《社説①・10.18》:衆院選2024 地方の人口減少 東京集中是正の具体策を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・10.18》:衆院選2024 地方の人口減少 東京集中是正の具体策を
地方の人口減少が進み、地域社会の維持が危ぶまれている。
各党は選挙公約で、地方の重視を掲げる。「東京一極集中」が止まらない要因を分析し、より踏み込んだ具体策を競うべきだ。
2014年から政府は「地方創生」の人口減少対策に取り組んでいる。石破茂首相はその強化に向けた本部を政府に設けた。来年度予算で自治体の施策を支援する交付金約1000億円の倍増を目指し、自民党公約にも盛り込んだ。
地方創生は観光需要の掘り起こしなど、自治体の成功事例を他にも波及させることで、地域の活性化を図る施策だ。「単年度ベースで東京圏と地方の人口流出入を均衡させる」との目標を掲げる。
だが、東京圏への人口流入はコロナ禍を経てむしろ加速しており、総じて成果に乏しい。初代担当相だった石破氏にも責任がある。十分な検証抜きで交付金を倍増しても、効果があるかは疑問だ。
東京圏への集中が止まらないのは、地方からの若い女性の流出に歯止めがかからないためだ。
企業立地、農林水産業振興、非正規地方公務員らの正規化など大胆なビジョンを描き、女性の雇用を確保する必要がある。ジェンダー平等の視点も欠かせない。
自民の公約には「分散型国づくり」との表現はあるが、「東京一極集中是正」の文言はない。
昨年1年で東京都の人口は7万人増えた。都外から流入した人や、新たに来日した外国人が多かったためだ。少子高齢化の影響で、出生数から死者数を引いた自然増減では5万人の減少となった。
東京都の合計特殊出生率は0・99と全国一低い。この状況のまま地方から人が流入すれば、日本全体の人口減少を加速させる要因となる。一極集中是正は防災など、危機管理の観点からも重要だ。もっと明確に打ち出すべきだ。
立憲民主党の公約も地方の将来像を見据えたものとはいいがたい。かつて旧民主党が「地域主権」を柱に据えたような熱量はない。
人口減少の大きな流れは変わらない。居住地域のコンパクト化、老朽インフラの選別など備えも進めるべきだ。能登半島地震は過疎地が抱えるもろさを浮き彫りにした。地域の持続に向けた議論を与野党は深めていく必要がある。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年10月18日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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