【会見詳報①】:ジャニーズ「廃業します」 東山紀之社長が驚いた補償希望の人数、語った今後
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【会見詳報①】:ジャニーズ「廃業します」 東山紀之社長が驚いた補償希望の人数、語った今後
故ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所の社長、東山紀之氏は2日、記者会見で「自分たちは内向きだった」と反省の言葉を述べた。
事務所側に性被害を申告し、補償を希望する人が既に325人いることも公表。「これほどだったのかという思いが強い」と語った。
事務所の社名を「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更することや、所属タレントのマネジメントは別会社を新たに作り、社名はファンクラブで公募する方針も説明した。
被害者の救済、ジャニーズ事務所の今後、新会社についての3つのテーマで会見をまとめた。(デジタル編集部)
■東山氏の冒頭説明(抜粋)
現在のジャニーズ事務所ですが、被害に遭われ、今もなお苦しんでいる方々の補償業務のみを行っていくこととします。
被害補償の受付窓口として、9月13日付で、3名の弁護士から構成される被害者救済委員会を設置いたしました。9月30日までにこちらの委員会には478人の申し出があったと聞いています。
そのうち被害を申告して補償をもとめている人は325人です。補償は11月からスタートさせて頂きたいと思います。今後は被害者の相談窓口について、臨床心理士などにご協力いただき、被害者の方に寄り添う形をきちっと作っていきたい。
■担当する山田将之弁護士の冒頭説明(抜粋)
9月21日以降、順次、社長の東山が被害者に遭われた方と直接お会いして、性加害、それに関するこれまでのジャニーズ事務所の対応について謝罪させて頂くと共に、被害補償、今後の再発防止の取り組みについてご説明しています。
対話の中で、被害者の方からはさまざまな意見を頂戴しています。
9月13日付けで、元裁判官の経歴を持つ3人の弁護士から構成される被害者救済委員会を設置し、被害者補償の受付窓口を開設しました。
被害、被害額の認定については、過去の資料や申告を頂いた方から提供を頂いた資料にもとづいて、過去にジャニーズ事務所に在籍していたか、もしくは当然、現在ジャニーズ事務所に在籍しているかを確認の上、被害者救済委員会が申し出内容、それから聴き取り調査を行って、その結果にもとづいて実施してまいります。
なお現時点までで、過去または現在のジャニーズ事務所の在籍が確認できたのは150名程度だと聞いています。
Q 補償希望者の規模が大きくなったという実感は?
東山氏 これほどだったのかという思いが強いですね。
ケアをしていくことをさらにきちっと考えていかなければならないと思う。勇気を出してここに出てきてくれたと思いますし、今後、その人数が増えるかもしれない。
そのために補償と救済に特化した事務所にする判断をしたわけです。もちろん廃業しますが、廃業した後も補償を続けるので、勇気を出して声を上げてくれたらありがたい。
井ノ原快彦氏 私も同じ意見。これほどまでの人数だったんだ、正確な人数はまだわからないが。勇気を出して名乗り出て下さったんだなと。
それと、まだ1人で勇気を出せなくて、ずっと悩みを抱えていらっしゃる方もいると思う。どうやったらその方がここに来て、対話をしてくれるのか、これからも考えつづけていかなければいけない。これで十分だとは我々も思っていません。
ジュリー(藤島ジュリー景子氏)に関しては、会いたくない人もいるかもしれない。でも会いたいという人には、きちんと会って対話をしていきますと言っていました。
東山氏 対話をしたいと言っていただければ、会う準備はできている。それはスマイルアップ社の信念でもある。なるべく希望に沿ったことを向き合っていきたい。
Q ジャニー氏の性加害行為が、タレント支配の源泉となっていたのではないか。事務所側は黙認したと言うより、必要不可欠な手法として利用してきたのではないか。東山氏はジャニー氏の右腕として被害と加害の両面を見てきたと思う。見解を。
東山氏 さまざまなJr.の子たちが被害を受けたということなので、僕は一タレントとして合宿所にはいましたけど、やはりそこは触れてはいけない部分というか、立ち入ってはいけないような感じがありました。
ただやっぱり僕個人の力が及ばない年齢でもありましたし、見て見ぬふりだと言われたらそれまでだと思う。やはり今できることをちゃんとしなければいけないと思う。
心に負った傷を癒やすことはできないと思いますし、補償では済む問題ではない。名前が付いたものは全て捨て去る、できることはやはり癒やしていくことだと感じています。
井ノ原氏 絶対的な支配の中にいたんだと思います。それは巧妙な手口だと思います。僕らが、子どもたちが気づかぬうちに、そういう支配下にあり、当時いた大人たちもそういう人もたくさんいたのかもしれない。その得体の知れない、恐ろしい空気感を僕は知っています。
きっと東山さんも知っていると思う。だからこうなったら、どんどんおかしくなっていくこと、肌で感じていると思います。
被害者の皆さんが、いわれのない誹謗中傷、今まで声を上げられなかった、それくらい強いものだったと思います。
1人が勇気を出してくれたおかげで、何人もの人たちが告白できたと思いますし、それを無駄にしてはいけないと思います。
◆ジャニーズ事務所 どうなる?
■東山氏の冒頭説明(抜粋)
現在のジャニーズ事務所の社名を変更いたします。そしてタレントマネジメントおよび育成の業務からは完全に撤退させて頂きます。被害に遭われ今も苦しんでらっしゃる方々の補償、救済、心のケア、これを時間がかかっても全うさせて頂きたいと考えています。
故喜多川氏と完全に決別する決意を示すため、社名を10月17日付けで「SMILE-UP.(スマイルアップ)」と変更します。この名称は、3年前に社会貢献活動を進めるために取得した商標です。
スマイルという言葉に違和感を感じる方もいるかもしれませんが、まずは被害に遭われたからの補償をすすめていくことがスマイルアップ社の社会的責任と考えています。
スマイル社は私が引き続き代表取締役社長を務めていきます。藤島ジュリーが100%株主として取締役に留まります。これは今後、法を超えた補償を行うには、第三者の資本を入れるとできなくなるからです。被害を受けられた方々の補償をきちんと最後まで行い、廃業いたします。
■会見に出席しなかった藤島ジュリー景子氏の手紙(抜粋)
ジャニーズ事務所は、名称を変えるだけではなく、廃業する方針を決めました。
今回、なぜ私が100%の株主で残るのか、と多くの方々から批判されました。
実は多くのファンドの方々や企業の方々から、私個人に有利な条件で買収のお話もたくさんいただいております。
しかし、100%株主として残る決心をしたのは、他の方々が株主で入られた場合、被害者の方々に法を超えた救済が事実上できなくなると伺ったからでした。
そういう理由で現在の会社には株主100%として残りますが、チーフコンプライアンスオフィサーを外部から招聘し、今後、私は補償とタレントの心のケアに専念し、それ以外の業務には一切、当たりません。
ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族としてやり切らねばならないことなのだと思っております。
ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたいと思います。
Q 藤島氏の手紙を代読したが、こういった場に出られる状況ではないのか。入院しているのか。
東山氏 今回は新しい体制を報告するということで僕と井ノ原(快彦)が代表して出席しました。藤島は現在日本にはいますが、出席しないということ。体調はそんなに悪くない。
井ノ原氏 ただ手紙にあったとおり、「(手紙で触れたメリー氏との関係について)話していくときにどういう風になってしまうか分からない」ということは前から聞いていたので、手紙でということになった。
◆新会社のイメージは?
■東山氏の冒頭説明(抜粋)
新しく設立する会社についてご説明させて頂きたいと思います。新会社は、希望するタレント個人やグループが設立する会社と個別に契約を結ぶ、エージェント会社といたします。
この制度においては、全てを会社にゆだねたり、しばられたりすることなく、タレント自らがその活動の方向性に応じて、自分自身で活躍の場を求めていくことになります。新会社は彼らとエージェント契約を締結し、これまでに培ってきたプロデュース機能やマネージメント機能を活用して、お互いの知恵を出し合いながら、そのタレント活動を最大限サポートしていきたいと考えています。
そして若手タレントなどは、エージェント契約形式ではなく、新会社に所属することもできるということになります。
これは日本の大手芸能プロダクションで、これだけ多くのアーティストと契約することになるエージェント会社が立ち上がるのは初めての試みだと思います。
ジャニーズ事務所に所属するタレント達のうち、新会社と一緒にやりたいという意思確認ができているメンバーからは、それぞれがファンクラブを通じてお知らせしていきます。
■井ノ原快彦氏の冒頭説明
なぜこのような会社を目指しているのかと申しますと、われわれ、僕もタレントの立場でありますから、そんな立場でも自己プロデュースや演出、やりたいことをやっている人もたくさんいました。
ただ、やはり大きく強い会社の中にいましたので、守られてきた存在であることは事実です。そこにもしかしたら、甘えが生まれたりとか内向きの体質になった原因もあったのではないかと思います。
ジャニーズを解体するからにはそうした体質を根本的に変えていかなければならないと思っています。だからこそ、タレントひとりひとりが自分の考えで歩む仕組みを作らないと、これまで以上にそういった仕組みを作らなければならないと思います。
東山氏 僕らは幸いにして本当にたくさんのファンの方に支持をして頂いています。そしてグローバルなエンタメの世界では、タレントがエージェント契約を通じて活躍の場を広げる、このスタイルが標準となっています。今の若いみんなには、本当に世界に羽ばたいて欲しいと思いますし、そのエネルギーを感じています。
僕らができるのは、その羽ばたくときにいかにサポートできるか。そのような考えのもと新会社を立ち上げていきます。
新会社の立ち上げに当たっては、僕自身が代表取締役社長、井ノ原が副社長に就任する予定です。法人としての新会社は約1か月以内に設立し、徐々に機能を拡大していきたいと考えています。資本は、就任する役員と従業員とで構成する予定ではあります。
そして藤島氏は一切出資を行わず、取締役にも入りません。現在の事務所の従業員の方々も、新しい会社で一緒にやっていきたいと希望する方はぜひぼくらと一緒にサポートをして頂ければと思います。新会社としても、本日発表したガバナンスの仕組みを活用し、強化していきたいと考えています。
井ノ原氏 新会社ではファンの皆さんのお力をお借りしたいと考えています。
これだけ厳しい状況にあってもファンのみなさんがぐっと耐えて僕らを見守って下さった。これは僕も、タレントとして先輩たちや仲間たちからも、ファンに対する感謝の気持ちは僕にも届いていますし、みんなは口をそろえて感謝していました。本当にありがたくて、ファンの皆さんの力を実感しています。
だからこそ、これまで内側向きだった我々が未来を切り開くためには、ファンの皆さんとあらためて二人三脚で進んでいくべきだと考えています。
だから、新会社の社名についてはファンクラブの皆様からの公募で決めていきたいと考えています。新会社では、ファンクラブの機能をさらに充実させていこうと考えております。
東山氏 新会社は新しい考え方、時代に沿った、新しいスタイルで作りたいと考えています。そのために僕ら、タレントたち、ファンの皆様とともにこの会社を立ち上げ、はっきりとした形をつくっていきたいと考えています。
Q タレントの今後、不安な点がある。これまでの楽曲、肖像権、コンテンツ回りのことはどこがやるのか。旧会社(ジャニーズ事務所)との関係が断ち切れないのでは。
木目田裕弁護士 完全にまったく新しい会社をつくる。コンテンツ、知的財産権も含め、きちんと新会社で一緒になって活動するタレントに必要なものについては、すべて新会社が保有できるように、ちゃんとスキームをつくる。
懸念は、新会社をつくるが、スマイルアップが収益を吸い上げるのではないかとのことだと思うが、それでは意味がないじゃないかと。そういったことが生じないように、分断したスキームを作りたい。
井ノ原氏 タレントの立場からしても散々説明した中で、そういう体制がととのってなかったらそれはもう困る。責任持ってやっていきたい。
東山氏 なるべく不安要素をなくして、新しいものをみんなが安心してできる場所をつくっていきたい。
Q ジャニーズ事務所は退所者をテレビから干すとか言われている。新会社となり、退所したいという方が出ると思うが、圧力をかけることはないのか。約束してほしい。
東山氏 応援したいと思います。ファンの方が選ぶことでありますし。僕自身も、これまで退所した方達とコミュニケーションを取っていますし、同じ土俵の上に立っている表現者だと思っています。圧力をかけることはない。
井ノ原氏 僕も同じ。退所していくメンバーもいるし、苦楽を共にした仲間ですから、健康にいてほしい。
青春時代をずっと過ごしてきた仲間たちとも連絡を取っていますし、良い関係を続けていきたい。自分の仲間に圧力をかけるということは今後ありませんし、厳しい目で見てください。
東山氏 退所したからと言って遠ざけるわけではなく、共演もあったり、新しいスタイル、皆さんが見たくなる化学反応も必要だと思うので、向き合っていきたい。
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元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・ジャニーズ事務所は10月2日、創業者の故ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、記者会見】 2023年10月02日 20:32:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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