《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される
衆院選後、初の本格論戦となる臨時国会がきょう、召集される。
政府の経済対策の裏付けとなる総額約13兆9千億円の補正予算案の審議と、自民党裏金事件を受けた政治資金規正法の再改定が焦点となる。
自民、公明の与党は過半数に達しておらず、野党の協力がなければ法案や予算案は成立しない。与党が続けてきた「数の力」頼みの強引な運営は不可能である。
必要なのは、少数意見を取り入れながら時間をかけ、納得できる法案を練り上げることだ。臨時国会は、民主主義の基本である「熟議の国会」を再構築できるかどうかの試金石となる。
自公政権は長年、法案や予算案の国会提出に先立ち、与党が政務調査会の下に置いた各部会などで議論し、意見を反映させる「事前審査」が慣例だった。
決定は全会一致が原則で、了承された後に閣議決定され、国会に提出される。与党は議員に党議拘束をかけて賛成してきたため、提出前に成立が事実上確定する仕組みだった。
国会審議は野党の意見を聞き置く場になり、審議時間を消費するだけの形骸化した議論になっていたのが実情だ。
今回の臨時国会では、国民民主党が衆院選で訴えた政策「103万円の壁引き上げ」の要求を自公が取り入れることで、補正予算案の早期成立に向けて協力する方針を3党が確認している。
与党は政策ごとに野党と連携する「部分連合」を目指す方針で、今回の国民民主との協議は「ひな型になった」(小野寺五典・自民党政調会長)とする。
今後も同じような協議が進むと、与党の事前審査と同様の「水面下の論議」になり、国会論議の形骸化は改善しない。野党はこれに応じず、公開の場である国会における論議を進めるべきだ。
自民党は政治資金規正法の再改定についても、年内成立を目標に与野党協議を続けている。立憲民主党は「議事録を残すべきだ」として事前調整を否定している。当然の対応だろう。
焦点は企業・団体献金の禁止だ。自民党が「政治活動に不可欠」とするのに対し、立民が「腐敗の温床」とするなど、野党の多くは禁止を求める。国民民主は完全禁止に一歩距離を置いている。
政治にカネがかかる理由などを含めて時間をかけ国会で論議し、各党が納得できる改定を実現するべきだ。中途半端な改革に終われば有権者の支持は得られない。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月28日 09:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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