談話を発表した。
検事総長の談話の要旨は、静岡地裁の無罪判決には論理則・経験則に反する事実誤認があるが巖さんの置かれている状況を考えて控訴を断念したというものである。しかし、これは控訴はやめておくが、巖さんを冤罪と考えてはいないということであり、到底許し難いものである。
無罪判決が確定すれば、だれも巖さんを犯人として扱ってはならない。これは、法治国家であれば、当然のことである。にもかかわらず、検事総長の談話では、巖さんの事件の判決について、「疑念を抱(き)」、「強い不満」を表して、「判事された事実には、客観的に明らかな時系列や証拠関係とは明白に矛盾する内容も含まれ」「推論の過程には、論理則・経験則に反する部分が多々あり」「理由中に多くの問題を含む」とされ「控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」であるとしている。
要するに、検事総長がいまでも巖さんを犯人と考えていると公言したに等しい。これは、法の番人たるべき検察庁の最高責任者である検事総長が、無罪判決を受けた巖さんを犯人視することであり、名誉毀損にもなりかねない由々しき問題と言わなければならない。
袴田巖さんの弁護団が怒り「犯人視している。名誉棄損になりかねない」 控訴断念の検事総長談話に”抗議”
もちろん、検事総長の談話における無罪判決に対する上記指摘自体も、まったく間違ったものである。
談話において大きな疑念があるとされた5点の衣類に付着していた血痕が1年以上みそ漬けになったときには赤みが消失するとした判決の結論は、弁護側の専門家証人の証言した血液が黒褐色化する科学的機序を前提にし、化学反応の速度についても実験結果や専門的知見に裏付けられた理論的な説明をもとに判断しているのであって、検察官や検察側の科学者は、上記説明への反論となる専門的知見も提出できず、単に、抽象的な可能性論を述べるに終始したことから、その主張が排斥されたものである。
そもそも、1年以上みそに漬かっていても血痕に赤みが残る可能性があれば巖さんの犯人性の認定に疑いは生じないという再審公判における検察官の主張は、本件無罪判決が、「1年以上みそ漬けされた5点の衣類の血痕に赤みが残ることが合理的な疑いを差し挟む余地がない程度に証明される必要がある」(判決要旨39頁)と説示することで、明確に否定されている。つまり、検察官の上記主張は、検察官の役割の根幹に関わる説明責任の本件へのあてはめ自体が誤っていたとされたのである。
さらに検事総長が強い不満を表明した5点の衣類が捜査機関のねつ造であると判決が断定した点は、客観的証拠である取調べの録音テープ等により検察官調書が警察と連携した実質的なねつ造であるとした上で、血痕に赤みが残っていた事実等からして5点の衣類は犯行着衣ではありえないのだから、5点の衣類はねつ造証拠であり、ねつ造する動機と現実的可能性があったのは捜査機関だけであること及び吉村検察官による警察の捜査活動と連携した臨機応変かつ迅速な主張・立証活動を考慮して、検察官を含む捜査機関によるねつ造であるとされたものである。
以上のとおり、今回の無罪判決は、検察官の有罪立証が完全に誤りであったことを明らかにしており、事実誤認があるとする検察庁の判断こそ誤っていたのであるから、検察官には、法律上、控訴の理由などまったくなかったものである。この点で検事総長の談話は、単なる強弁に過ぎない。このような姿勢でいる限り、検事総長が言う「所要の検証」も期待できるものではない。
検察庁は、まずもって有罪立証の判断の誤りを率直に認め、巖さんに直接謝罪すべきである。検事総長の談話では、「再審請求審における司法判断が区々になったことなどにより」と裁判所に責任を転嫁した上、「袴田さんは、結果として相当な長期間にわたり、その法的地位が不安定な状況に置かれてしまうこととなりました。この点につき、刑事司法の一翼を担う検察としても申し訳なく思っています。」と述べるが、その言葉も他人事のような表現であって、巖さんに対する非人道的な取調べや5点の衣類のねつ造についての反省すらないもので、何ら謝罪になっていない。
そして、違法な取調べが行われ、5点の衣類等がねつ造されたこと、さらには死刑再審事件でありながら、重要な証拠が隠されていたこと等を深刻に受け止めなければならない。その上で、こうした重大なる冤罪を生み出してしまい、その誤りを改めることに58年もの年月を要した原因を明らかにし、二度と繰り返さないようにするため、捜査・公判手続き全般にわたって厳正かつ真摯な検証をすべきである。
2024年10月10日
袴田事件弁護団事務局長 小川秀世
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